
日本酒フアンの皆さん、こんにちわ!
桜の季節も終わり新緑の季節を迎え、そろそろ衣替え! 日本酒の造りも甑倒しをおえる蔵も多くなりましたね。
酒店には早くも夏酒が並び始めましたので、恒例のトラマサの『日本酒番付・巡業レポート』を作成しました。
R3BY1H(冬春)巡業の総括
R3BY1H(冬春)で呑んだ日本酒は全部で56本、初飲みは16本
まずは、今年前半2021年10月から2022年4月までに飲んだお酒の整理です。 全部で56本ありました。
やはりお正月と新酒シーズンなのでどうしても多くなりますね。 じつは酒フェスなどで沢山飲んだのですが、少量なのでカウントしていません。
黄色マーカーは銘柄違い(酒米違い)で、青色マーカーは全くの初飲みです
年月 | 酒名(県名) |
2021/10(4) | 天美(山口)、わ(福島)、赤武(岩手)、電照菊(千葉) |
2021/11 (9) | 宮寒梅(宮城)、黒どぶ(山形)、天明(福島)、吉田蔵U(石川)、 千歳鶴(北海道)、作(三重)、星泉(愛知)、貴(山口)、磐城壽(福島) |
2021/12 (13) | 花陽浴(埼玉)、秋葉(新潟)、天美(山口)、みむろ杉(奈良)、梵(福井) 東洋美人(山口)、会津中将(福島)、九頭竜(福井)、宮泉(福島) 鍋島(佐賀)、IWA5(富山)、司牡丹(高知)、御湖鶴(長野) |
2022/1 (8) | 十四代(山形)、天美(山口)、五橋(山口)、荷札酒(新潟)、 雅楽代(新潟)、くどき上手(山形)、天吹(佐賀)奈良萬(福島) |
2022/2 (7) | 花陽浴(埼玉)、ソガペールエフィス(長野)、産土(熊本)、 よこやま(長崎)、久礼(高知)、名倉山(福島)、仙禽(栃木) |
2022/3 (7) | 作(三重)、わかむすめ(山口)、〇嘉大山(山形)、真澄(長野)、 神心(岡山)、金雀(山口)、田酒(青森) |
2022/4 (8) | せんきん(栃木)、風の森(奈良)、KURAMOTO(奈良)、 七本槍(滋賀)、作(三重)、射美(岐阜)、上輪新田(新潟) 尾瀬の雪解け(群馬) |

初呑みのリボーン蔵の『御湖鶴』『わ』『雅楽代』は秀逸
さて、今年は昨年に比べて初飲みが多いのは意識して選んだことが原因。 定番酒はむしろ、セカンドブランドや酒米違いを手にしてきました。
全くの初飲みは16本で、酒米・ブランド違いが18本。 全体が56本なので、新酒チャレンジ率は61%、R2BY2Hに比べ6%アップです。
さて昨今のトレンドはリボーン蔵。 DANCHU誌にも掲載されていた『会津男山・わ』、そして『御湖鶴』は秀逸でした。
それから、24歳で事業承継により佐渡で起業した『雅楽代』も、豊かな自然に恵まれた中で優しい味わいを出していますね。



個性豊かな奈良酒の伝統回帰を目指した複雑な味わいが、心を揺さぶる
また、今回特に取り上げたいのが日本酒発祥の地、奈良酒の素晴らしさです。
製法が進化した最近の日本酒は、どれも綺麗で華やかな酒が増え過ぎて、個性が埋没しがち。
そんな中で奈良のお酒は、室町時代に誕生した『菩提酛』を復活させて、骨太で酸が下支えする複雑な味わいを生み出しています。
もちろん伝統への回帰だけでなく、地産地消のドメーヌ化も実現して、新しい農醸文化を築いているのです。
何といって無濾過無加水のリッチな『風の森』、三輪の日本酒の歴史を受継ぐ『みむろ杉』、もうほとんどワインに限りなく近い『KURAMOTO』は、その代表でしょう。


日本酒銘酒番付・上位陣、初飲み・下位陣の個別レビュー
三役・上位陣はさすがの酒質も、番付の大幅変更もアリかな?
さて、トラマサの『日本酒銘酒番付R1BY』の上位から、今回の巡業飲みの評価をしていきましょう。
まず、昨年『作』はなかなか購入機会がなくてレポートできなかったのですが、今年はザクザクと手に入り3本も飲みました。
反対に昨年飲み過ぎた『而今』や『醸し人九平治』などは、今回は飲んでいません。 酒瓶の隊列を見ながら、『もういいよ・・』と誰かがつぶやいているのでしょうか?


今回の『十四代』は、高木酒造の秘蔵米『龍の落とし子』。 華やかな香りに爽やかな味わいは、不動の天下一の酒質です。
『新政』のエクリュとラピス、陽乃鳥を入手し熟成。 2020エクリュを1年熟成して飲みました。ワイングラスで飲めば、もうほんとにワインです。
『作』は3つとも純米吟醸で、コスパもよくて綺麗で呑み飽きしない上品な酒質はさすがです。 それぞれの米の旨み、はたまたスッキリ味などの変化が楽しめました。

寫楽の兄弟銘柄『会津宮泉/純米にごり生』は、結構な発泡感を伴う甘い香りと爽やかな飲み口で、最後はキレよく辛口の味わいを伴って抜群のバランスでした。
『鍋島特純』の酒米は佐賀の華・山田錦・雄山錦と3つ、いつもの甘旨みは少し控えめで、さらりとした飲み口が心地いいです。 いつもながら間違いない仕上がりですね!!
『くどき上手』は相変らずのコスパの良さ、必ずお正月には取り揃えとなります。 山田錦で醸されるしぼりたては、生らしくて華やかな香りで素晴らしく安心感を覚えます。

『金雀』は今年も変わらず、瑞々しく爽やかな香りと軽やかな酸と甘みのバランスは抜群です。 今年の火入れは、最初から最後まで味変もなくてもう芸術的な領域にさえ感じました。
『赤武ニューボーンF』の昨年は純米酒、今年は本醸造生。 本醸造生のすっきりしたキレの良さとフレッシュでジューシーな味わいは、ますます洗練されている印象です。
『黒龍』のセカンドブランド九頭竜/垂れ口生は、黒龍しぼりたてよりはやや甘め。 滑らかな味わいは変わらず、いつものキリッとした輪郭が見えます。


前頭の注目銘柄はこれ!『花陽浴』『加茂錦』『産土』『電照菊』
さて、前頭と言えども大関を負かすほどの実力蔵も多々あるなかで、『日本酒探訪』ブログでもアクセスが多く、そして味わい深い銘柄をご紹介します。
次回の日本酒番付では、ランクアップとなるに違いないでしょう。
『花陽浴』の番付は前頭ながら、12月に八反錦、1月に山田錦と、いつもながらの華やかな香りと旨み、濃厚な味わいは健在でした。
『荷札酒』の今回は新酒火入れタイプでしたが、低アル・原酒・無濾過のジャンルでは、新政や仙禽などとトップグループを形成しています。 相変らずアクセスも多いですね。


熊本・花の香酒造の新ブランド『産土』は、発売と共にアクセスが増加。 土着の発想で醸される発泡性で甘旨みのある低アル酒は、人気爆発の予感です。
千葉房総は寒菊銘醸の『電照菊』。この冬一番のアクセス数だったのではないでしょうか。 昨年は無濾過生、今年はおりがらみ無濾過生。 上品で華やかな香りとジューシーな味わいは飲み人の舌を捉えて離しません!
まだ未格付けの『ソガペールエフィス』『モダン仙禽』『わかむすめ』『天美』『宮寒梅』『吉田蔵U』も素晴らしい!
ところで、トラマサの『日本酒銘酒番付』はR1BYまでの格付けで、数年おきの改訂としています。
そのためまだ未格付けの銘柄も多々あり、なんだあの銘柄がないじゃないかとのご意見もお在りかと思います。 そこで補完しているのがこの巡業レポートなんです。
もうランクイン間違いない定番酒になっている、今季のトラマサのお気に入りを紹介します。
長野の『ソガペールエフィス』も飲み始めて2期目で、今季は1500ml瓶のデザインともどもお味もイケてます。 アクセスもトップクラス、このお酒こそが幻の横綱なのかもしれません!
栃木の『モダン仙禽無垢』に続いて『さくら/OHANAMI』もいただきました。 木桶・生酛造りの優しくてワインのような味わいは、多くの人から賞賛の嵐!


夫婦2人で醸す『わかむすめ』の『萌木』は、酒米が八反錦でスッキリ味。『薄花桜』が西都の雫で、スマートな香りに抜群の切れ味。 他にも雄町の濃淳な味わいの『牡丹』など、色々と楽しめますね!
秋に酒蔵に伺って『宮寒梅』を10杯位、利き酒しました。 そのどれもが素晴らしく、香り豊かで透明感のある酒質はトップクラス。 美山錦をはじめ希少米を会長さんが自社田で育てています。


山口のリボーン蔵の『天美』はもはや全国でも大人気。 穏やかな香りと柔らかな飲みやすい味わいは、徐々に味乗りして進化していますね!
新シリーズの『吉田蔵U』は新蔵元のもとでモダンな山廃造り。 無添加の自然に寄り添う酸味溢れるその味わいは、これからますますの進化が期待できます。


まとめ
皆さん、いかがでしたでしょうか?
ところで、こうして写真を取り揃えてみれば、ラベルデザインが以前よりオシャレになっていることに気付きませんか?
半数以上に何かしらの英語表記がありますし、外国の方にも分かりやすいようやはり輸出を意識してのことなのでしょう。
外国の方には漢字が割と受けるという話もありますが、お酒の味がまず第一で、ラベル全体の個性で覚えて貰うのは言うまでもないこと。
機会があれば、ユニークなラベルデザイン・ジャケ買い特集でもやってみたいですね・・・
それでは皆さん、夏酒の時期も始まっていますが、引き続きトラマサの『日本酒探訪』をのぞいて下さいね!