皆さんこんにちは!
今日は、福島県は会津美里町の男山酒造店が22年ぶりに酒造りした『会津男山-わ-純米うすにごり生』を紹介します。
これまで多くの酒蔵の再生ストリーを紹介してきましたが、でもそれは若い世代による酒蔵復興や事業承継などによるパターンでした。
今回はちょっと違って、お孫さんが20年の休止を破って酒造りを再開するというものです。
造り酒屋のルーツが無くなることへの無念さと酒造りに対する強い想いが、雪深い会津の酒蔵へと向かわせたのです。
さて『会津男山-わ-純米うすにごり生』、一体どんな味わいなんでしょうか?
『会津男山-わ-純米うすにごり生』はふくよかな甘旨みにバランスのいい仕上がり
酒米『夢の香』で、程よく乗った甘旨みと爽やかな切れ味
復活1年目のスタンダードである純米酒は、酒米に地元会津産の『夢の香』を使用しています。
この酒米は、八反錦1号と出羽燦々の交配種で、2003年に登録された福島県のオリジナル米です。 五百万石に比べて栽培特性や醸造特性に優れ、今や福島では一番多く栽培されています。
まず復活第1号は、福島の4番バッターでと言ったところでしょうか。
このお酒の味わいは、爽やかな口当たりながらしっかりとした旨みが感じられるバランスの良さ。 うすにごりなので少し甘旨みが強く感じられますが、後味は程よいキレがあります。
《原料米》『夢の香』
《精米歩合》60%
《酵母》-
《日本酒度》- 《酸度》-
《アルコール度》16度
《造り》純米酒うすにごり生
《お値段》720 ml 1,562円
《製造》2021年9月
復活一年目のラインナップは純米酒と純米大吟醸の3つ
酒造り復活1年目のラインアップは、決して欲張らずに3つ。 会津産米『福乃香』、そして『八反錦』の純米大吟醸と、会津産『夢の香』の純米酒のみ。
少し前に紹介した『廣戸川』は、なんと『夢の香』で鑑評会の金賞を取っていますね!
山田錦などでなく地元福島産米を中心とした酒造りで、『福乃香』純米大吟醸で早くも1年目で全国新酒鑑評会で入賞を果たしています。
解らないことだらけ、失敗と挫折を繰り返しながらも見事に入賞。 杜氏さん蔵人さんや奥さん共々力を合わせた酒造りの栄冠は、酒の神様の贈り物かな!
『 会津男山-わ-純米うすにごり生 』と今夜の肴
会津の秋も深まり、もう紅葉は終わりに近いでしょうか。 稲穂を刈り取った会津盆地の晩秋の風景が瞼に浮かびます。
会津のお酒のアテとしては、これまで『馬刺し』を多く取り上げてきましたが、もう一つ上げるとすれば『会津地鶏』がありますね。
そこで今回は、味のりした夏越し酒のわき立つような香気に、未だ温かいお持ち帰りの焼鳥と合わせてみました。
うすにごり生の柔らかな甘みと、焼き鳥の脂と焼き焦げたねぎの苦味と辛みが堪りません。
『男山酒造店』の紹介
『男山酒造店』さんは会津美里町、近隣には種蒔き櫻の名桜もある広い会津盆地の南部にあり、創業は1865年と150年余の歴史があります。
さて今回の酒蔵ストーリーは、なんと中年の星が20年も努めた会社を辞めて、昨年22年ぶりの酒造りを復活したことにつきます。
復活させたのは8代目蔵元となった小林靖さん、46歳。 6代目の祖父千葉義徳さんが亡くなった1998年に酒造りを休止し、7代目の叔父千葉不二彦さんが蔵の管理をしていたそうです。
きっかけは5年前、靖さんのいとこから酒蔵を廃業するかもとの知らせでした。
母の実家で過ごした夏休み、祖父との夕涼みなどの思い出の酒蔵が無くなることにいたたまれず、また酒造りに対す強い想いから、酒蔵を再建する覚悟を固めます。
それまで酒造りとは無縁の東京のIT企業に勤め、ずぶの素人の挑戦は周囲や家族から猛反対を受けます。
しかし靖さんの決意は揺るがず、まずは2018年より福島県の酒の神、鈴木賢二さんの指導を受けて、蔵の整備や酒造りのノウハウを授かります。
復活にあたっては、鶴の江酒造で造りを修行。 書き留めたノートは何冊にもおよび、素人相手に隠すことなく教えてくれた会津人の優しさに助けられたとか。
その間に蔵設備の更新を図り、洗米機と貯蔵用冷蔵庫を新設、さらに麹室を大改修したそうです。
そして酒造りの要には、飛露喜などの杜氏を務めてきた猪俣一徳さんを杜氏に向かえ、さらには会津杜氏会の会長のアドバイスも受けて、2020年11月より酒造りが復活しました。
まとめ
実はここより南の会津田島には、同じ男山でも歴史も300年と古い『開当男山酒造』さんがあります。 双方の成り立ちには関連がないようですが、少し紛らわしいですね。
また近くの西会津町には『黒男山』なる里山がありますが、その山名は関連がなさそうで、やはり剣菱などと並ぶ伊丹酒の代表銘柄にあやかったのでしょうか?
男山の銘柄を調べてみたら、なんと全国に24もあった! もとは、江戸期伊丹酒の代表酒であったが、明治初期に廃業。それ以降各地にあやかり銘柄が増えたそうだ。 伊丹の末裔から正統を伝承する印鑑を受継いだ旭川の『男山』が、正統銘柄とされているね。
ところで、『わ』の名称には優しく人を包み込む会津人の気質や、飲んだ人が心和むようなお酒になるようにとの願いが込められているそうです。
新ラベルの『わ』の揮毛は、福島の女性書家『根本みき』さんの書。 復活に期待する人々の気持ちを優しく包み込むかのような仄々としたデザインです。
あえて会津男山を前面に出さず『わ』の一文字を使ったところに、力を合わせた復活のパワーと感謝の思いを感じますね!
それでは皆さん、今回はこれで失礼します。