三輪の神様のもとで醸される日本酒『みむろ杉』は甘みと酸味の調和が抜群

みむろ杉 純米吟醸おりがらみ

日本酒ファンの皆さんこんにちは!

今回は奈良県の桜井市、三輪山をご神体とする酒造りの神様『大神(おおみわ)神社』の傍で酒造りをしている大西酒造さんの『みむろ杉 純米吟醸おりがらみ』を紹介します。

この地は日本酒発祥の地と言われ、毎年11月14日には全国の酒蔵さんや杜氏さんが集まり、新酒の醸造祈願をする場所でもあります。

さて『みむろ杉 純米吟醸おりがらみ』、一体どんな味わいなんでしょうか?

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『みむろ杉 純米吟醸おりがらみ』は澱由来のミルキーで爽やかな飲み口

仕込み水は、ご神体三輪山の軟水の伏流水を使用


《原料米》『山田錦』100%

《精米歩合》60%

《酵母》901酵母

《日本酒度》- 《酸度》-

《アルコール度》13度

《造り》純米吟醸/おりがらみ無濾過生原酒

《お値段》720 ml  1650円  

《製造》2021年11月

お酒のコンセプトに『三輪を飲む』と掲げてあるように、このお酒の仕込み水は蔵内の井戸に湧く三輪山からの軟水の伏流水。 

このお酒の酒米は、兵庫県産特Aの『山田錦』が贅沢に使用されています。 麹は総破精で作られ、米をよく溶かし込んでいるそうです。

酵母は『穏やかな香り』を放つ協会901号酵母を使い、フレッシュさを出すために搾った翌日に瓶詰めして、−5度で冷蔵貯蔵されています。

綺麗な米の旨みの訳は、手抜きをしない手間暇かけた酒造りにある

この『みむろ杉 ろまんシリーズ』は2012BYからスタートしたもので、造り全体の9割を占めているそうです。 

そしてこのお酒は、新酒の時期限定の純米吟醸おりがらみバージョンで、フレッシュ感が抜群。 澱由来のミルキー感を伴い爽やかな飲み心地ですね。

また2021BYからアルコール度数は13度・原酒にリニューアルされて、より飲み心地のよい仕上がりとなっています。

造りは全て大吟醸仕様の10kgずつで洗米され、完璧な糠切れが行われています。 そして900kgの小仕込みで醸され、米の旨みが綺麗に広がります

みむろ杉 純米吟醸おりがらみ
トラマサ
トラマサ

ラベルに『三輪に降る清き雨 めぐりて湧き出す、三輪の酒』とあるように、三輪の水と米に拘って、さらに酒造りの歴史や文化までも作り込んでいるようだ!

 『みむろ杉 純米吟醸おりがらみ』感想と評価
  • フレッシュ感があって、口当たりは瑞々しくてシャープで綺麗な酸味。 アル度13度で仕上げられ、抜群の飲み口です。   醇酒旨口タイプ
  • 720ml  100%山田錦で1650円はコスパ抜群のお値段です。 
  • 総合評点 8.5  ※あくまでも私個人の感想です。

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奈良の日本酒『みむろ杉 純米吟醸おりがらみ』と今夜の肴

奈良県桜井市三輪は、酒造りの聖地だけではなく、もう一つの名産があります。 皆さんよくご存じの『三輪そうめん』ですね!

何でも神話から生まれた日本麺食文化のルーツなんだそうです。 11月~3月の寒い時期に限定して作られ、塩分が少なく細くてコシが強いのが特徴です。

でも今は寒い時期なので、今回は豚汁と合わせて、にごりの柔らかい甘みと酸味を楽しんでみました。

みむろ杉と豚汁

『大西酒造』の紹介

創業360年余の老舗酒蔵を背負うのは、1983年生まれの今西将之さん。 酒蔵を継ぐ考えはあったものの、同志社大商学部に進みます。

そして卒業後はリクルートでトップセールスマンとして活躍しますが、2011年28歳の時に先代蔵元が急逝されます。

突然バトンを受け取った将之さんは、多角化していた家業の惨憺たる状況を目の当たりにします。 そこで改めて酒造業への集中を図ります

よく見れば造る酒の半数は普通酒、味わいは他の酒と利き酒をすれば間違いなく下。 ゆえに『三諸杉』のブランド力も全くない有り様でした。

みむろ杉 純米吟醸おりがらみ

原因は投資を怠った結果の設備の老朽化、そしてなにより蔵人の酒造りに対する情熱が不足していたのです。

そこで様々な技法を取り入れたり、香り高いお酒や酸味のあるお酒などの試行錯誤を繰り返してみますが、すぐに結果がでる訳はありません。 

そこで『大西酒造』さんが背負ってきた酒造り発祥の地特有の文化・歴史、酒蔵の使命を今一度明確にして、まさに強みと弱みを分析して5か年計画を立てます

酒蔵経営の本質は何かいえば、やはり酒の味につきます。 目指す酒質は『 穏やかな香りと、フレッシュで米の旨みが広がるキレイな酒 』と腹を決めます。

早くも2014年には全国新酒鑑評会で金賞を受賞。 以後5年連続で受賞を重ねますが、その間全国の酒蔵を巡りながらこれはと思った設備や技術を導入して酒質を磨き続けるのです。

2015年には首都圏の地酒専門店との取引が始まり全国へ取引を拡大するや、その利益をすべて設備投資と人材獲得に向けたのです。

設備については、ウッドソンの気泡洗米機、乾燥蒸気を使った蒸し器、全量瓶貯蔵のための冷蔵庫、酒母室や搾り部屋の冷蔵化、麹部屋の刷新、サーマルタンクの増設をしています。

また若い蔵人を毎年採用して通常の蔵の倍の人数を掛けるなど、丁寧な酒造りの基盤を築いていったのです。

そんな努力が2023年には仙台酒サミット1位、新設の酒屋大賞で1位、さらには2024SAKE COMPETITIONでソムリエシェフ賞受賞と、大輪の花を咲かせています

トラマサ
トラマサ

何といっても、特筆すべきは『小仕込みで丁寧な手作業、妥協のない酒造り』。 酒質改善もさることながら、経営改革のスピードは全国の酒販店や酒蔵を驚愕させているね!

『大西酒造』の概要
  • 1660年創業、360年の歴史ある今西酒造は、酒造り発祥の地三輪唯一の酒蔵。14代蔵元・今西将之氏は同志社大商学部卒。 社員30名、内蔵人18名。 
  • ミッションは『清く、正しい、酒造り』。 各工程は丁寧な手作業で、普通酒から大吟醸まですべて同じ作業を行う。 
  • 『三諸杉』は地元流通商品、『みむろ杉』は特約店向け商品。
  • ワイングラスでおいしい日本酒アワード2021で最高金賞受賞。
  • SAKE COMPETITION 2024 『ろまんシリーズ DioAbita』が純米部門ゴールド7位、ソムリエシェフ賞受賞。
  • 2023酒屋大賞GOLD受賞(1位)。 2023仙台酒サミット1位
  • 直売所あり。

まとめ

目指す酒造りの改革、そしてそのビジョンを共有する人材の登用、最新の設備の更新など、あらゆることにチャレンジしてきた大西さん。

敢えて酒造りのノウハウを学ぶ道でなくビジネスを極める道を選んできたことは、決して遠回りではなく、むしろ蔵の改革にとっては王道だったのかもしれません。

蔵元に帰ってきて10年、やっと理想の酒造りの環境が整い、これからは新たな道を広げていくそうです。 そのキーワードは、『米』『杉』『菩提酛』なんだとか。 

なかでも特徴的なのが地元吉野杉の杉樽や杉桶を使った酒造りで、これこそ地元と共にある酒文化の見事な発揚なのではないでしょうか!

日本酒文化の復刻、ニュー・ルネッサンスが酒造り発祥の地・三輪で始まるのでしょうか。 目が離せなくなりそうです

それでは皆さん、今回はこれで失礼します。

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