皆さん、こんにちわ!
今回は、山口県の下関市菊川にある新蔵、長州酒造さんの『天美』を紹介します。
長州酒造さんは事業承継により、建物も醸す人も全て入れ替わった酒蔵さん。 場所と仕込み水は変わりませんが、お酒の味わいが気になります。
それでは早速ご紹介しましょう。 長州酒造の『天美』どんな味わいなのでしょうか?
『天美』は香りはやさしく、お洒落で透き通った味わい
山口オリジナル酒米『西都の雫』で、穏やかな香りとすっきとした味わい
『長州酒造』さんを立ち上げたのは、太陽光発電システムを製造する地元企業『長州産業』さん。
全くの異業種ながら、実は新規事業でチョウザメの養殖に乗り出し、かけ流しが出来る清水を探していたところ、酒造りを止めていた『児玉酒造』さんに行きついたとか。
酒蔵がある菊川町は湧水の多い名水どころであり、仕込み水は児玉酒造さんの敷地内にあった2本の井戸水をブレンドして使っているそうです。
その井戸も建屋も設備も新たに更新された為、何度も何度も丁寧に洗浄して水質が整えられたそうです。
《原料米》麹米:山田錦20%、掛米:西都の雫80%
《精米歩合》60%
《酵母》K701
《日本酒度》- 《酸度》-
《アルコール度》特別純米生原酒、15度
《お値段》1800 ml 2860円
《製造》2021年1月
『天美』の麹米は徳地町産の『山田錦』、掛米は山口県オリジナル酒米の『西都の雫』で豊田町産、共に山口県産米が使われています。
酒蔵の近くの豊田町は酒米栽培が盛んな土地で、蛍や河鹿も生息しているのどかな山間部。 地産地消の酒造りには絶好の立地なんです。
精米は、酒蔵の想いをしっかり受け止めていただいている『萩酒米みがき協働組合』さんにお願いしているそうです。
この精米組合は、萩地区の酒造会社6社と山田錦を生産する12の集落営農法人で設立されたもので、全国的にも珍しい取組みなんです。『東洋美人』や『長門峡』の酒米もここで磨かれているんですね。
異業種ながら地元企業が継いだ新蔵、山口県産の酒米や精米組合との繋がりなど、しっかりとした地元志向の酒造りの意気込みが伝わってくるね。
さて、そんな清水と酒造好適米で醸された『天美』の味わいは、爽やかでジューシーな味わい。 原酒生酒ですが15度に抑えられているので飲み易く、後口のキレもよいですね。
掛米に『西都の雫』を使い、穏やかな香りとすっきとした味わいに仕上がっています。
山口の日本酒『天美 特別純米』と今夜の肴
山口県下関は、その昔は遠洋漁業で栄えた街。 近海ものでは『ふく(フグ)』が有名ですね。
でも取り寄せでは鮮度が落ちるので、今夜は『天美』の初出荷のお祝いとして、海鮮刺身盛りで乾杯といきましょう!
原酒ながら飲みやすいスマートな味わいの『天美』、スイスイと杯が進みますね。
長州酒造の紹介
高齢化や後継者問題、酒税法による新規参入のカベなどから、日本酒の酒蔵は今や減少の一途。
しかし長州産業の岡本晋社長は、地域の文化の中心である酒蔵の消滅を惜しみ、新規事業参入を決意したそうです。
さて杜氏スカウトの席では、候補者の藤岡美樹さんは日本酒事業新規参入のリスクを声高に述べますが社長は一歩も下がらず、社是とも言える『不退転の決意』で口説き落とします。
先ずは長期的視点から事業を行い、収益よりも良い酒造りを目指すこと。 さらには地元の米造りや食文化の発展などに寄与することなど、経営のベクトルが刷り合されます。
藤岡さんもその姿勢に異論はなく、ゼロから酒蔵を立ち上げるチャンスに賭けよう考え、新しい酒造りがスタートします。
蔵を率いる杜氏藤岡美樹さんは三重県出身。 東京農大醸造学科を卒業後は、奈良県の北岡本店、香川県の川鶴酒造、三重県の清水清三郎商店で蔵人や杜氏を務めてこられました。
建屋の建設が始まる段階で、藤岡さんが最も気にしたのが匂いだとか。
酒蔵は防湿作用のある木造建物ですが、接着剤や防かび剤は低臭・無臭を慎重に選び、しっかりとした換気システムが構築されています。
他にも麹室は木の香りをさけて、オールステンレスの2室式にしたそうです。 新しい甑やタンクが整然と並び、本当に近代的工場そのものです。
そして2020年9月から仕込みを開始、仕込み1号は四合瓶のみの約2,000本限定販売でしたが見事に完売。 今では一升瓶もリリースされ、先ずは四季醸造の順調な立ち上がりとなりました。
まとめ
『天美』の名称は天の恵みを醸すということから、『天照(あまてらす)』と『美禄(びろく)』から一文字ずつとって名付けらたそうです。
それにしても『天美』のラベルデザイン、煌めくダイヤモンドの原石のカットデザインなのでしょうか?
それともこれから時をかけ、磨かれてゆくお酒の味わいのデザインをなぞらえているのでしょうか?
それでは皆さん、今回はこの辺で失礼します。