皆さん、こんにちわ!
今回は、秋田県は新政酒造のカラーシリーズ『ラピス』を紹介します。
新政と言えば生酒の『NO6』が余りにも有名ですが、カラーシリーズは新政の火入れ酒のスタンダード、生酛造りの柔らかな酸が味わえるタイプのお酒です。
それでは早速ご紹介しましょう。 秋田新政酒造の『ラピス』どんな味わいなのでしょうか?
『新政ラピス』は、伝統回帰の生酛造りと木桶で醸されたピュアなお酒
特長1 秋田の酒米、秋田の水、秋田の酵母で作るピュアなお酒
《酒米》秋田産美山錦100%
《アルコール度》14度(原酒)
《精米歩合》麹米/掛米共55%
《酵母》きょうかい6号
《発酵容器》木桶
《生酛造り》乳酸・酵素剤・無機塩類の添加なし
《価格》720ml1894円(税込)
新政酒造八代目当主の佐藤祐輔さんが蔵に戻ったとき、目指したのは『ピュア』な酒造り。
ピュアとは、純粋だとか純情だとか、混じりけのないものを意味する言葉ですが、ここでは『原料や造り方』などの純血性や生粋に限定すると分かり易いでしょうか。
単一米、それも地元秋田産のみで、醸造アルコール添加なしの純米造り。 お酒の味わいを引き出す酵母も新政発祥の6号酵母のみを使用します。
そしてついには天然の乳酸を生み出す生酛造りへの転換を成し遂げたのです。
ラベルの裏書にも、表示義務のない乳酸など酸類、無機塩類や酵素材などの添加物は使用してないって書いてあるね! 主張も半端ないって!!
特長2 今時の日本酒の造りは『生酛』『木桶』がキーワード
実は、6号酵母は今どきの改良された香り系の酵母と違って、派手さはありません。 しかし、この酵母は醸造研究者であった五代目の吟醸造りの研鑽の末に発現されたものです。
6号酵母は低温で長期醗酵させる吟醸造りに適していますし、何より戦前の酵母なので、生酛づくりや木桶などの古の造りとも相性が良いとのこと。
そこで八代目祐輔さんは、全量純米酒造りや生酛づくりに切り替え、さらにはホーロータンクを次々と木桶に切り替えていったのです。
今では33本もの木桶が専用の蔵に並んでいるそうです。 2020年9月末には木桶が再度搬入されたそうですよ。 いよいよ全量木桶仕込みとなりそうですね。
特長3 『新政カラーズシリーズ』は様々な秋田米の個性が楽しめる
『新政カラーズシリーズ』は、秋田の酒米を単一米使用したもので『ヴィリジアン:美郷錦』『コスモス:改良信交』『ラピス:美山錦』『エクリュ:酒こまち』となっています。
勿論、酒米ごとに最大限の魅力を発揮する精米歩合で醸されています。
『ラピス』は、カラーズシリーズの中では純米吟醸クラスのお酒で精米歩合は麹米が50%・掛米が55%。 原酒でアルコール度は14°と、低アルコールの造りで体にも優しくなっています。
以前は、精米歩合は麹米40%・掛米が50%、原酒でアルコール度は15°でした。 多くの酒蔵は割水して16~17°なので、驚きの技術力です。
木桶仕込みの伝統様式を復活しつつも、蒸し工程やキャップの変更など新しき酒造りを模索していますので、醸造年度によっては酒質も変化します。
したがって蔵元のメッセージ(裏ラベル)は塾読必須ですね。
ラピスの味わいは、美山錦らしく品のいい甘味、スッときれる軽快な仕上がり。 上位の『コスモス:改良信交』は、酒米の血統は兄弟となるものの、味わいはやや甘めで伸びやかな酒質です。 酒米それぞれの持つ個性が楽しめますよ。
秋田の日本酒『新政 ラピス』と今夜の肴
複雑な味わいを醸す木桶仕込み、程よい酸味をもつ日本酒がトレンドとなってきています。
ワイン人気が続くのも、まさに理想的な食中酒が求められている時代を反映してのことなのでしょう。
今夜は『新政 ラピス』の酸味のあるお酒に、青み魚の焼き物で美味しくいただきました!!
新政酒造の紹介
新政を世に知らしめたのは五代目卯兵衛氏で、醸造技術の研鑽を進める中、現在使用されている最古の清酒酵母となった『きょうかい6号酵母』を誕生させたことにつきるでしょう。
そんな伝統のある蔵元に、現社長の八代目当主佐藤祐輔さんは2007年に蔵に戻り、次々と原料、設備、造りなどの大胆な改革を始めます。
祐輔さんの酒造りの方針は『100%秋田県産米使用』『全量生酛造り』『使用酵母は6号のみ』の純米酒造りを掲げます。 当初は地元向けブランドの『新政』がありましたが、今ではテーマ別の多彩なラインナップに代わっています。
特筆すべきは、原酒の持つ旨みを失わずしてアルコール度数14度と低く抑えることに成功。 飲みやすさを演出して、ワインを好む層など新しいファンを開拓していることです。
クラシックでモダンな新政の日本酒の秘密は、こんなところにあるのかもしれませんね。
まとめ
新政の由来は、明治政府の施策「新政厚徳」(しんせいこうとく)から頂いたそうです。 「厚き徳をもって新しい政(まつりごと)をなす」という意味なんだとか。
なるべき人が古き伝統の蔵元に収まり、そして日本酒の文化再興のリーダーとして新しい政(まつりごと)をなしてくれることに期待したいですね。
それでは皆さん、今回はこれで失礼します。