皆さん、こんにちわ!
今回は、長野県は上田市の信州銘醸さんの『鼎 純米吟醸おりがらみ』を紹介します。
『鼎(かなえ)』と言えば、幻の大人気の日本酒。 有名地酒店のブラインドコンテストながら、十四代よりも上に来たことがある銘柄です。
それでは早速ご紹介しましょう。 長野の『鼎』どんな味わいなのでしょうか?
『鼎番外おりがらみ』は、薄濁りのまろやかさと柔らかな旨みの味わい
黒曜石で濾過された超軟水仕込みで、やわらかい口当たり
『鼎』を醸す信州銘醸さんは上田市丸子にあり、酒蔵の傍には千曲川の支流『依田川』が流れています。
蔵の仕込み水はその依田川伏流水(硬度3.5)と、中山道の和田峠に湧き出る日本一の超軟水『黒耀の水』(硬度0.95)を仕込み水にしています。
『黒曜の水』とは黒曜石の岩盤で濾過された水のことで、ミネラル分が少なく腐らない水。 素材の香りや味をしっかり引き出すと言われています。
ミネラルが少なく糖化発酵活動がゆっくりとなるのですが、その水の特徴をうまく活かして、やわらかな口当たりで旨みのある酒質となっています。
《原料米》『金紋錦』『ひとごこち』
《精米歩合》55%
《酵母》自社酵母
《日本酒度》- 《酸度》-
《アルコール度》純米吟醸生、16度
《お値段》720 ml 1570円
《製造》2020年12月
なんでもその黒曜の水を、20キロも離れた山中まで汲みに行ってるそうだよ。 そう言えば、境港の千代むすび酒造も山奥まで毎日汲みに行ってるそうだね。
酒米は長野の酒米『ひとごこち』と『金紋錦』で醸され爽やかな香り
信州銘醸さんの信州に拘った酒造りは、酒米にも表れます。
酒蔵の近く、上田市丸子地区や武石地区の農家さんと『ひとごこち』と『美山錦』などの契約栽培を行っています。 使う酒米は県外の山田錦が1割で残りはすべて長野県産だとか。
そして生産した農家の方たちも、農閑期には自ら生産した米で酒造りに関わって貰っているそうです。
この『鼎番外おりがらみ』の酒米は、勿論長野県産で『ひとごこち』と『金紋錦』。 地元で減農薬で育てられているそうです。
フルーツを想わせる爽やかな香りで、おりがらみのフレッシュ感溢れる柔らかな味わいです。 旨みたっぷりながらもキレがよく、飲みやすい仕上がりとなっています。
特約店の『ワダヤ』さんのサイトの紹介によれば、R1醸造年度では麹米が美山錦、掛米が金紋錦。 R2年度は麹米がひとごこち、掛米が金紋錦に変更され、気持ち味わいが変化しています。
『鼎』の年間スケジュールと酒米、味わいの違いを同サイトからピックアップしましたので、購入の際の参考としてください。
鼎の種別 | 出荷時期 | 酒米 | 味わい |
純米吟醸生酒 | 通年 | ひとごごち・金紋錦 | フルーツを思わせる華やかな香り、圧倒的な口当たりの柔らかさと心地よい旨み、甘みが広がり、味わいの後半にはスッキリとしたキレのある味わい |
しぼりたておりがらみ生 | 冬限定 | ひとごごち・金紋錦 | 爽やかさを表現しながら、おりがらみによるまろやかできめ細かい旨みが広がり、キレのある酸、苦みが味わいをシャープ |
夏生おりがらみ生 | 5月末~夏 | ひとごごち・金紋錦 | 夏まで超低温にて熟成された夏酒。おりがらみによるまろやかで口当たりの優しい味わいに加え、旨み、コクを楽しめる1本。喉越しのキレもよし |
純米吟醸秋上がり | 8月下旬~秋 | ひとごごち・金紋錦 | 穏やかながら、パイナップルやバナナなどの香りがコクと共に感じられ、透明感のある酒質、口当たりの柔らかさ、きめ細かな旨みをキレのある酸がしっかりと引き締めてくれる |
限定大吟醸 | 10月~ | 兵庫山田錦 | 兵庫県山田錦を40%まで精米した大吟醸。香りは穏やかで、ほんのりフルーツを想わせる香り、透明感のある酒質と伸びのある旨みが口中をス~ッと非常に心地よく流れ込む味わい。 |
『秋上がり』は香り穏やかできれいな旨み。この『番外おりがらみ』は、すこし味わいがワイドになった感じ。 双方文句なしの旨さ!!
長野の日本酒『鼎番外おりがらみ』と今夜の肴
今はなくなったのですが、近所に信州牛の焼き肉屋さんがありました。 なんでも、りんごで育った信州牛のみを扱うお店で、しつこくなくて幾らでも食べれました。
信州牛は、地域の食品産業から出てくるさまざまな副産物を発酵処理した発酵飼料で育てられます。
リンゴジュースを絞った後のリンゴ滓、豆腐の副産物であるオカラ、味噌醤油からは大豆煮汁、そして酒粕などの副産物が有効に使われています。
今夜はそんなことを思い出しながら、和牛のたたきをいただきました。 『鼎』のフレッシュな香りと『和牛のたたき』の柔らかい味わいが、一層盃を進めてくれました。
信州銘醸の紹介
1958年通産省の近代化事業により、4つの造り酒屋が法人を設立し共同で瓶詰を始めることになり、そうして『信州銘醸』さんは誕生したんだそうです。
10代目蔵元社長の滝澤恭次さんは、上田高校を卒業後、東京農業大学の醸造科で学び帰郷。 蔵に戻って製造と営業も担当しました。
恭二さんは蔵に入って5年目に、超軟水の黒曜の水を仕込み水にと取り組みます。 苦労の末ようやくものにしますが、やはり拘りは地元長野の原料、手造りなんだとか。
最近は冷酒(生酒)の需要が多いので、搾った酒の旨みを保つために氷温タンクの増設や庫内の低温化など、温度管理のために設備の近代化を進めているそうです。
純米酒を凍結濃縮してアルコール度数を38%まで高めた「醲献」。22%をこえているので雑酒扱いだけど、多彩で高度な技術力があるね。
まとめ
『鼎』とは、中国の王位の象徴である古代の金属製器で、三本の足があるんだとか。
それになぞらえて、蔵内の三人の醸し人に信州銘醸に新しい息吹を起こして貰おうと立ち上げたのが、『鼎』なんだそうです。
そのお方とは、10年前の営業部長の滝澤恭次(現社長)さん、製造部長の工藤さん(現専務)・工場長の吉池さんの三人になります。
その鼎、数年前に東京の地酒店を中心とした日本酒試飲会で、参加者によるブラインドコンテストにより、あの十四代を押しのけて一位となったことがあります。
勿論、その時に出揃ったお酒で判断されるわけですが、十四代を超える酒を目指した先代の高い志は見事に実現されたのではないでしょうか。
いつまでも、品質本位の旨い酒を造り続けてほしい酒蔵さんです。
それでは皆さん、今回はこれで失礼します。