皆さん、こんにちわ!
今回は、福島県は高橋庄作酒造店さんの『会津娘 雪がすみの郷』を紹介します。
高橋庄作酒造店さんと言えば地元会津だけでなく、全国でも大人気の酒蔵さん。 地元のお酒屋さんでも入荷待ちの状況もあるそうです。
雪深い会津盆地の田圃にある蔵は、まさに農家酒蔵と言ってもいい趣ある佇まい。 米造りから始まるその酒造りは、全くぶれていません。
それでは早速ご紹介しましょう。 高橋庄作酒造店さんの『会津娘 雪がすみの郷』どんな味わいなのでしょうか?
『会津娘 雪がすみの郷』は、薄濁りらしく爽やかな米の旨みが感じられる
仕込み水は、会津盆地の清冽な伏流水
高橋庄作酒造店さんの酒造りのモットーは『土産土法(どさんどほう)』。 その意味は『全て会津の米と水を使い、土地の人が、土地の手法で、酒造りに取り組む』とのことなんだそうです。
会津盆地は東に磐梯山、北に飯豊山系の山々と、自然の湧水に恵まれた一等地。 まず仕込み水は、東の山麓大戸山系からの清冽な伏流水が使われています。
優しい口当たりは、会津の水の良さを感じさせます。
《原料米》『五百万石』又は『夢の香』
《精米歩合》55%
《酵母》不明
《日本酒度》±0 《酸度》1.5
《アルコール度》純米吟醸生、15度
《お値段》1800 ml 2920円(税込)
《製造》2021年1月
土産土法の会津の地にふさわしい『五百万石』と『夢の香』で醸す旨しお酒
高橋庄作酒造店さんは、明治初頭に酒造りを始めるまでは米造り農家。 雪解けの種まきに田植え、そして刈入れ後の酒の仕込みと、大自然のサイクルの中での米造りと酒造りは一連の家業。
特徴的なのが、なんと酒米栽培面積は4町歩(4万平方メートル)にも及ぶそうで、ちょっと自社栽培の規模が違います。 その田圃で有機栽培によって『五百万石』を大切に作られています。
実はこの『会津娘 雪がすみの郷』は、『五百万石』バージョンと『夢の香』バージョンの2種類があります。 ラベルに表示がありませんが、味わいは何方も間違いありません。
会津盆地の冬晴れは霞みに覆われるそうです。 この薄濁り酒は、そんな雪映えの日に絞られたのかのように、うっすらと澱がからんでいます。
開けたてはほのかに甘い香りがふわっと立ち上ります。 口二含みますと、しぼりたてらしいフレッシュで若々しい甘旨味が堪りません。 そして舌を微炭酸がくすぐります。
後半は綺麗な辛味を伴いキレていきます。 重すぎず、程よい旨味でスルスルと入っていく美酒です。
また高橋庄作酒造店さんは、2019年からひとつの田んぼからひとつの酒を造る「田圃シリーズ」という試みをされています。
同じ地域の田んぼであっても、水、土、風、陽当たりなどで、米の質や味は変化します。 そこで、田圃ごとの苦労や思い入れを『酒質の違い』に表現したんだそうです。
SAKE COMPETITION 2019では『会津娘 純米吟醸酒 羽黒西64』が早速8位に入賞しています。
とにかくも自作酒米への思いは強く、まさに『土産土法』といえる、土臭いこだわりが見えますね。 ワインのように、田圃ごとの酒米を味わう。 そんな時代が、うまく花開きつつあるのではないでしょうか。
『田圃シリーズ』を飲み比べてみると面白そうだね! ①純吟 穣 花坂境22 ②純吟 穣 羽黒46 ③純吟 穣 羽黒前27 ④純吟 穣 羽黒7 ⑤純吟 羽黒西64 田圃の番地表示かな。これは酒蔵と田圃に行くしかないな!
福島の日本酒『会津娘 雪がすみの郷』と今夜の肴
会津には『こづゆ』などの独特の郷土料理があり、勿論日本酒との相性も抜群です。
本物はホタテのだし汁なんですが、今日は昆布ダシで煮込んだ『さつま揚げと人参の煮物』と、『会津娘 雪がすみの郷』のうすにごりの米の旨みを楽しみました。
高橋庄作酒造店の紹介
『高橋庄作酒造店』さんは会津盆地南端の田園地帯、市中心部から約10キロの旧街道沿いの集落内にあります。
幕末の戊辰戦争では、激戦が繰り広げられた地だとか。 そのため屋敷を焼失して資料は一切残っておらず、創業は幕末から明治維新にかけてだそうです。
創業から昭和大戦時までには農地も拡大され、山林業や製材業まで事業も拡大していたそうですが、戦中の企業整備令により廃業となり、さらに戦後の農地改革で農地も大半を失われたそうです。
その後酒造りは復活しますが、昭和の三増酒時代で酒蔵は低迷。 四代目庄作さんがようやく三増酒と決別し、純米酒中心の酒造りに転換します。
そして芳醇純米の『会津娘』は1987(昭和62)年に誕生したのです。
高橋庄作酒造店さんの酒造りは、季節ごとの蔵出し、氷温・冷温貯蔵、瓶燗瓶貯蔵による丁寧な熟成管理など、日本酒を常により良い状態にすることを心掛けているそうです。
会津の冬は最近では真冬日とならない日があるとか。 そんな醸造環境の変化に対して、酒蔵にはサーマルタンクを導入しているそうです。
また『農!といえる酒蔵の会』にも参加。 この会は、一定規模以上の自作田や栽培経験がないと入会できないので、まさに正真正銘の『ドメーヌ蔵』と言えますね。
トラマサの一押しは上の写真にある「芳醇純米 会津娘」。 濾過を必要最低限に抑え、深くしっかりとしたコクが特徴。 会津若松の居酒屋さんではジモミン一押しだよ! 早速家に帰って一升瓶2連発で、参りました!
福島のグルメやお酒は、下記の記事を参照ください。
まとめ
高橋庄作酒造店さんの酒蔵は、会津若松市歴史的景観指定建造物に指定されているそうです。 そう言えば、赤色の屋根はどこか山陰の優しい風景とも似ています。
この赤屋根、雪深い只見線の沿線でよく見掛けますね。 会津の版画家『斎藤清』さんは冬の雪風景を多く描かれていますが、夏は赤屋根が描かれていますね。
会津盆地の雪解けの山の風景が描かれたこの日本酒ラベルは20年近く使われているそうですが、どこか懐かしい春待ちの情景で気持ちが明るくなります。
今年は雪が多いので水の心配はなさそうですが、高橋庄作酒造店さんは農醸一貫体制ゆえに、コロナ禍の需要に見合った米の植え付け調整など心配事が増えそうですね。
我らは、ひたすら家飲みで支援するしかありませんが、頑張りましょう!
それでは皆さん、今日はこの辺で失礼します。