皆さん、こんにちわ!
今回は、またまたやって参りました私の第三の故郷、福島県は会津坂下。
『飛露喜』と言えば、無濾過生原酒の新鮮な風味を世に広め、日本酒ファンをドカーンと増やしたと言ってもいいくらいの蔵元さんですね。
鮮烈なデビューを経てそれから20数年、酒造りはどう進化しているのでしょうか? 心配いりません、2019年のSAKE COMPETITION純米吟醸の部では見事1位の栄冠に輝いています。
それでは早速ご紹介しましょう。 幻の酒『飛露喜』どんな味わいなのでしょうか?
『飛露喜 純米吟醸』はきれいに澄んだ上品な香り、味がふわっと広がるタイプ
特長1 淡麗で旨みとキレのバランスのいいお酒です
例年『飛露喜』は、年末に特別純米無濾過生の定番品1800ml瓶を仕入れて年の瀬を迎えるのですが、今年はコロナ禍の影響でしょうか、とうとう720ml瓶も出てきました。
販売店さんも初めて見たと驚いてましたよ!
《原料米》麹米:山田錦、掛米:五百万石
《精白歩合》50%
《酵母》不明
《日本酒度・酸度》表示なし
《アルコール度》16度
《お値段》720ml 1870円(税込)
1800ml 3740円(税込)
さて、この『飛露喜』純米吟醸黒ラベルは夏の時期に出荷される生詰タイプとなりますので、香りは無濾過生原酒に比べて控えめです。
しかし、本当にきれいに澄んだ上品な香りで、味がふわっと広がるタイプのお酒です。 甘口というよりはやや辛口、旨みと後口のキレ、とってもバランスのいい日本酒に仕上がっていますね。
『飛露喜』の仕込み水は、阿賀川水系の伏流水をろ過して使用しているそうです。
実は、健司社長は製造工程の中でも『洗米』に拘り、米を傷つけずヌカだけを丁寧に落とすために気泡で洗う洗米機を導入しているそうです。
正真正銘本当に垢抜けした『飛露喜』の味わいは、ますます進化しているのではないでしょうか。
表示にはないのですが、麹米は山田錦に絞っているそうですね。 何でも造りこむうちに山田錦に惚れ込んだとのこと。
その代わり掛米は地元産20キロ圏内の五百万石でということで、まあ双方日本の代表酒米なので文句はないでしょう。
特長2 高い水準で安定した酒質、味の再現性に拘る
『飛露喜』といえば『無濾過生原酒』の起死回生の大ヒットにより販売も増進する中、健司社長も浮かれずに生酒の変質性から酒質の安定化への脱却を図ります。
実は火入れ酒は生酒に比べて作り手の実力が問われるため、サーマルタンクや冷蔵設備の設備投資を積極的に行ったそうです。
そして廣木酒造では味の再現性のために、9号系や10号系など複数の酵母でそれぞれ仕込みを行ない、出来上がってからブレンドするそうです。
どの酵母がどんな酒を生成するかを見てからブレンドする方が、良し悪しの因果関係を見て取れるし、酒質の再現性も高まるんだとか。 然りです。
基本は一つのタンクで単一酵母での仕込みだそうです。
そう言えば、シャンパンの世界的権威が富山の酒蔵で醸した10種類近くの酒をブレンドし始めたとかって聞いたけど・・・
ブレンドの技術って、日本酒でも使われているんだ。 難しそう・・・
福島の日本酒『飛露喜 純米吟醸』と今夜の肴
『飛露喜』は淡麗系で呑みやすいので、食中酒としてグイグイいけます。
暑い夏には『だだちゃまめ』でぐいぐいと味わいましたよ。
廣木酒造本店の紹介
会津坂下町は人口わずか1.5万人の小さな町。 この小さな町に、しかも通りを隔てて3軒の酒蔵があります。
実は半年前、雪の会津線の列車とバスの旅に出かけました。 残念ながら冬のプランのため、酒蔵と酒店への立ち寄りがなく残念な思いをしましたが、会津線や会津バスで皆さんも出かけて見て下さい。
彼方に見える飯豊連峰、広々とした会津平野、青い水をたたえ悠々と流れる只見川、心が癒されます。
9代目当主廣木健司さんが蔵元に帰られたのは1994年、洋酒メーカーを退社してのこと。 先代が急逝され、母君と二人で再出発も廃業の危機。
そんな中でNHKの取材を受け、その全国放送を見た東京の酒屋さんが手を差し伸べます。
2年目にして個性を出すために作られたのが、飛露喜の代名詞『無濾過生原酒』のお酒だったそうですね。 もう皆さんよくご存知の話で、このお酒が世に広まった所以でした。
廣木酒造では流通にもこだわり、受注出荷ではなく、最初に出荷量、割り当てを決めて仕込み計画をすることで、酒の味を損なうことなく消費者に届けているとか。
勿論、需要が大幅に供給を上回ってのことではあるのですが。 人気銘柄の十四代、新政などもそんな方式だそうです。
まとめ
毎年年末年始には、十四代は無理にしても飛露喜や而今などお気に入りの酒に囲まれていたのですが、去年は飲んでいませんでした。
旅先の酒屋で飲んではみるものの、そのど真ん中の酒質から評価すべきインパクトが弱く記憶から消え去りつつありました。
そんな中で、手に入った『飛露喜』が2回連続で、しかも『十四代 純吟』『作 雅の智』『写楽』との競演になりました。
最初はやはり控えめ・・・ でも杯を進めていくと飲み飽きしない中庸な味、そのど真ん中に飛露喜はしっかりと立ち位置を持っていました。
飛露喜(ひろき)とは「喜びの露が飛び散る」という趣旨のネーミングだそうですね。
私は、このお酒を知らない人には、こう説明しています。 飛んで、ロシアが喜ぶって・・・ 安倍さんに教えてあげたいですね。
今では、もう使えない冗談になってしましました・・・
それでは皆さん、今回はこれで失礼します。