皆さん、こんにちは!
今回は、長崎県は平戸市の『福田』(山田錦等外米)を紹介します。
平戸市は本土最西端にあって遠い昔からアジアと結ばれ、そしてかの宣教師『ザビエル』が、切支丹布教の手段として葡萄酒や焼酎を持ち込んだ伝来の地。
さて、異国情緒漂う平戸の『福田』(山田錦等外米)は、一体どんな味わいなのでしょうか?
『福田』(山田錦等外米)は、雑味のない淡い米の旨みと瑞々しい酸味がある
酒米は山田錦の等外米ながら、丸みのある味わいは変わらず
『福田』の仕込み水は、『屏風岳』中腹の原生林の湧水を使用。 この湧水はミネラル分の少ない軟水で、まろやかな酒質を生み出しています。
またこのお酒の原料米『山田錦』は、2020年に襲来した台風9、10号により甚大な被害を受けた契約農家さんの等外米を使用しています。
『等外米』とは、農産物検査法で規格外(特上、特等、1~3等の等級規格外)に格付けされた米です。 昨年の長崎の等外米比率は7.1%と多く、福岡を除いて他の九州各県も不作でした。
ところで特定名称酒は、等級米の使用が義務づけられていますので、等外米を使用すると『普通酒』となってしまいます。 ですからこのお酒のラベルには種別表記がないのです。
《原料米》『山田錦』等外100%
《精米歩合》70%
《酵母》-
《日本酒度》-3 《酸度》1.7
《アルコール度》14度
《造り》生原酒
《お値段》1800 ml 2200円
《製造》2021年7月《出荷》2021年8月
この等外米は粒が不揃いとなるため仕込みが難しく、さらに味落ちも早くなるので、それなりの醸造技術がもとめられるそうです。
とにかく福田酒造さんでは酒米には拘りがあって、純米酒以上はすべて『山田錦』が使用されており、等外米と言えども大事に醸されています。
勿体ない精神と農家を守るために、山口の旭酒造や酒井酒造なども契約米をすべて買い上げて『獺祭等外23』や『五橋トラタン』を醸しているね。
精米歩合70%ながら丁寧な手作業で、雑味なく丸みのある味わいに仕上がる
それにしてもこのお酒の精米歩合は70%と高い磨きではありませんが雑味はなく、山田錦のもつ丸みを帯びた味わいは失われていません。
実はこのお酒は、蔵元初挑戦となる麹甘酒4段仕込が行われており、米が持つ自然な甘味とキレの良い酸味のバランス感があります。
そしてアルコール14度の原酒で仕上げられていますので、夏にピッタリの爽やかな味わいです。 飲み疲れることなくスイスイと飲めます。
福田酒造でつくられる日本酒の多くは、米の外側の脂肪やタンパク質が、お酒特有のイヤな匂いにならないよう、洗米、麹造り、発酵の工程は、ほとんど手造業で行われています。
これが、香り爽やかですっきりと飲みやすい日本酒に仕上がっている理由でしょう。
長崎の日本酒『福田』と今夜の肴
平戸島は九州本島と橋でつながっており、『福田酒造』さんは島の南部にあって本土最西端の酒蔵となっています。
平戸島の名産は沢山ありますが、なかでも『飛魚(アゴ)』『平目』、そして近海で『鯵』『鯖』も沢山獲れます。
今日は〆鯖の味わいが、『福田』のスッキリ味にすこし勝ったでしょうか?
『福田酒造』の紹介
『福田酒造』さんは平戸島南部の志々伎(しじき)町にあり、1688年(元禄元年)平戸藩の御用酒屋として創業、330余年の歴史を誇っています。
九州は温暖な地にあって造りの時期は冬季に集中しますが、平戸島の冬は5度から15度位の気温で、南国にしてはまずまずの寒さがあるそうです。
そんな自然豊かな地にあって、創業当時のままの元禄蔵は蔵に川床が這わされ、クーラーをいれなくても常に涼しい環境が保たれ、今も現役で活躍中なんだとか。
15代目専務取締役の福田竜也さんは東京農大を卒業後東京の酒販店で修行し、2007年に帰郷します。
そこで長崎のお酒を全国の人に飲んでもらいたいとの思いから、2009年に特約店向けに『福田』を立ち上げたそうです。
福田を開発するにあたっては地元の休耕田を自ら甦らせ、また農家さんとも二人三脚で少しづつ歩んできたとか。
そして蔵人5人(福田ご兄弟と蔵人)で力を合わせた酒造りは、最近IWCやKURAMASTERなど海外の高評価を受けて、全国でも人気が高まっています。
まとめ
長崎県酒造組合には24の酒蔵があり、うち13蔵が清酒を、そして20蔵が焼酎を醸しています。 なんと長崎は焼酎文化県なのです。
『福田酒造』さんでも米、麦、サツマイモの焼酎を醸していますが、他の蔵と少し変わっているのが地元特産のジャガイモで醸した焼酎『じゃがたらお春』。
伝統の単式蒸留による手作りの味わいは、スッキリと飲みやすいそうです。 そして、長崎で大人気なんだとか。
今度は、そのスッキリ味のジャガイモ焼酎を是非飲んでみたいですね!
それでは皆さん、今回はこれで失礼します。