日本酒ファンの皆さん、こんにちは!
今回は、東広島市は黒瀬町の『賀茂金秀 特別純米13』を紹介します。
東広島市といえば、以前紹介した亀齢酒造さんなどがある、日本有数の酒処。 でも金光酒造さんは、西条の酒蔵からは離れたのどかな田園地帯にあります。
さて、『賀茂金秀 特別純米13』は一体どんな味わいなのでしょうか?
『賀茂金秀 特別純米13』は果汁のようなジューシーさとふくよかな旨味
『 賀茂金秀 特別純米13』 は酸がキリッと効いて余韻が綺麗
金光酒造さんはの仕込み水は西条辺りの軟水ではなく、ミネラル分の多い中硬水。 実は以前は鉄分が多かったそうですが、ある時期を境に水脈が代ったそうです。
その硬度の影響で、発酵時の炭酸ガスが残る微発泡系のお酒に仕上がるそうです。
『賀茂金秀』のコンセプトは、『体への負担が少なく、かつ味わいを損なうことのないお酒』だとか。 スッキリ綺麗な味わいはこの仕込み水によるのでしょうか。
《原料米》麹米『雄町』/掛米『八反錦』
《精米歩合》麹米50%/掛米60%
《酵母》-
《日本酒度》- 《酸度》-
《アルコール度》13度
《造り》生原酒
《お値段》1800 ml 2860円
《製造》2020年12月
さて酒米は、この蔵で最も多く使用している『赤磐雄町』を麹米に、そして掛米に広島県産『八反錦』が使われています。
酵母は明らかにされていませんが、9号系でしょうか? 上立ち香はイソアル系の柔らかい香りが仄かにします。
賀茂金秀の造りの特徴として、酒を絞り終えて3日以内に生のまま瓶詰めしているそうです。 生酒以外はその後瓶燗火入し、冷温貯蔵が徹底されます。
これによって、完全にはガスは抜けずに新酒の風味が閉じ込められ、火入れでもフレッシュで心地よい仕上がりとなっています。
そしてこのお酒の造りはアルコール度13度の生原酒。 フレッシュさやお米の旨みそのままに、すっきりとした優しい喉越しで、後味もきれいで飲み疲れしません。
『 賀茂金秀 特別純米13』は、高温糖化法でスッキリ仕上がる
さらに特徴的なのは酒母づくりで、『高温糖化法』で仕込まれています。 この方法は生酛などに比べて複雑な味わいは出せないものの、雑味の少ない仕上がりとなるとか。
高温糖化法は、1947(昭和22)年に広島の中尾醸造4代目の中尾清磨氏が開発したものです。 蒸米・麹・水を混ぜ合わせる最初の工程で、55℃で8時間保たれます。
それによって野生酵母や雑菌を殺菌され、高温で糖化するため酒母が10日程度でできあがります。 生酛や速醸に比べ雑味の少ないきれいなお酒に仕上がるそうです。
このお酒は25BYで試験醸造されてデビュー、低アル原酒の先駆け的な商品だったかな。 ラベルデザインもワインのように縦細でスッキリしているね!
広島の『賀茂金秀 特別純米13』と今夜の肴
今年の夏は、酷暑よりも豪雨が災害となってしまいましたね。 広島も沢山降って、お米の出来が心配ですね。
さて今回は、冷たく冷やした低アル原酒のしっかりした旨みと鮭のハラミの脂身と合わせて、残りの残暑を乗り切りましょう。
『金光酒造』の紹介
『金光酒造』さんは、酒都西条からは南に15キロ離れた黒瀬地区にあります。 高度成長期の生産石数は1500石程度あったそうですが、全量が普通酒。
5代目蔵元兼杜氏の金光秀起さんは1998年に東京農大を卒業し、すぐ蔵に入ります。 しかしながら蔵の経営は危機的状況を迎えていました。
先代の正昭さんは、季節雇用の蔵人確保が困難なことから選択を迫られ、液化仕込みの自動化機械の導入を1994年に行います。
しかし洗米や蒸し作業の合理化はできたものの、期待された酒質は薄っぺら。 いくら小売りで拡販しても、価格競争に巻き込まれて売上げは下がる一方でした。
あるとき、秀起さんは心から美味しいと思った『十四代』に出会います。 自分の蔵でも感動を呼ぶお酒を造りたいと、高品質路線に舵を切ることを決意します。
幸いだったのは2004年に結成された広島の有力酒蔵で造る『魂志会』のメンバーに加わったことです。『雨後の月』『富久長』などの先行する酒蔵の造りを学び、積極的に取り入れていきました。
まずは全国新酒鑑評会にて金賞を取ることを目標に、安酒のイメージの定着した『桜吹雪』であえて勝負をかけたのです。
そして開発をはじめて7年、2008年に地元酒米『千本錦』を使用した『桜吹雪 大吟醸』で、ついに全国新酒鑑評会金賞を受賞します。
さらに2010年には西条の鑑評会で堂々首席1位を獲得。 その後国内外のコンクールでも数々の受賞をし、全国の日本酒ファンに知られる存在になったのです。
『魂志会』のメンバー である相原酒造さんと、同じスペックの『低アル純米大吟醸』の競作したり、お互いの『糀交換』したお酒を企画したりで、業界に新風を吹き込んでいるね!
まとめ
『賀茂金秀』のネーミングは、蔵元がこれならというお酒を持ち込み、酒販店さんと相談しながら決まったそうです。
そこで錦秋が候補にあがりますが既に使用されていたため、自らの姓と名から一文字ずつとり、『金秀』となったとか。
錦秋よりも『金秀』のほうがコンテストで沢山金賞が貰えそうで、とてもいいですね! でも、最近人気銘柄の『加茂○』の字と『賀茂』を混同されやすいそうです。
まあ、お互い人気の日本酒銘柄となって、これも有名税なのではないでしょうか。
それでは皆さん、今回はこれで失礼します。