和歌山の日本酒『紀土 春ノ薫風』は爽快な香りと滑らかな口当たり

紀土 純米吟醸春ノ薫風

日本酒ファンの皆さんこんにちは!

今回は、IWC2019,2020の『Brewer of the year』に輝いた和歌山海南市の平和酒造さんが醸す『紀土 純米吟醸春ノ薫風』を紹介します。

透き通ったボトルに鮮やかな桜色の文字が、春らしさを感じさせてくれますね。

さて『紀土 純米吟醸 春ノ薫風』、一体どんな味わいなんでしょうか?

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『紀土 純米吟醸 春ノ薫風』は、香り甘みのバランスがよくキレ良い味わい

季節限定の春酒は、『Kid』の若々しい切れ味で勝負!

『平和酒造』さんがあるのは、和歌山県海南市溝ノ口。 古くから稲作が盛んで、水路が張り巡らされているそうです。

このお酒の米歩合は麹米は50%、掛米55%で、酒米は『五百万石』。 春酒の若い切れ味がうまく出ているでしょうか。

今年のお米は堅く溶けにくかったようで、多くの酒蔵さんがご苦労された様子。『平和酒造』さんでは強い麹を作る事で、甘旨味を出す工夫をされたとか。

さて、酒蔵の近くには高野山系からの貴志川が流れ、仕込み水はその豊富な伏流水を使っているそうです。


《原料米》『五百万石』

《精米歩合》麹米50%、掛米55%

《酵母》-

《日本酒度》- 《酸度》-

《アルコール度》15度

《造り》純米吟醸/生酒

《お値段》720 ml  1265円  

《製造》2023年3月

前仕事がいいのか、柔らかくて瑞々しい口当たりに中にも、ほんのりと感じる苦みがアクセントとなっていますね。

紀土の造りと出来は年を重ねるごとに深化 している

酒蔵は1016年に立て増しが行われ、内部の柱や壁には防腐・防虫・防水・抗菌作用のある柿渋が毎年塗り込められています

造りの特徴の一つは、『上田式製麹法』と言われる『盛り』の段階でプラスチックのたらいを使う方法が採用されています

事前に麹をしっかりと乾かしておくことで、盛り後は破精込みの管理だけを行うことが可能になり、製麹の再現性が上がり作業の効率化や夜間作業が減るそうです

また酒母造りは、高温糖化法で効率よく安定的に作業がすすめられています。 酵母は、18号、7号、9号、14号が使用されています。

紀土 春ノ薫風

仕込みは1500kgの中規模サーマルタンクで、ヤブタで搾られています。 勿論、空調はマイナス1度でコントロールされています。

さらに製造石高も2000石となっているので、製品倉庫の保冷コントロールにも抜かりありません。 

データを積み重ね、科学的・経済合理性をベースに品質向上を追求するスタイルは、間違いなく経営の安定性をもたらしていますね。

トラマサ
トラマサ

データ志向だけではなく、蔵人の皆さんは毎日何十種類もの利き酒をして、味覚のトレーニングをしているそうだ。 最後はそこですかね・・・

 『紀土 純米吟醸 春ノ薫風』感想と評価
  • 華やかな香りで、ほのかな甘みの中にわずかに苦みがあり余韻の残る味わい。バランスよくて、春のお花見にピッタリなお酒です。 淳酒やや辛口タイプ
  • 720ml  純吟で1265円は、信じられないコスパ抜群のお値段です。 
  • 総合評点 8.4  ※あくまでも私個人の感想です。

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『紀土 純米吟醸 春ノ薫風』と今夜の肴

和歌山県は蜜柑や梅、柿などのフルーツ栽培が盛んな一方で、鱧、鯛やマグロなどの水産物も豊富。

近年は、その代表的産物の梅酢のエキスを混ぜたエサでマダイも養殖されています。

さて淡くも軽快な仕上がりとなった、春の門出の季節にピッタリの『紀土 純米吟醸 春ノ薫風』に、ちょっぴり苦みのある春野菜のヌタで春を祝いました

『紀土 純米吟醸 春ノ薫風』と春野菜のぬた

『平和酒造』の紹介

『平和酒造』さんの創業は1928年(昭和3年)。 初代山本保氏は、谷口酒造から無量山超願寺というお寺の婿養子となり、酒造業を始めます。

昭和の戦中戦後は酒造りを休止。 2代目保正氏はやっとの酒造り再開にあたり、蔵名を平和な時代への想いを込めて『平和酒造』とします

ところが親戚の酒蔵を借りて再出発するも、一度休止した酒造りは思うようにはいかず、もっぱら京都への桶売りを生業とすることになります。

3代目文男氏の時代にようやく桶売りから元請けへと事業転換し、大量生産型のパック酒を売り出します。 

そして『平和酒造』の名を世に知らしめたのは4代目典正氏。 京都大学経済学部卒業後はベンチャー企業に身を投じますが、2004年に蔵に戻ります。

『紀土純米吟醸しぼりたて』

蔵に戻っての最初の改革は、安売りパック酒からの脱却。 翌年、自社ブランド確立とばかりに発売したリキュール『鶴梅』がヒットします

成功要因は紀州のブランド果実で梅酒ブームにのったことと、品質管理を重視する酒販店に販路を絞り込んだ戦略が見事に奏功します。

さて本丸の日本酒造りは、柴田杜氏ともども他蔵の見学や講習会に参加し試行錯誤を繰り返します。 道半ばに日本酒イベントに初参加するも、実力不足が露呈。 

ようやく及第点の酒が出来上がったのが2007年9月。 紀州の風土やこれから成長していく意味を込めた『KID』とを掛け合わせた『紀土』をデビューさせます

トラマサ
トラマサ

14年位前にデビューしたての紀土を飲んだ時、無名ながらその綺麗な飲み口に驚いたよ! そして何よりもそのコスパの良さに二度びっくり

ところが開発に4年の歳月をかけたお酒も、売上げ1億円に届くのに6年かかったそうですから、たゆまぬ品質改善や経営改革は続きます

一方、組織改革では季節労働から通年雇用に切り替え大卒新人を採用し、夏季には梅酒づくり。 杜氏にはノウハウの開示を求め、データの見える化や共有化を現場に導入します。 

加えて1年目からすべての責任仕込みをするタンクを蔵人に与え、一気に醸造技術の習得ができる環境を整えて、やる気と責任感の醸成を図ります。

こうして、2016年には僅か入社4年の女性蔵人をビール醸造責任者として抜擢し、『平和クラフト』を生みだします。

そして2020IWCでは、史上初の『チャンピオン酒』と『サケ・ブリュワリー・オブ・ザ・イヤー』の2冠の栄誉に輝き、見事に経営改革の成果を結実させたのです。

 『平和酒造』の概要
  • 1928年(昭和3年)に創業と歴史は浅い。蔵元は四代目・山本典正氏で京都大学経済学部卒業、同大学院MBA。 杜氏は柴田栄道氏。 社員数17名、平均年齢31歳。 ミッションは『紀州の風土を感じる酒づくり』
  • 和歌山では日本酒『紀土』、リキュール「鶴梅」、女性蔵人が造るクラフトビール「平和クラフト」を、そして東京兜町で『平和どぶろく』を醸す
  • IWC2019,2020の『Brewer of the year』を2年連続受賞。また2020では『紀土無量山』が『Chanpion Sake』を受賞、2021では純米吟醸トロフィーを受賞。
  • Kura Master2022純米大吟醸部門金賞受賞。2021五百万石部門プラチナ受賞、2021純米酒部門・純米大吟醸部門金賞受賞。
  • 世界酒蔵ランキング2022は第5位。2021は第2位
  • キーノ和歌山にコンセプトショップ『平和酒店』を出店、蔵人も店頭に立ちます。

まとめ

蔵元山本さんの青春時代からの趣味は、日経新聞最終面にある『私の履歴書』の愛読とか。 

政治経済、文化スポーツなどで大きな業績を残した人物の半生の言葉や偉業を成し遂げた経緯は、時を超えてその知恵や哲学が伝わってきます。

さて僅か20年ながら山本さんの履歴書からは、梅酒や日本酒のニューブランディング、製造体制の見直し、新卒社員採用や女性登用、事業の垂直展開など示唆に富んでいます

そして今、日本酒の伝道師として『いい酒を造り』『おいしさを知ってもらい・楽しんでもらう』ようなイベントを仕掛けます。 さあ皆さんも出掛けてみましょうか!

それでは皆さん、今回はこれで失礼します。 最後までお読みいただき有難うございます。 

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