皆さん、こんにちわ!
今回は、岩手県は盛岡の『赤武(AKABU)夏霞』を紹介します。
昨年は、吟醸酒の『AKABU F』を紹介しましたが、今回は夏の純米酒となります。
今や岩手を代表する人気銘柄になった『AKABU』、若き杜氏古舘龍之介さんをがつくる『赤武(AKABU)夏霞』どんな味わいなのでしょうか?
それでは早速ご紹介しましょう。
『赤武(AKABU)夏霞』はスマートな旨みから、軽やかにキレる
赤武(AKABU)夏霞は、岩手産吟ぎんがの柔らかな酒質
この『赤武(AKABU)夏霞』は、盛岡市郊外の北上川伏流水を仕込み水として使用しています。
瑞々しい果実香に軟水仕込みならではの柔らかな酒質、本当にすいすいと杯がすすみますね!
《原料米》岩手県産『吟ぎんが』100%
《精米歩合》60%
《酵母》-
《日本酒度》±0 《酸度》1.5
《アルコール度》15度
《造り》純米/1回火入れ
《お値段》1800 ml 2860円(税込)
《製造》2021年5月
現在岩手県では『吟ぎんが』『ぎんおとめ』そして『結の香(ゆいのか)』の3種類の酒米が栽培され、酒造りに使われています。
このお酒の酒米は『吟ぎんが』。 『赤武シリーズ』の純米・純米吟醸の定番酒は、この酒米が使用されており、杜氏龍之介さんはもうすっかり手の内としていますね。
スマートな旨みから、フィニッシュには若々しいわずかなほろ苦みも感じられて、軽やかにキレていきます。
オリが絡みながらも透明感溢れるさらさらとした飲み口、絶妙な味覚のバランス
このお酒に驚かされるのが、夏酒ゆえに一度の火入れ(プレートヒーター火入れ)をして、なおかつ綺麗な甘みを維持していることでしょうか。
『うすにごり』酒に火入れして、しかも夏酒よろしく軽くというのは、たいへん困難な醸造条件と言えますね。
同じ夏酒に『赤武純米酒 AIR』(火入れ)がありますが、アルコール度12度ながら爽やかな香りと水のような清らさで体の中に染み込んでいきます。
実は冬の限定酒『SNOW』(生)もおりがらみで13度と、心地よい甘味と小気味の良い酸で優しい飲み口は、この辺りのゾーンがターゲットなのでしょうか。
とにかくもこの『赤武』シリーズは、フレッシュな味わいと酸味の絶妙なバランスは秀逸で、モダンな飲み易い酒に仕上がっています。
赤武の特徴は、『フレッシュ』『甘み』『飲みやすさ』かな。 ここにきて、低アルの米の旨みが感じられる味わいになってきたね!
赤武シリーズのまとめ
素晴らしい唎酒能力を持つ龍之介さんの酒造りのポリシーは、『美味しくないお酒は絶対に出さない』。
『吟ぎんが』『結の香』といった岩手県産米や、酵母も岩手県の『ゆうこの想い』『ジョバンニの調べ』等を用いて地元の素材に拘って醸されています。
ここでは、岩手県産の酒米で入手しやすい純米酒、純米吟醸酒の生酒を中心に季節別の造りのデータを集めてみました。 勿論、火入れタイプ(1度火入れ)もあります。
なお岩手県産米以外では、岡山県産雄町、兵庫県産山田錦、兵庫県愛山が使用されています。
種 別 | 酒米/精米% | 特 徴 |
吟醸酒/F NEW BORN(生) | 吟ぎんが60% 定 | ガス感があり、生酒ならではのフレッシュさを感じつつ、キレも良いお酒です。「日々美味しく召し上がれる清酒を醸そう」と想いを込めて醸した吟醸酒。 |
純米酒NEW BORN(生) | 吟ぎんが60% 定 | ほんのり甘い香り、僅かな炭酸ガスの刺激と共にバランスの良い旨味と酸味が心地良く広がります。 |
純米酒AIR 無濾過火入れ1回 | -/60% 夏 | フレッシュな香りで、微炭酸を舌で感じつつ、甘み旨味を感じ、後から酸が広がります。アル度12で、非常に軽い飲み口でありながら、膨らみのある味わい。 |
純米酒ひやおろし火入れ1回 | 美山錦、県産米60%秋 | ほんのりと甘くて爽やかな香り立ち、柔らかい口当たりで、旨味、甘味、酸味がバランス良く広がり、後口のキレも良いドライな味わい。 |
純米酒SNOW | -/60% 冬 | 無濾過生で口に含んだ瞬間から果実感と共に爽やかな甘味と、ほのかな酸とが混じり合う。 |
純米吟醸NEW BORN(生) | 吟ぎんが50% 定 | 上品な香りが立ち、口中で柔らかく花咲くように旨味が広がります。生酒ならではのフレッシュ感と喉越し。SAKE COMPETITIONで、2016年に純米吟醸部門GOLD |
純米吟醸NEW BORN(生) | 結の香50% | フルーティーな香りが立ち上り、口中で柔らかく広がるバランスの良さと透き通る様な喉越し。SAKE COMPETITION2019で純米大吟醸部門SILVER受賞。 |
岩手の日本酒『赤武(AKABU)夏霞』と今夜の肴
なんだか、今年の梅雨入りは早そうだったのに、なぜか思わせぶりなおとめチックな雲行きで雨も少なめ。 だから30度以上の夏日どころか、はやくも猛暑日も・・・
やっぱり、暑い日は塩もみキュウリか、キュウリとワカメの酢の物が一番ですね!
『赤武酒造』の紹介
『赤武酒造』さんは、もともと岩手県沿岸部の大槌町にあり、東北大震災で大津波の被害を受けて、盛岡市内に蔵を移転。
そして、学生時代に利き酒チャンピオンを取った若き杜氏古舘龍之介さんと、醸造経験の浅い若い蔵人さんが中心となって再生を果たした酒蔵さんです。
女性蔵人も半数いますね。 社長さんが女性でも男性と同じように酒造りが出来るようにと、出来るだけ設備を機械化したそうです。
また衛生面には特に注意が払われており、麹室や搾り機は専用部屋となっています。 麹部屋の壁と床面の接合部は丸く埃が溜まりにくい仕様で、とにかく清掃が徹底されています。
全くの新増設の酒蔵なので、設備もよく考えて作ってあるね。 醪タンクは開放式ながら、床上の高さは丁度女性のまた下あたりで調整してあり、落下事故がないように設計されてあるそうだよ。 エライ!
ところで新設の酒蔵は、岩手県工業技術センターがすぐ向かいにあります。 この辺りは、社長さんもよく検討されたのでしょう、検査や相談がすぐできる立地なんです。
こんな環境に胡坐をかくことなく、若き杜氏の龍之介さんは『妥協せず仕込み一つひとつを大切に、日々進化する酒造り』をすすめています。
赤武酒造さんの前回紹介記事は、以下のページをご覧ください。
まとめ
赤武酒造さんの会社は、震災後に酒蔵を再建。 三陸からは2時間掛かるため、蔵人も新規雇用となりました。
採用した社員の方は時計販売とか介護の分野で、酒造りは未経験。 人を活かすため、蔵の働き方の改革をすすめ、週休2日のシフト制の導入や夜間や泊まりの業務を無くしたそうです。
酒造りの期間も、10月から5月までと8か月にして作業を分散させたとか。
数多く並んだお酒の中でもひときわ目立つ『赤兜』のラベルは、酒造り未経験の社員さんのデザイン。 そう、社員みんなでつくり考えるお酒、『赤武』なんです。
それでは皆さん、今回はこれで失礼します。