
日本酒ファンの皆さん、また酒旅ファンの皆さんこんにちは!!
久しぶりのトラマサの酒旅。
今回は満開の桜咲く中で、故郷山口の4つの酒蔵を巡る旅に出かけました。
まずは、宇部空港から県央の『永山本家酒造』、そして『大嶺酒造』を巡ります。
以前の紹介記事はこちらです。
山口の日本酒『大嶺3粒出羽燦々』はスタイリッシュでまろやかな味
そして天気が回復した後日、後編では岩国の「錦帯橋」から『八百新酒造』『獺祭』へと巡ります。
『貴』はソフトな口当たりながらやや辛口の旨味を活かした味わい
ドメーヌ『貴』は、里山を縫って流れる厚東川の傍にある!
最初の目的地は、宇部市北部の二俣瀬にある『永山本家酒造』です。
宇部空港で食事を済ませ、車の進路を北にとり宇部丘陵を貫いていきます。
実は今回の山口行きは、防府の畑や屋敷に繁茂した竹藪刈が主目的。 そこに心優しき姉が、酒蔵巡りへと誘ってくれたのです。

2002年に蔵を引き継いだ永山貴博さんは、ワイン造りの「ドメーヌ」という概念に感銘を受け、農醸一貫の酒造りを目指しています。
酒蔵の辺りは丘陵地帯に出来た小さな盆地で、近隣の土壌は砂が多いため、収穫した酒米は軽やかな酒質を生むんだとか。
車はグネグネと北上する山陽本線沿いを走抜けて、盆地を貫く厚東川の対岸にそれらしい酒蔵を見つけました。

カルストから流れる水とそこで育った米、その風土こそが旨い酒を生む!
秋吉台を源とするその川の伏流水はミネラルを豊富に含む中硬水で、『貴』の奥深さと複雑な味わいを生み出しています。
川幅は50メートル位しかなく、ひと度台風や豪雨となれば暴れ川となりそう。 そんな川に掛かる小さな橋は何と車1台しか通れません。
正面の桜に彩られた瀟洒な建物は、2016年に国登録有形文化財(建造物)となった旧二俣瀬村役場庁舎です。

1階は事務所と販売所、2階はカフェや試飲ができるようですが、今日はどうも出来ないようです。

電話に夢中な事務員(店番?)さんを当てにせず店内を見渡せば、案内に蔵開きは2日前とあり、ノープランの嘆き声は川音に消えていきます。

さてお楽しみの試飲は出来そうもないので、カルストが生み出す味わい深い『純米吟醸雄町』を選び、次の酒蔵を目指します。

ゴリさんこと貴博蔵元は、数年前から生酛造りを取り入れ、キリッとした旨味の深さを醸し出しているね。 ああ故郷の山よ、川よ、田圃よ、、、

『AGAINST SAKE WORLD』は増殖中!
ここは酒蔵? いいえ、SAKE BREWARYです!
永山本家酒造を後にして、蛇行する厚東川を遡って北上を続けていくと細長い『小野湖』が現れてきました。
高い山もないこの地域にあって湖底は浅そうですが、下流域の洪水被害軽減や水資源として、貴重な水瓶となっているそうです。
秋芳町の山間にくると小雨が降ってきましたが、約30分で到着です。 あれ、砂利敷だった駐車場がアスファルト敷になっています!

そればかりか、グレーの3階建ての新工場が後ろに増設され、入口のカフェがお洒落なレストランに変わっているではないですか!!

スタンドバーの雰囲気は、もう完全に六本木!! ここは秋吉台の山中であることを忘れさせてくれます。


そのうちここを訪れた人達は、泊まって一杯やりたくなるのじゃーないかな? 写真取るのに夢中になって、試飲するのを忘れてしまった…
新増設の事業場は見せて味わえる『Japanese Sake Brewery』
『大嶺酒造』は休眠状態の酒蔵を2010年に復活させ、澄川酒造場の設備を借りながら酒造りを始めました。

そして2018年この地に事業場を新設し、それから僅か6年で生産能力3倍の増設に踏み切っています。

工場増設により、今後人員は50名に倍増予定だとか。 課題はここかな? 売上倍増と更にブレイクすれば、第2の獺祭となる可能性があると思う。
颯爽の成功要因を上げれば、洗練されたデザインと酒度をおさえたモダンな酒造りによるブランディング、海外を見据えたマーケティングにあります。

そして売上拡大の機を逃さず設備投資による供給力アップと、スピード感溢れた優れた経営センスは非の打ち所がありません。

さてお土産は、中段の『三粒山田錦』と下段の『SAKURA CUP 90ml』を購入し、この蔵の仕込み水と同じ水系『別府弁天池』へと向かいます。
軟水+Caの神秘の水が深い余韻を生む
日本名水百選に選ばれている『別府弁天池』へは蔵から西へ2キロ。 この辺りにはカルスト地形で濾過された湧水がいたるところにあります。
特徴的な『大嶺酒造』の柔らかで豊かな果実味と深い余韻は、このカルシュウムを多く含んだ軟水によってもたらされています。
昔ながらの狭い農道に入り込むと意外と大きな駐車場があり、秋吉台からの観光客でしょうか、数人の訪れが見えました。

弁天池のそばには厳島神社があり、念仏踊りなどの神事で大事に護られているようです。
室町からの古都を埋め尽くす桜は、とても雅な雰囲気!
桜並木と清流で知られる一の坂川はまさに市民の憩いの場
翌日はまだ天候が回復せず、山口市の雅な桜を愛でに出かけました。
市内中心部を流れる『一の坂川』は、室町時代に京都の鴨川を見立てにして整備されたそうです。

川幅は僅かに10メートルばかり。 川に降りる階段もあり、水面が近くに感じられます。
およそ600メートルほどの川沿いには、ソメイヨシノや山桜が両岸を埋め尽くしており、手に取るように桜が眺められます。

古風な町並みも残されており、東京の目黒川よりも此方のほうが、より清楚で自然な桜風情を感じることができますね。

その昔子供の頃、観光バスで村の人達と七夕にゲンジホタルを見に来たことがある。 今も飛び交うようで、なんとも懐かしく儚く思い出されるなあ、、、
満開の桜に彩られた五重塔は日本三名塔!
続いて一の坂川を更に遡って、国宝瑠璃光寺の五重塔にいきました。
この五重塔は室町中期の建立で、現存五重塔では10番目に古く、その優美な美しさは法隆寺、醍醐寺とともに日本三名塔に数えられています。
特徴は檜皮葺屋根造りで、大内文化を優雅に伝えています。

三名塔の他にも、東寺、厳島神社(宮島)、興福寺、羽黒山など明治期以前のものは現在22塔ありますが、この瑠璃光寺の五重塔が一番優美で凛としいて好きです。
淡い桃色の満開の桜が、西の京の春に彩りを添えています。

旅のあとがき
日本各地の酒蔵は長年、その地域の歴史と伝統、食文化を受け継いできました。
一方で近年国内の日本酒需要の低迷から、チャレンジングな酒蔵は革新的な酒質の向上や海外への販路拡大を目指しています。
土着的な米作りからのテロワール指向と、かたやグローバル視点でのSAKEブランディング指向。
厚東川の上流と下流で水質は変化していき、それぞれが異なる指向で、これからの日本酒業界を担うリーダー達が共に頑張っています。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございます。

