奈良の日本酒『篠峯 雄町 秋色』は熟成のコク味と酸味がイイ!

日本酒ファンの皆さんこんにちは!

今回は奈良県は御所市の千代酒造さんが醸す『篠峯 雄町 純米吟醸 秋色』を紹介します。

奈良といえば、今年の春に紹介した『風の森』『KURAMOTO』、そして昨年紹介した『みむろ杉』と数多く紹介しています。

もちろんこのお酒も何度も飲んでいましたが、『うすにごり』や『どぶろく』を飲んでましたので記事化の機会を逸していました。

さて、季節も変わって『篠峯 雄町 純米吟醸 秋色』、一体どんな味わいなんでしょうか?

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『篠峯 雄町 純米吟醸 秋色』は、コクのある旨味と酸味がキマッテいる!

霊験あらたかな葛城山(篠峯)の豊富な伏流水で仕込む

『千代酒造』さんがあるのは、奈良盆地の南西部。 霊峰葛城山の麓の扇状地・高台にあって、地下水に恵まれたところ。

敷地内の井戸からくみ上げられる伏流水は中硬水で、仕込み水をはじめ全ての醸造用水として使用しているそうです。

さて酒米は赤磐産瀬戸雄町を全量使用し、協会7号酵母との組み合わせでひと夏熟成され、まろやかに仕上げられています。


《原料米》赤磐地区瀬戸町産『雄町』100%

《精米歩合》60%

《酵母》7号酵母

《日本酒度》+10 《酸度》2.7

《アルコール度》16度

《造り》無濾過生原酒/山廃熟成21BY

《お値段》720 ml  1650円  

《製造》2022年8月

造りの特徴をさらに言えば、雄町米のコクのある旨味が山廃仕込みの無濾過生原酒で複雑味がよく出ています。

醪は30日の低温発酵で酸の発酵をよく促しているそうですから、酸度も2.7と多くなっていますね。

香は穏やかながら、日本酒度は+10とドライなキレ味が、上記の組み合わせでバランス良く合わさっています。

トラマサ
トラマサ

久しぶりのワイルドな雄町と言いたかったけど、一か月前に『悦凱陣雄町』を飲んでいたね。 概して西は、『グラマラス』『ガツン』系、東は『ほっそり』『ふっくら』系かな? そう言えば徳島の『旭若松』もよかったね?

 

米と向き合い風土を醸す蔵元が、地酒らしいいぶし銀の味を醸している

蔵元さんは、若かりし頃ワインメーカーに勤務されていたこともあり、素材の水や酒米にこだわりを見せています。 また全量自家精米をされています。

蔵回りや近くの自社田では山田錦を栽培し、こちらは『櫛羅』のブランドで展開。 コメも水も人も、そして銘柄も完璧な地酒としています。

『篠峯』ブランドは、契約栽培の『山田錦』『雄町』『八反』『愛山』『伊勢錦』『亀の尾』などのクラシックな酒米で醸されています

ここでは、簡単に商品ラインを紹介しておきます。

銘柄シリーズ  特徴  
篠峯田圃ラベル宇陀市榛原の農家「生駒」さんが栽培したお米だけを使用。「山田錦」=紺碧色、「伊勢錦」=白色、「亀ノ尾」=翠色のラベルを使用しています。
ろくまる裏」篠峯シリーズとも呼ばれ、通常の篠峯ラインよりも吟醸香がプラスされ、甘さもほんのり感じられる早くから味が開くタイプのお酒です。「広島八反35号」「瀬戸雄町」「山田錦」「雄山錦」のお米から生酒やうすにごり、秋あがりのお酒があります。
米バラエティ古い品種の酒米にこだわり、あまり米を磨かずに仕込まれています。「伊勢錦」「愛山」は66%精米、「山田錦」は77%精米で生酛仕込を、「瀬戸雄町」は66%で山廃仕込など。
定番生酒・火入れとも1年中販売。山田錦「純米超辛」、瀬戸雄町「凛々純米吟醸」、広島八反35号「純米大吟醸」や愛山「純米大吟醸」などがある。
『千代酒造』HPより抜粋

『篠峯 雄町 純米吟醸 秋色』
トラマサ
トラマサ

実は10年前に息子の結婚式披露宴で、『14代』『飛露喜』そして『篠峯』を振舞った! チョット格落ちかと思ったけど、味は負けていなかった

 『篠峯 雄町 純米吟醸 秋色』の感想と評価
  • 雄町らしいコクとふくよかな旨味、そして程よい円熟味が感じられ、厚味のある旨辛な味わいです。 無濾過生原酒のボリューム感と、ドライなキレ味がバランス良く合わさっています。 濃淳辛口タイプ
  • 720ml  1650円は、酒米のコストを考えれば十分納得のお値段です。 
  • 総合評点 8.2  ※あくまでも私個人の感想です。
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『篠峯 雄町 純米吟醸 秋色』と今夜の肴

この春『奈良桜の酒旅』をしましたが、これといった名産・グルメがみあたらず、お昼は大和郡山で『うどん』をいただきました。

思いのほか出し味がよくって、お寺巡りにはぴったりでした。

周辺地で倒れられた安部元総理には哀悼を捧げるばかりですが、今夜はデミグラスハンバーグで献杯と行きましょう。

『篠峯 雄町 純米吟醸 秋色』とハンバーグ

『千代酒造』の紹介

『千代酒造』さんは1873年(明治6年)の創業。 昭和の高度成長期には5000石を製造をするも、ほとんど大手メーカーへの桶売りでした。

さて3代目蔵元杜氏の堺哲也さんは、ちょっと変わり種のワインメーカー技術者のキャリアがあります。

ワイン造りの盛んな北海道育ちの哲也さんが奈良に来ることになったのは、東京の酒類研修会で蔵元のお嬢さんと知り合ったからです。

1993年の結婚を機に入社しますが、この頃は但馬から杜氏さんや蔵人さんが来ており、3500石の製造がありました。

篠峯 愛山 秋あがり

そこで達也さんは、『ワイン醸造はブドウから』よろしく『日本酒はコメの栽培から』と、その土地の個性に徹底的にこだわった酒造りを目指します。

折よく通年勤務の社員を採用したことで、夏場には蔵近くの自家栽培田で『山田錦』を栽培し、さらに酒質を上げるために減農薬・減肥料にも挑みます。 

銘柄はご当地名の『櫛羅』と命名して1995年に発売。 その後2000年には様々な酒米で醸した『篠峯』も立ち上げ、徐々に『桶売り』依存の経営体質から脱却していきます

そして但馬杜氏の引退を機に社員のみで酒造りが始まり、桶売りもなくして2大ブランドによる経営自立化の道を歩み始めたのです。

トラマサ
トラマサ

奈良の酒蔵の中では、蔵元杜氏のパイオニア的存在で、そして酒米栽培の取組も早い。 ワインの世界にいた人だけど、『ドメーヌ』とか『テロワール』とか言わないのがいいね!!

『千代酒造』の概要
  • 1873年(明治6年)に創業、3代目蔵元杜氏の堺哲也氏は、グレイスワインで修業した異色の経歴。 社員数10名で1000石。 
  • ミッションは『時間と手間をかけて、風土を醸した酒造り』。 酒米を自家栽培・自家精米し、純米酒、原酒にこだわった酒造りをしています。
  • 多彩な酒米を使い分け、お米の持つ個性をしっかりと感じさせてくれる『篠峯』。自作田の山田錦で醸す、お米の味わいがより感じられる『櫛羅』の二銘柄が主力。また近年の『どぶろく』もいい。地元銘柄は『千代』。
  • 2014年より全国新種鑑評会への出品を取止め。それまで奈良県内では唯一9年連続受賞(通算16回受賞)。

まとめ

千代酒造さんがある葛城山の麓『櫛羅』は、古代神話や神武天皇にまつわる歴史と風土がある地。 その由来にはいくつかの説があります。

まずは、クシは奇つまり霊異の力を表す古語でラは接尾語とみると、霊異の神という説。 クシラは鴨山口神社の神異を崇めた聖なる地をさし、奇邑(くしむら)であると。 

続いて、クジ・クジラは砂丘・小丘などの地形とも崩地(急斜面)を意味する地形語であるというものです。 

他にも、櫛占(くしうら)を語源とするものがあり、櫛は古代より占いを行うモノでもあり櫛占師の居住地でもあったという説です。

一方『篠峯』の由来は蔵のすぐ西に聳える葛城山の別称で、その昔『篠峯』という名で呼ばれていたそうです。 また『役行者』が修業した山でもあります。

奈良には他の地とは違う特別な歴史と風土があり、その地に行ってお酒を飲めば、遥か古の人々のくらしに思いをはせたくなりますね・・・

それでは皆さん、今回はこれで失礼します。  今回も最後までお読みいただきありがとうございます。

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