秋田の日本酒『花邑 美郷錦』は華やかで上品な果実香、優しい旨み

花邑 純米吟醸 美郷錦

皆さん、こんにちは!

今回は、秋田県は湯沢市、両関酒造さんの『花邑(はなむら)』を紹介します。

『花邑』と言えば、山形の幻の酒『十四代』を醸す『高木酒造』さんのレシピで作り込まれた、いわば血統書付きの日本酒なんです。

さて、『花邑(はなむら)美郷錦』一体どんな味わいのなのでしょうか? 

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『花邑 美郷錦』は華やかで上品な香り、優しい甘味と滑らかな喉ごし

湯沢には銘酒を生む名水、優良な酒米、高い酒造技術を持つ蔵人が揃う

湯沢市は栗駒山系の皆瀬川や名水百選『力水』などの湧水、そして冷涼な気候と良質の酒米に恵まれて、かつては『東北の灘』と称せられ、淡麗で滑らかな美酒を生んできました。

花邑の仕込み水はその『力水』で、かつては江戸時代佐竹南家の御膳水としても使われたそうです。 適度なミネラルがある中硬水で、とてもまろやかな味わいです。 


《原料米》『美郷錦』100%

《精米歩合》50%

《酵母》-

《日本酒度》-5.1 《酸度》1.5

《アルコール度》15度

《造り》純米吟醸 火入れ1回

《お値段》1800 ml  3696円(税込)  

《製造》2021年3月

湯沢市は酒米の栽培も盛んなところで、秋田県内のおよそ70%の酒米が湯沢市で栽培されています。 また、秋田県農業試験場と連携しながら新品種の開発に取り組んできた歴史があります。

さてこのお酒の酒米『美郷錦』は、『秋田酒こまち』の開発過程で生み出された酒米。 山田錦と美山錦を父母に開発され、秋田の自然環境下でも栽培できるよう開発されました。

酒造適性には優れていますが、低収量で倒伏しやすいため、栽培のコツをつかむまでに4、5年かかるという難点から、栽培農家は多くありません。

秋田では人気が薄い『美郷錦』も、最近は県外の酒蔵で醸されているとか。 香りと飲んだ時の味の膨らみがよいので、燗酒用に醸されているようです。

『花邑』は秋田伝統の低温長期醸造の技と、幻の酒十四代の持つ技術の融合で生まれた

すでに皆さんご存知のように、『両関酒造』さんの秋田酒造りの伝統と匠の技が、十四代を生み出した『高木酒造』さんの技術と融合したことで、『花邑』の深い味わいが完成しました。

『花邑』の味わいは、甘口ながらキレのある飲み口が特徴です。 香りはやさしく穏やかで、口に含むとみずみずしくてフレッシュな旨味が広がります。

このお酒は、風味を損なわないように搾ってすぐ手詰めして火入れされていますので、鮮度が損なわれていません。 蔵人さんが丁寧に作っているからこその味わいでしょうか。

トラマサ
トラマサ

花邑も十四代も華やかな味わいは似通っているけど、『花邑』のほうが少しスッキリの感じ。 純吟の方が旨いけど、純米なら2948円でリーズナブル。 転売品には手を出さない方がイイよ!

花邑 純米吟醸 美郷錦

花邑は東北の酒米中心にラインナップ、プロトタイプもあります

実は、両関酒造さんには『花邑』から派生したオリジナルの『翠玉』や『Rz』というのがあります。 また、『花邑』にもプロトタイプ(試験醸造)の『hm』があります

ここでは情報が多岐にわたると伝わりにくいので、『花邑』シリーズを酒米別にその特徴をまとめてみました。

銘 柄酒米/精米    特 徴
花邑大吟醸愛山45%フラッグシップで希少。年1回9月頃に発売されます。十四代に勝るとも劣らない逸品
花邑純米吟醸酒未来50%米の甘みとすっきりとした澄んだ味わいで、メロンに近い果実のような香りが感じられます。
 〃秋田酒こまち50%フルーティーさを感じながら、やさしい甘味と芳醇な旨味が口にふんわりと広がります。
 〃雄町50%花邑の中では甘口でキレのよさは秀逸。 優しい香り、きれいで上品な甘みが舌に広がります
 〃出羽燦々50%米の香りがフレッシュに感じられ、鼻から抜ける甘みが秀逸です。
 〃美郷錦50%含むと旨味は濃いものの、後味は爽やかにすっと引く味わいで、切れが良いです。
花邑純米陸羽田55%穏やかな甘目の香りに米の甘みと微かな苦味と酸味が感じられ、キレのよさがあります。
 〃美郷錦55%苦さ、甘さは控えめでスッキリとした印象。そして米の旨味が感じられます。
花邑の酒米別特徴
トラマサ
トラマサ

花邑の酒米違い色々のんだけど、ベースは芳醇甘口ゆえにチョット飲み飽きする感じもあったかな・・・ でも、この『美郷錦』はやや甘で後口もすっきりなので気に入った! でも香りなら『酒未来』かな! 間違いないのは『雄町』!

 『花邑 美郷錦』の感想と評価
  • 美郷錦は2021年より純米⇒純米吟醸へとグレートアップ。 華やかで上品な香り、優しい甘味と滑らかな喉ごしは秀逸です。    芳醇旨口
  • 純米吟醸1800ml \3,696円はまずまずの値段。 純米¥2948がベストバイかな
  • 総合評点 8.4  ※あくまでも私個人の感想です。
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秋田の日本酒『花邑 美郷錦』と今夜の肴

秀峰『栗駒山』の雪も消えて、湯沢の美しい郷、田圃の田植えは終わったでしょうか? 

『花邑』は適度に冷やして、上立香をゆったりと感じながらいただくのがおすすめです。 余韻が心地よく、箸もお酒もグイグイと進みますよ。

そんな香気のよい『花邑』はどんな料理にもあいますが、今夜は新鮮な『ホタテ貝』でいただいてみました。 プリプリで甘い触感が、お酒の旨みと合いますね。

ホタテ貝

『両関酒造』の紹介

秋田の酒造りの歴史は、藩政時代の銀山開発に伴い旺盛な需要で賑わったことに始まります。 そして明治期の銀山民営化によって、需要はさらに増加しました。

ところが地元の酒は、山形の大山酒(鶴岡市)に劣っており、明治7年伊藤家7代目仁右衛門が酒造りをはじめます。 酒質の向上を図って消費を拡大し、そして湯沢の酒造業の礎となりました

明治38年に鉄道が開通すると灘酒が市場を席巻し始めます。 それに対処するために9代目と義弟の2代目忠吉は新しい醸造学を修め、さらに努力を重ねて『低温長期醸造法』を生み出します。 

そして全国酒類品評会での1等賞や上位優等賞を受賞し、その後2回の名誉賞と、秋田酒を全国に知らしめたのです。 まさに『両関酒造』さんの『中興の祖』と言えますね。

トラマサ
トラマサ

昭和戦後、9代目は『秋田発酵工業』を新たに起こし社長、そして2代目忠吉は『秋田銘醸』の社長としても活躍したんだって。 さすが酒造りの街湯沢、水・米・人だね!

そして、高度成長期には専ら2級酒を量産して最大5万石を造り、組織は1986年にようやく『両関酒造株式会社』となるものの、時代は『量から質』へと変わります。

その後特定名称酒の時代に入ると、生産量は低下し経営の危機を迎えます。 そこで人を介して、日本酒のエポックメーキングとなった『十四代』を醸す高木酒造さんを頼ります。

両関酒造さんはもともと技術力のある酒蔵。 高木酒造さんの丁寧な酒造りの姿勢を学び取り、数年かけて高木顕統氏の高評価を得て、『花邑』は漸く世に出ることになったのです。

花邑
 『両関酒造』の概要
  • 1874年(明治7年)の創業の老舗。1907年(明治40年)第一回全国清酒品評会一等賞受賞を始め、大正、昭和期に二度の名誉賞を受賞した歴史ある酒蔵。 社長は伊藤康朗氏で、杜氏は武石廉太郎氏。 母屋と4つの酒蔵は、国登録有形文化財となっており、見事な内蔵は必見の価値あり。
  • 創業以来杜氏は社内で育成。 また湯沢の気候風土に合った酒造法『低温長期醸造法』を開発し、東北の酒造りの基礎を築きました。
  • 「人の和によって生まれ、人の和を醸す」「品質第一主義」というポリシーを信条として、蔵人のチームワークを大事にしています。
  • 代表銘柄は『両関』。特約店向けで『花邑』『翠玉』『hm』『Rz』などがあります。
  • 全国新酒鑑評会は平成27、29、30年度金賞受賞。
  •  ワイングラスでおいしい日本酒アワード2018・大吟醸部門金賞受賞。全国燗酒コンテスト2017プレミア燗酒部門金賞受賞。
  • 蔵見学は休止中。 売店は営業中。

まとめ

『両関』の名称は8代目の時代、刀好き・酒好きの医者から『東の名刀正宗、西の名刀宗近、その東西の大関をかねる両関』の名を推奨されて命名されたそうです。

それにしても『正宗』の名称酒は現在でも全国に150近くあると言われており、それを使わなかったのは賢明でしたね。

『花邑』の名前もラベルデザインも高木酒造さんの監修だそうですが、シンプルで清楚な筆致がいいですね。

そして上品な上立ち香に誘われお酒を口に含めば、なぜか秋田美人を思い浮かべてしまいます。 高名な歌人、そして美人の代名詞『小野小町』は湯沢の出身だったそうですね・・・

秋田美人
秋田美人

そうそう、奈良によく似た文字の『花巴』がありますが、お間違えないように。 勿論間違えても、そちらも美味しく飲めますが。

それでは皆さん、今回はこれで失礼します。

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