皆さん、こんにちは!
今回は、神奈川県は海老名市の『いづみ橋 夏ヤゴ13』を紹介します。
神奈川県丹沢山系のふもと海老名市において、酒米作りから精米・醸造まで一貫して行う『泉橋酒造』さん。 酒米の作付面積は、契約を含めなんと東京ドームの9倍近い広さに及ぶそうです。
それでは紹介しましょう、『いづみ橋 夏ヤゴ13』どんな味わいなのでしょうか?
『いづみ橋 夏ヤゴ13』は低アルコールながらも輪郭がしっかりある
『いづみ橋 』は、丹沢山系の硬水の伏流水を使用
『泉橋酒造』さんは、大山をはじめとする丹沢の山々がよく見渡せる場所にあります。 蔵の仕込み水は、その丹沢山系からの伏流水を地下100mよりくみ上げて使用しています。
この伏流水は日本では珍しい硬度の高い水で、一般的な水よりも4倍位硬いそうです。 ミネラルやマグネシウムなどが高いので、骨格がしっかりしたドライなお酒に仕上がっています。
でも、この『いづみ橋 夏ヤゴ13』は、アルコール度が13度と低くおさえられていますので、程良い旨味があるタイプとなっています。
口に含みますと柔らかなふくみが感じられ、スムーズな喉越が楽しめますね。 そして2杯、3杯とすすめますと、静かに輪郭が浮かび上がってきて驚かされます。
《原料米》神奈川県産『山田錦』100%
《精米歩合》65%
《酵母》-
《日本酒度》-2 《酸度》2.3
《アルコール度》13度
《造り》純米酒生酛/火入れ
《お値段》1800 ml 3,102円
《製造》2021年4月《出荷》2021年4月
『いづみ橋』の造りは、『全量純米酒』『生酛』『槽搾り』
『泉橋酒造』さんの酒造りの特徴は、酒米から醸造までの一貫体制に拘っていることです。
- 2006年 委託精米から『自社精米』に変更し、栽培から精米、醸造まで一貫生産体制とします。
- 2007年 醸す日本酒をすべてを『純米酒』造りとしました。
- 2009年 株式会社の農業参入が可能となり、泉橋酒造として酒米栽培を開始します。
そして酒の造りは伝統的な手法に拘り、手作業を大事にした丁寧な造りにあります。
まず、糀造りには伝統的な小さい木枠を使用した『麹蓋製法』が用いられ、通気性をよくし麹菌の繁殖を均一化しています。
次に昔ながらの『生酛仕込み』で、味わい深いお酒を作り出しています。 半数のお酒は生酛仕込みだそうです。
そして、びっくりするのが全量『槽(ふね)絞り』で、手作業でもろみを袋に小分けして槽の中に並べ重ね、丁寧に搾られています。
ですから、この『いづみ橋 夏ヤゴ13』は綺麗な口当たりで、低アルながらスッキリとした旨みと共にジューシーな酸味も楽しめます。
ボリューム感もありつつ、夏酒らしいキリっとした逸品に仕上がっています!
全量槽搾りとは、参りました! 低アルでもお酒の輪郭がしっかりとあり、うっかりすると『夏ヤゴ』さんに川底まで持っていかれそうだ・・・
『いづみ橋 夏ヤゴ13』と今夜の肴
神奈川県の海老名市は、県有数の穀倉地帯。 とはいっても、近隣は首都圏のベッドタウンとして住宅や工場・物流倉庫がひしめき合っています。
じつは、海老名の近くには『高座豚』というブランド肉があり、厚木B級グルメの『白コロホルモン』は、つとに有名ですね。
ホルモンで家のみするのは厳しいので、今夜は生ハムのスモーキーな味と、低アルの柔らかな旨みと酸の『いづみ橋 夏ヤゴ13』できめてみました。
『泉橋酒造』の紹介
『泉橋酒造』の6代目蔵元橋場友一さんは大手証券会社で3年働いた後、阪神大震災後の1995年に酒蔵に戻ってきました。
時あたかも、米流通を規制していた食糧管理法が廃止となり、自家米での酒造りも可能となりました。 お酒の流通も酒販店からスーパーやコンビニが主体となり、時代は大きく動いていきます。
そしてこの年はインターネット元年。 機を見るに敏な元証券マンの友一さんはホームページを立ち上げて『酒米づくり』を募集、田植え・稲刈りのイベントを見事に成功させます。
法改正やネット環境の飛躍をてこにした戦略は、農家さんをも大きく動かすことになります。 『さがみ酒米研究会』を立ち上げ、山田錦などの共同栽培を始めました。
約20年前に0・6ヘクタールだった酒米の作付けは、自家栽培と海老名市と近隣の相模原市、座間市の分を合わせ今では約46ヘクタールになるそうです。
また、泉橋酒造さんは海老名市の協力によって微生物の環境保全と田の状態を保つ為に、冬の田に水を張る冬季湛水をしています。
橋場さんの減農薬にこだわる米作りの考えは、生態系の保全や土壌の回復を掲げるSDGs(持続可能な開発目標)とも合致し、サポーターズの心をグッと引き寄せているのではないでしょうか。
さて、昨年春のコロナ緊急宣言下では卸売りが3分の1になり売上げが半減したそうですが、下支えをしたのはネットショップを含めた小売りだったそうです。
SNSへの発信は、Facebookのフォロワーはすでに1万人を超えているそうで、YouTubeへの投稿も積極的に行われています。
実は、酒蔵見学会のデータからメールクラブを立ち上げたり、『蔵人とのトークセッション』などでコロナ禍にあってもユーザー発信を積極的に行ったそうです。
そして商品開発も、お酒を飲まない層に向けた『糀甘酒』や、粕取り焼酎『あますことなく』を発売するなど、顧客の拡大や蔵の稼働率を上げる戦略が展開されています。
コロナ禍にあってビールやワインはノンアルを伸ばしており、日本酒業界も『飲まない層』や『今日は飲まない層』に対して、もっと『甘酒』や『低アル酒』などを売り込むべきだね!
まとめ
『いづみ橋』のシンボルマークになっている赤とんぼは、酒蔵の傍らの田んぼを飛び交う姿をイメージしているのだそうです。
その赤とんぼのこども『ヤゴ』は夏場の田んぼで育つそうで、その環境を守るために無農薬・減農薬栽培の約束として使っているんだとか。
それにしても、海老名駅から徒歩15分の距離。 霊峰大山が大きく聳えるものの、近隣のマンション群や工場にのみ込まれそうになるのを、必死で田圃で堰き止めているようにも見えます。
この国のかたち、住まう人々はたとえ変わろうとも、米造りとそして酒造りは未来永劫続けて欲しいと願わずにはいられません。
それでは皆さん、今日はこの辺で失礼します。