皆さん、こんにちわ!
今回は、滋賀県は甲賀市の『笑四季 Sakederia2092』を紹介します。
笑四季と言えば、日本酒ファンの御方ならば近未来のデザインとモダンな味わいで、ご存知の方も多いでしょう。
独創的にして美味なる酒を追及する気鋭の醸し人のプレゼンスに、果たして飲み人はついていけるのでしょうか?
それでは早速ご紹介しましょう。 『笑四季 Sakederia2092』どんな味わいなのでしょうか?
『笑四季 Sakederia2092』は、綺麗な甘味と柔らかな酸味がすーと消えていきます
特徴1 マリーゴールドの花酵母を使用したモダンな味わい
笑四季酒造さんの仕込水は、鈴鹿山系伏流水とされる自社井戸2号『蔵清水』と、硬度が低く不純物がほとんどない『岩間山岩深水』とを使い分けているそうです。
また酒米は、全て地元滋賀県産の契約栽培米で、 山田錦、越神楽、玉栄、吟吹雪などで、このお酒は吟吹雪100%となっています。
さらに、雄町からの系統分離種である『短稈渡船』の品種特性の保護や種子栽培に、蔵元自らが取り組んでいるそうです。
《原料米》滋賀県産吟吹雪
《酵母》花酵母マリーゴールド
《精米歩合》50%
《日本酒度》表示なし
《アルコール度》16度、1回火入れ
《お値段》 720ml 1568円(税込)
《瓶詰》2020/4《蔵出》2020/9/17
そしてこのお酒の特徴的なのが、『マリーゴールド』の花から採取した酵母が使用されていること。
実は醸造責任者の竹島充修さんは、東京農大の花酵母の研究室出身なんです。
使用する花酵母は、サクラ、ピンクのバラ、オシロイバナ、胡蝶蘭、月下美人、いちご、リンゴの花など、まさに花酵母のデパートですね。
香りは穏やかで酸が下支えした甘みが膨らむ味わい。 余韻もきれいに消えていく、まろやかなお酒に仕上がっていますね。
世の多くのお酒が香り中心の造りとなっている中、甘味を中心軸とした笑四季の造りの設計は、近未来のお酒のデザインを暗示しているかのようです。
初心者や日本酒が苦手な人にもお勧めです。
特徴2 風味の損失を極力抑えた技によりやさしく自然な味わいを演出
笑四季さんのもう一つの特徴は、純米仕込、生酛、無濾過無調整とできるだけお米や水の風味を逃がさない酒造りをしていることです。
まず、酒母はすべて生もともしくは自家培養の乳酸菌を使用して仕込み、醸造用乳酸、酵素剤、発酵促進剤等は一切不使用となっています。
さらに搾りは佐瀬式の槽搾りで、その味わいを減衰させず、無濾過無調整のままボトリング。 そして瓶火入のち瓶貯蔵を行っているそうです。
造りのポイントは、香りに主眼を置くのではなく綺麗な甘さを中心軸にして酒質設計をしているそうです。
そういえば新政や、どことなく村祐のような、香りを抑えて軽ーい甘味と酸味のバランスを引き出して、はんなりとした甘口のお酒に仕上がっていますね。
近未来のお酒はやさしいミルキーな感じなんだけど、人に倣ってロボットも飲むのかな? 味は解らないけど、この時代になればアルコール度やアミノ酸などの自動分析はするかもね・・・
滋賀の日本酒『笑四季 Sakederia2092』と今夜の肴
今夜は、優しい甘口の『笑四季 Sakederia2092』に、ふわふわの焼き卵と合わせてみました。
いつも明るく励ましてくれた田舎のおふくろさん、そうマリーゴールドのように、元気かいな?
笑四季酒造の紹介
笑四季酒造は滋賀県の南東部に存在する甲賀市水口町にあり、江戸時代は東海道の第五十番宿場として栄えた地にあります。
昔の滋賀の酒蔵の多くは、灘・伏見への桶売りが中心。 当蔵も平成元年まで桶売りしていたとか。
5代目蔵元の竹島充修さんが婿入り入社されたのが2007年、矢継ぎ早に造りの改革を実行されています。
この辺りの取り組みは秋田の新政酒造、佐藤祐輔さんと符合しますね。 なんでも、佐藤さんからは山廃やってみたらと、背中を押されたそうです。
特徴的なのは『高温糖化乳酸菌酒母』と言われる乳酸菌添加型の酒母を造り、より自然の仕込み方に近い『生もと系』にこだわったところでしょうか。
一方商品構成も大きくリブランドしています。 色々と変遷しますので分かりづらいですが、現在の商品構成は大きくは3つ。
コンテンポラリーシリーズ(現代風)は、食中酒としてポテンシャルを置いた通年出荷・求めやすい価格帯の『Sensation』、季節限定の『笑四季劇場』や『バニラアンサンセ』『Sakederia』。
『マスターピース』は各種コンペへの出展、自己研鑚を目的とした定番フラッグシップ商品。
そして、この蔵のステータスを高めた貴醸酒『モンスーン』。 次々とリリースされる酒の名は横文字が並びまるで小説か映画のようで、皆さんついてこれましたでしょうか。
ラベルデザインも、著名な浮世絵師やイラストレーターをフューチャーし、ボトルもワイン仕様のものを使うなどおよそ日本酒らしからぬデザインとなっています。
まとめ
この『SAKEDERIA2092』は、『 西暦2092年の都市を舞台とした、笑四季が送る花酵母のめくるめく世界』をコンセプトのお酒だそうです。
『笑四季』のラベルは定期的に変更され、前衛アートありシンプルなカラーラベルありと、実に多彩。
言ってみれば、酒の味、ラベルデザイン、ネーミングなどをトータルに日本酒をデザインするまさに『前衛酒蔵』。
どこに行きつくのか、それにしても2092年は当分先。 今宵は一献傾けながら、その先まで想像してみてはどうでしょうか。
それでは皆さん、今回はこれで失礼します。