皆さん、こんにちわ!
今回は、山形県は高木酒造さんの『十四代吟撰』を紹介します。
高木酒造さんと言えば、弱冠24歳で蔵元杜氏に就任した15代目高木顕統(あきつな)氏が世に送り出した『中取り十四代』。
生き生きとした香りと瑞々しい味わいの『芳醇旨口の酒』が、世に注目されるきっかけになったお酒ですね。
そのエポックメイキングな日本酒『十四代』も世に出てはや27年。 いったいどんな味わいに進化しているのでしょうか? それでは早速ご紹介しましょう。
『十四代 吟撰』は、スッキリ爽快な喉越しの夏限定のお酒
酒米の開発もした老舗酒蔵は、酒米にこだわる旨口の酒を醸す
高木酒造は山形県村山市富並に所在、といっても誰も分からないでしょう。 蕎麦マニアなら山形そば街道のひとつ『最上川三難所そば街道』の近くといえばピンとくるでしょう。
大雑把に言えば、最上川を東に西に月山という立地にあり、寒暖の差が激しい気候で蕎麦も日本酒も美味しいものができる環境にあります。
その月山の手前にある葉山の山懐、高木酒造はその柔らかな伏流水を汲み上げて仕込み水や生活用水に使用しています。
酒蔵のある敷地だけで3500坪もあり、戦前は『高木山』とよばれる山林を所有し林業も営んでいたそうです。
《原料米》「播州山田錦」
《酵母》不明
《精米歩合》50%
《日本酒度》表示なし
《アルコール度》15度、生詰め
《お値段》 1800ml 3960円(税込)
また一昔前には山形県オリジナルの酒米がないため、蔵独自で開発を断行。 18年の歳月をかけて『龍の落とし子』『酒未来』『羽州誉』を創出し、地元農家で生産されています。
当初『龍の落とし子』のみが十四代で醸され、酒未来などは惜しげもなく他の蔵に開放する豪気な十四代当主でしたが、今ではその全てをラインナップし、芳醇旨口の金看板を守っていますね。
酒米にこだわる蔵なので調べてみたよ。 播州山田錦、愛山、龍の落とし子、酒未来、羽州誉、雄町、出羽燦燦、八反錦、美山錦、そしてあの白鶴錦。 そうそう、麹が作る旨み(アミノ酸)には相当気を使っているらしい・・・
生詰火入れ処理により、とても綺麗なキレのある味わい
十四代もブランドが誕生した当初は「濃醇な旨さ」だったそうですが、毎年のように新たな試みを繰り返し、造り方も繊細になり、今では「軽やかな旨さ」という評価に変わっているそうですね。
当初は生酒で強烈なインパクトを残したお酒も、今は火入れをメインに据えていますから納得ですね。
この『十四代吟撰』も生詰、毎日味を見てその酒質の頂点で火入れを行い、キレのある味わいを出しているそうで、綺麗に仕上がっています。
何でも瓶燗火入れの温度を上げ過ぎず少し時間をかけて、そのあと急冷しているとか。 本当に丁寧で繊細な作業が繰り返されていますね。
山形の日本酒『十四代 吟撰』と今夜の肴
旨口で、キレ味の良い『十四代 吟撰』には、食中酒としてどんな料理もいけてしまいますね。
ところで高木酒造の近辺は、ソバの名産地。 山菜などの天ぷらなどで、合わせてみました。
高木酒造の紹介
1993年、蔵の山内杜氏が高齢のために引退、14代目高木辰五郎氏が県議会議員に当選します。
そのため顕統氏は東京の伊勢丹クイーンズをやめて山形に戻り、杜氏として酒造りを始めることになりますが、再び大学時代の恩師や山形県工業技術センターに指導を仰ぐことに。
ところで顕統氏は蔵に帰る前に、前回紹介した『寫楽』(前に名称を使っていた東山酒造の醸造)を偶然口にし、その米の旨みを活かした味わいに衝撃を受けます。
そして初めて醸した溌剌とした生酒で華々しいデビューを果たすのです。
後年、今の『寫楽』のブランドをリニューアルさせた宮森 義弘さんが目指したお酒が十四代や飛露喜なんですから、不思議な縁を感じますよね。
杜氏の高齢化、淡麗辛口に飽きた飲み手の新たなウォンツ、時代を切り取る斬新な造り手のセンス。
時代が大きく動くまさにベストなタイミングで、そして後押しする酒販店の協力も得て稀代の日本酒スターの誕生となったのかなと・・・
そんな顕統氏は、かっては『日本酒業界のイチロー』と呼ばれたことも。 改革者として、時に伝道者として、常にうまい酒を求め続けているその飽くなき姿勢から、そう表現されたのでしょうか。
まとめ
我が家は、毎週水曜日が『ぎょうざ』デー。 近くの餃子の無人販売店に出かけてみると、テレビクルーが近寄ってきます。
なんと、日本酒レポーターならぬグルメレポーターになって、フジの夕方のニュースで登場してしまいました。 日本酒ならよかったんですがね・・・・
実は、この『十四代』と合わせて呑んだのが前に紹介した『飛露喜』『寫楽』そして『作 雅の智』。
それぞれに今の日本酒を代表する銘柄であり、その味わいは呑み人を一口ごとに唸らせます。 今年も見事な横綱相撲を味わえて、大満足!
秋上がりのお酒も出始め、いよいよ酒造年度でいえば終わりを迎えてきましたね。 今年も『日本酒相撲番付』そろそろ作り直さなきゃいけないな。 乞うご期待です!
それでは皆さん、今回はこれで失礼します。