皆さん、こんばんわ!
トラマサの第三の故郷、福島は全国3番目の広さ。 福島は『会津』『中通り』『浜通り』に分かれていて、歴史文化、風土や産物などまるで異国のような違いが感じられます。
それでは早速、『福島は会津』といきたいところですが、会津も広く奥深いのです。 先は長いので、先ずはそろりと会津らしくフレッシュにいきましょうか。
この「曙酒造」さんも、蔵元杜氏の酒蔵です。 主力銘柄『天明』は、中どりシリーズ「零」から「伍」などと酒名に搾った時期をあらわしていて、飲み手にぐいぐいと迫ってきます。
正直に言いますと、「弌」から「参」までは付き合いまして、後は他に浮気してしまいました。
さて、春と夏の繋ぐ短く儚げな『初夏の生セメ』は、どう迫ってくるのでしょうか?
『天明初夏の生セメ』はキレと膨らみ、ズバリ初夏に相応しい味わい!
《原料米》山田錦、赤磐雄町、夢の香
《精白歩合》30%、65%、65%
《酵母》県酵母、協会1001、自社酵母
《日本酒度・酸度》表示なし
《アルコール度》16度
《お値段》900ml 1650円 1800ml 3300円(税込)
特長1 天明 押し槽(ふね)で搾ったブレンドサケも今年は特別!
まず「セメ」の意味なのですが、お酒をしぼる過程で最後に圧をかけてしぼられる部分のことですね。
「曙酒造」さんでは、1つは「あらばしり」と「中取り」を搾る水槽(みずぶね)、もう1台は「セメ」を搾る押し槽(おしぶね)の2台が使用されています。
『天明初夏の生セメ』は圧力を掛けて最後まで搾り切られますので、ドッシリとした味が迫ってきます。 そして雑味が出やすくなります。 そこでミックスジュースならぬ、お米のブレンド酒ってわけです。
今年の『天明初夏の生セメ』は、4年の一度『閏(うるう)号』のセメがブレンドされていますね。
会津坂下産山田錦30%精米(閏号)、赤磐雄町65%精米、会津産夢の香65%精米。 なんとも贅沢な酒米が使われていますね。
つまりは、この製法・製造過程を逆手にとって希少な酒米の最後のエキスを生かし、辛口の夏酒用に製品化したってことですね。 おばあちゃんから教えられたのかな? エライ!
本当にものを大事にする『勿体ない精神』。 雪国会津人の知恵が詰まってるね。
特長2 『天明初夏の生セメ』は初夏飲みに相応しい、カラッとした味
開栓し香りを嗅ぎますが、あまり香りは強くないです。 まず口に含みますと、辛みが最初にきました。 いつものやわらかい酒質と違う印象です。
温度が上がり3口目くらいに、酸味がでてきました。
天明中取りシリーズは、それぞれの酒米の旨みや香り、酸味が特徴的に感じられますが、この『初夏の生セメ』はそれが強く感じられません。
セメゆえに、やや辛の日本酒に仕上がっているようです。 まさに初夏の青空、カラッとした爽快なイメージです。
福島の日本酒『天明初夏の生セメ』と今夜の肴
今年は、春先なのに定置網に大物のぶりがよく入るそうで、値段も安くなってます。 味もまずまずですね。
今夜の肴は、『ぶりの甘辛煮』です。
『天明』は自然派系日本酒といいますか、母のような優しさ、毎朝必ず作ってくれた味噌汁のような普段飲みのくつろぎ感。
代々の女性蔵元杜氏がこの味を作り上げたのでしょうか。 天明はどんな料理にも合う味わいですね。
曙酒造の紹介とまとめ
曙酒造さんは、会津若松からは西の方角、人口1.5万人(2020年5月1日現在)の会津坂下町にあります。
米どころ会津でも、極上米がとれる会津坂下町。 水質も良くて極上の日本酒ができあがります。
近隣には、飛露喜で超有名な廣木酒造さん、そして鑑評会で連続金賞の豊國酒造さんがあります。 まさに『3密』な距離にあり、マニアには驚き喜びの詩です。
代表銘柄は、製法や酒米にこだわった味わいのある『天明』と、華やかな香りと軽やかな味わいが特徴の『一生青春』。 そしてお酒が苦手な人にも優しい『snowdrop』。
『天明』は、先代蔵元明美氏が父上の突然の病で蔵を継ぎ、苦労の末2001年に誕生させたブランドです。
曙酒造さんは杜氏制を廃止し、地元の蔵人と家族のみで再スタート。 回り道をしながらも、人の輪の真ん中で幸せの舌鼓をうたせ続ける日本酒を目指していらしゃるそうです。
このお酒の裏ラベルに、蔵人のメッセージがありました。
僕らの酒は、発展途上です。 いつか天を照らす朝日のような温かい愛らしい酒になることを夢見て。(中略)
生まれ育んでくれる愛する郷土・自然へ 『感謝のハート』をしっかり胸に携え世界中の頑張っている皆様へ熱いエールを込めて。
皆さんも朝ドラよろしく『頑張るっぺ』と訛りながら、若き蔵人に熱いエールを送ってみてはどうでしょう。
それでは皆さん、今日はこの辺で失礼します。