日本酒ファンの皆さん、こんにちわ!
ようやくコロナの予防接種も始まり、各地で増殖中の変異種は収まることになるのでしょうか?
さて、今回は鳥取県の境港で醸されている『千代むすび 一際(ひときわ)』を紹介します。
境港と言えば、朝ドラでも放送された水木しげるさんの故郷。 『こなきじじい』などの鬼太郎ラベルはユーモラスな酒として人気になっていますね。
それでは早速ご紹介しましょう。 鳥取県の『千代むすび 一際』どんな味わいなのでしょうか?
『千代むすび 一際』はフレッシュな米の旨みとともに辛口の切れ味が締る
奥出雲の天然水は五百万石のスッキリした米の旨みを演出
『千代むすび酒造』さんは、もともと地下水を汲み上げて仕込み水に使っていたそうです。 しかし酒蔵の傍は直ぐ海で、あまり酒造りには向いていません。
そこで蔵では、代々出雲杜氏による酒造りが行われてきたことから、杜氏の郷である雲南市大東町に湧き出る天然水を使うことになったそうです。
その水質はなめらかなキメの細かいやや軟水で、毎日片道1時間掛けて汲みにいっているそうですよ。
《原料米》『五百万石』
《精米歩合》55%
《酵母》-
《日本酒度》+1 《酸度》1.5
《アルコール度》17度
《造り》特別純米 無濾過原酒生
《お値段》720 ml 1,485円
《製造》2021年4月
『千代むすび 一際』は、無濾過原酒生で仕上げられ中取りの米の旨みと濃い味わい
『千代むすび酒造』さんの酒米は、鳥取県の農家さんとの契約栽培米『強力』『山田錦』『五百万石』『玉栄』が使われています。
純米吟醸の『強力』は米の旨みや酸味が強く感じられますが、この一際・特別純米の酒米は『五百万石』でスッキリとした後口です。
なんと贅沢にもバランスの取れた中取り部分が詰め込まれており、綺麗な米の旨みとともに切れ味が締った仕上がりとなっています。
そして最近のドメーヌ化の流れよろしく、伯耆町福岡にて令和2年より五百万石を栽培開始。 酒米に拘る酒蔵さんらしく、今年は本格的に酒米作りを始めるそうです。
この『千代むすび 一際』はひときわ旨い酒を造ろうと、次期蔵元岡空聡さんが2018年にリリースしたばかりで、まだ全国的にも取り扱いが少ない銘柄。
すべて無濾過原酒生で仕上げられており、フレッシュでフルーティな酒米の旨みを強調したシリーズに仕上がっています。
蔵の角打ちで飲んだ『強力』で醸したお酒は、とても力強く味わいが濃かった。『強力』おすすめですよ! 何でも鳥取の強力米の6割は千代むすびさんで使っているんだって。 蔵の代名詞は『強力』なんだ!
『一際』シリーズ | 特 徴 |
純米大吟醸 山田錦45 無濾過原酒生 | 弱いガス感に、品のある綺麗で濃い旨味と優しい甘味が特徴です。 |
純米吟醸 強力50 無濾過原酒生 | 強力米はその名の通り力強い味わい。程よい酸味と、旨み、しっかりした味わいです。 |
特別純米 中取り 無濾過原酒生 | 弱めのガス感と一緒に、濃い甘味、旨みが口の中で広がり、キレ良く引き締まった後味です。 |
鳥取の日本酒『千代むすび 一際』と今夜の肴
境港は日本海側では最大級の水揚げを誇る港町。 『マグロ』と『カニ』の水揚げは日本一なんです。
そんな港の冬の味覚といえば『松葉ガニ』や『ベニズワイガニ』、市場を真っ赤に染め上げています。
また6月から8月にかけての夏は、日本海を周回する『クロマグロ』が水揚げされます。 美味しい赤身はほとんど生で流通されます。
境港の新鮮でリーズナブルな魚介類には、ホント『千代むすび』の濃淳辛口がよく合いますね!
『千代むすび酒造』の紹介
『千代むすび酒造』さんの創業は江戸時代の慶応元年(1865年)、昭和初期に現在の地に醸造場を構えます。
三代目岡空林太郎氏は『大和魂』『岡正宗』という芳醇な味の銘酒生み出し、その後大阪博覧会での舞踏にヒントを得て現在の『千代むすび』に改名したそうです。
ところが1945年港の船舶爆発事故により、酒蔵は全壊の危機に直面します。 その後再建を果たし、現社長の岡空晴夫さんに経営が引き継がれたのが1994年。
晴夫さんは醸造工学出身らしく、早速全自動精米機や吟醸蔵を新設します。 更には瓶燗装置を導入して造りの近代化を進めます。
近くは平成27年に酒母室とヤブタを冷蔵化、28年には瓶詰めラインがクリーンルーム化されるなど酒質改善の設備投資に余念がありません。
そして今、発酵産業という大きなドメインに向かって、酒造りの技術と麹などの微生物を活用した発酵食品『糀甘酒』が発売され、大人気となっています。
その一方で、低迷する日本酒市場の活路を海外に求め1995年より輸出を開始、輸出比率は3割程に成長したとか。 今では米国、韓国、中国を中心に20ヵ国へ輸出されています。
さて、この一際シリーズは次期蔵元の聡氏がプロデュースしたお酒で、後継者育成も順調のようです。
まとめ
『日本酒は身体と心に安らぎを与え、千代に八千代に人と人の絆を結んでくれる。 酒造りなら農家の皆様をはじめ、世の中の人様のお役に立てる。』
初代の日本酒造りにかけるそんな想いは今も受け継がれ、幻の酒米『強力』の復活をお手伝いし、さらには地元産の酒造好適米にこだわり続けています。
そして今『千代むすび酒造』さんは酒造りを超えた健康つくりへと、酒蔵から進化した発酵産業として歩みを進めています。
名水と良質の酒米によって生まれた銘酒は、これからどう進化していくのでしょうか。 とても楽しみです。
そして綺麗な鳥取の海でとれるカニや魚も、私達の元にいつまでも届いて欲しいと願っています!
それでは皆さん、今回はこれで失礼します。