石川の日本酒『手取川 白い山廃純米』は穏やかな香りとクリーミーな味わい

手取川 白い山廃純米

皆さん、こんにちは! 

今回は、石川県は白山市の『手取川 白い山廃純米』を紹介します。

『山は白山、とのなら前田、御紋どころは梅の花』と、百万石ぶしにも歌われていた日本三霊山の白山。 

その山からの清冽な水と地元酒米で醸す『手取川 白い山廃純米』は、一体どんな味わいなのでしょうか?

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『手取川 白い山廃純米』は瓶内発酵が続く濃い目のにごり酒

『手取川 白い山廃純米 』は、活性濁りの爽快感でスッキリ味

蔵の仕込み水は、白山を源とする伏流水を地下100mから汲み上げています。 ミネラル分を多く含んだ水質は酒造りに最適な硬水で、『白山百年水』と呼ばれています。

そして、酒米は麹米が山田錦21%、掛米は石川県産の『五百万石』で79%の割合。 昨年の掛米は『石川門78%』でしたが、今年は変更されていますね。 

『五百万石』『石川門』などは地元農家さんと、『山田錦』は兵庫県の農家さんと契約栽培をおこなっています。 蔵人さんも田植えや稲刈りに足を運んでいます。


《原料米》麹米『山田錦』21%/掛米『五百万石』79%

《精米歩合》60%

《酵母》金沢酵母

《日本酒度》- 《酸度》-

《アルコール度》15度

《造り》山廃純米生

《お値段》1800 ml  3080円  

《製造》2021年6月《出荷》2021年7月

酵母は自社培養の金沢酵母が使われ、メロン系の優しい香りがします。 そして五百万石による辛口の味わいと瓶内発酵のガスで爽快感が強調されていますね。

活性にごり酒の滓の部分は5センチ近くもあるでしょうか。 濃い目の造りとなっています。 王冠には空気穴があって、まさに横倒し厳禁です。

このお酒は発酵力の強い山廃で造られている

石川県と言えば、自然の乳酸菌の発酵力を活かした生酛系の『山廃造り』の本場。 この技術を伝承してきたのが能登杜氏です。

『吉田酒造店』さんで40年近く勤務し、杜氏として20年間『和醸良酒』の精神で酒造りを行ってこられたのが顧問の山本輝幸氏です。

その薫陶を受けた若き6代目蔵元兼杜氏の吉田泰之さんが掲げる酒造りは、自然の循環から外れないナチュラルなお酒。 

代表的なモダン山廃と呼ばれる『U yoshidagura 山廃純米 無濾過』は、低アルコール13%。 するすると飲みやすくて、白ワインのような味わいです。

もう一方のクラッシック山廃タイプの『手取川 山廃仕込 純米酒』は、コクがありながらもキレの良い飲み口。 どちらも、新しい造り手の心意気が伝わってきます。

『手取川 白い山廃純米 』

さてこのお酒は前者のモダン山廃で、シルキーなにごりと山廃らしい旨味がガツンと効いた濃いめの味わいとなっています。

トラマサ
トラマサ

実は1か月前に『純米大吟醸kasumi』を呑んだけど、細かい目で濾した優しい発泡性と滑らかな味わい。『白い山廃』は、粗い目で濾した活性濁りで、濃い目のガツンとした味わい。 ともに夏向けのフレッシュなお酒だね! にごり酒については下記の記事を見てね。

 『 手取川 白い山廃純米 』の感想と評価
  • メロン系の優しい香りと、山廃らしい旨みとガス感が爽やかさを演出してくれます。         芳醇旨口タイプ
  • 1800ml  \3080円は、納得のお値段です。
  • 総合評点 8.2  ※あくまでも私個人の感想です。 
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石川の『 手取川 白い山廃純米 』と今夜の肴

同じ白山市にある天狗舞など北陸の酒は押しが強く感じられますが、手取川はどちらかと言うと芯はあるけれど香り控えめで、料理に合うお酒。

シルキーなにごりと山廃らしい旨味が効いた味わいは、夏の代表的おつまみの『ダダ茶豆』 で合わせてみました。

それにしても、豆をつまんだりお酒を注いだりと忙しく手が動き、ついつい飲み過ぎてしまいますね。

手取川とダダ茶豆

『吉田酒造店』の紹介

『吉田酒造店』さんは1870年(明治3年)の創業、霊峰白山を望む手取川扇状地のほぼ中央に位置しています。 

この地は名水と酒米、寒冷な気候に恵まれ多くの酒蔵がある銘醸地だったそうですが、現在は『吉田酒造店』のみとなり、その歴史を今に伝えています。

第2次大戦中は酒造りを休止し、戦後の企業整備令のもとで3社合同で酒造りを始め、その後独立します。 

先代の吉田隆一さんが社長を引き継いだのは2005年。 慶応義塾大学を卒業後、宝酒造で修行し蔵に戻ってきたのが1978年。 その間は叔父の吉田外志雄さんが長らく社長を務めていました。

隆一さんの長年の悩みは、貯蔵熟成による『老香』と大吟醸の香気不足だったそうです。 

そこで回転式自動洗米機を導入、糠抜けのキレをよくし吸水を安定化させます。 これにより突き破精型の麹が仕上がり、糖化力が強くて香味の幅が増したのです。

しかしながら、蔵の酒の味として軽快な味わいを吟醸造りの突き破精で狙いますが、問題は酒米でした。

五百万石は外が乾くと中もすぐに乾く性質で、菌糸がなかなか破精込まないのだそうです。 そこで外硬内軟の山田錦を麹米に用いて、突破精で仕込んだのです。

蔵元はさらに設備投資で酒質改善を目指します。 急冷式プレートヒーター熱交換器を導入し低温貯蔵することで、『老香』を無くしたのです。

さらにパストライザーによる瓶燗火入れ、窒素充填機等の機器の導入で酒質の向上を図ります。 

またサーマルタンクの導入、屋外低温倉庫の建設、仕込み蔵・酒母室・槽場の完全空調化などにより、より爽やかな香味を生み出しています。

そしてこの蔵の経営理念は、『先義後利(顧客第一主義)』『三方良し(ウィン・ウィン)』『原点回帰(オンリーワン)』などを根幹としています。 

代々の蔵元や蔵人、取引先、ユーザー、そして地域の皆さんに、時を超えて伝わる素晴らしいメッセージなのではないでしょうか。

こうして隆一さんは経営体制を整えながら、創業150年を迎えた2020年に息子さんの吉田泰之さんに、蔵元を託したのです。

トラマサ
トラマサ

先代の経営改革は、中堅酒蔵として生き残りをかけて設備投資するなどホントにすさまじいね! 社長在任期間は15年だけど、やり切った想いがあるかな? 立派です!

 『吉田酒造店』の概要
  • 明治3年(1870)の創業。先代吉田隆一氏は会長。7代目蔵元兼杜氏は吉田泰之氏で東京農大卒。 社員は24人(R2/4)で、造りは3000石。
  • 目指す酒づくりは、『自然のサイクルから外れない持続可能な酒造り』。作るのは特定名称酒のみ。 代表銘柄は『手取川』。『吉田蔵』は2021/6で終売となりました。⇒ R3BYでは『吉田蔵U』がリニューアルされました。(2021/11追記)
  • 2009IWC純米酒部門で『山廃純米』がトロフィー受賞。
  • 2020KURAMASTER 純米酒部門で『u yoshidagura 2018 山廃純米無濾過原酒』が金賞、純米大吟醸『吉田蔵』で金賞受賞。
  • 酒蔵見学は不可。 売店あり。

まとめ

今時の酒蔵は、冬でも仕込み部屋や貯蔵タンクを冷却し、また麹部屋は暖房します。 瓶詰貯蔵庫でも暖冬傾向で冷蔵をするそうです。

かくして20年前に比べ倍近くの電力を必要としているとか。 一方ソーラーパネルによる自家発電では、必要電力の1割しか賄えません。

そこで『吉田酒造店』さんは酒造りで使う電力を、未来も使える環境負荷の少ない再生可能エネルギーに全て変えたそうです。 

持続可能を目標とする社会に棲み、美味しいお酒を飲もうとするならば、再生可能エネルギーについて皆さんも一度考えてみてはどうでしょうか?

それでは皆さん、今回はこの辺で失礼します。

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