日本酒ファンの皆さんこんにちは!
今回は栃木県の人気銘柄『望 特別純米 玉栄』を紹介します。
『外池酒造店』さんは焼き物の町栃木県は益子町にあって、近年国内外での受賞も多く、評価が高まっている酒蔵さんです。
さて『望 特別純米 玉栄』、一体どんな味わいなんでしょうか?
『望 特別純米 玉栄』は綺麗いな香味と酸味のバランスが秀逸
『玉栄』は辛口向けの酒米ながら、上品な切れ味の仕上がり
『外池酒造店』さんの仕込み水は、敷地内の井戸から汲み上げられています。 日光連山に源を持つ鬼怒川の口当たりの柔らかい伏流水は、酒造りに適した綺麗な軟水です。
酒米は滋賀県産『玉栄(たまさかえ)』を使用。 主に滋賀県や鳥取県で栽培されている西日本系の酒米です。
玉栄は心白が発現しにくいため吟醸酒造りには不向き。 キレのある辛口の酒が作りやすいそうですが、意外に上品な切れ味に仕上がっています。
穏やかで落ち着いた香りに、綺麗な旨味と心地の良い酸が広がる上品で優しい味わいです。
《原料米》滋賀県産『玉栄』100%使用
《精米歩合》60%
《酵母》-
《日本酒度》- 《酸度》-
《アルコール度》16度
《造り》無濾過原酒/特別純米火入れ
《お値段》720 ml 1705円
《製造》2022年8月
麹菌は不明ながら、6種類ほどの麹菌を使い分けブレンドして使っているそうです。
実は杜氏の小野誠氏によれば『決めないこと』が大切で、米に合わせて種麹や酵母を変えたり、洗米の方法や時間も変えるのだとか。
上槽のタイミングもその日の朝に判断。 分析値に頼らず小野さんが味わいを確認し、『ここぞ』という瞬間を見極めるのだそうです。
搾られた酒は翌日までに瓶詰め・火入れが行われ、フレッシュ感が瓶に閉じ込められています。
キレイな香味と酸味の味わいのバランスも秀逸で、ひと夏熟されたことで米のふくよかさも感じ取れます。
『望』シリーズの特徴とラインナップ紹介
『望』シリーズの特徴は3つあって、『無濾過』『16%原酒』『純米造り』。 精米歩合は酒米で異なってきます。
そこで全国各地の酒米が使い分けられ、ラベルの色分けでわかりやすく表現されています。 その特徴を簡単に紹介します。
望/酒米 | 特 徴 |
雄町 | 低温でじっくり醸すことで、広がりのある旨味と華やかな香りが生み出されています。 |
とちぎの星 | 名前の通りシャープな辛口が特徴です。味わいは奥深く、お燗にすることでさらに旨みが増します。 |
玉栄 | 甘みと酸味の調和が取れたバランスの良さがポイントです。クセのある日本酒が苦手な方でもスイスイ飲めてしまうほど、上品でやさしい香りです。 |
彗星 | 爽やかな香りに、若干のガス感。透明感の有るライトな味わいで後味のキレが良くスッキリとした飲み心地です。 |
美山錦 | 定番として通年出荷。美山錦由来のスッキリと軽快な味わいが特徴の純米酒で、食中酒としても親しみやすい味わいです。 |
ひとごこち | 期間限定で出荷。柑橘系の爽やかな香りと酸味が特徴のスッキリとしたお酒で、冷や~常温でいちばん楽しめます。 |
『望 特別純米 玉栄』と今夜の肴
秋もいくらか涼しくなったかと思うと暑さがぶり返し、本格的な涼しさはもっと先でしょうか?
アジは産卵期前が脂がのるそうですが、一般的には6月から9月が旬。 夏バテの体には青魚の脂が堪りませんね。
爽やかな透明感と芳醇で柔らかな甘みの『望』に、秋ナスやいんげんの天ぷら、そしてサクサクのアジのフライを頬ばれば、もう秋が到来です。
『外池酒造店』の紹介
焼き物の町栃木県益子町で酒蔵を構える『外池酒造店』さんは、1937年に外池逸五郎氏が創業します。
初代は宇都宮の造り酒屋『外池荘五郎商店』の5男で、兄とともに酒造りを営むも分家で創業。 当初の銘柄は『八千代鶴』、やがて『燦爛』とします。
その後1957年(昭和32年)に法人化したのは2代目外池茂雄氏で、焼酎製造や観光酒蔵など事業拡大を図ります。
事業承継を機に、茂雄氏は日本酒の卸をやめ小売り直売に舵を切ります。 製造と流通の両機能を担うのは大きな負担でしたが、独自の差別化戦略やPR戦略を進めます。
時は立ち1987年(昭和62年)、3代目が蔵元に帰り観光酒蔵を始めます。 実はこの取り組みは、益子町の『町おこし』と関連があるのです。
焼き物業界が低迷していた頃『峠の釜めし』の器を作り始め、当初多くの下請けが作っていましたが大型の窯焼き機が導入され、下請けさんは失職。
やがて、自らの作品を共同販売をするようになります。 さらに年2回の陶器市という製造直売のスタイルが生み出されたのです。
そして益子焼の共販センターへ来るバスの立ち寄りルートとして始められたのが、『酒蔵観光ツアー』です。 多いときはなんと1日65台も来たとか。
3代目は地元益子町の観光協会長も務め、益子焼を中心とした観光振興に力を奮っている。 同協会は、2018産業観光まちづくり大賞で観光庁長官賞を受賞している。
そして茂樹氏が社長を継いだのは1998年(平成10年)。 日本酒以外にも米を原料とした焼酎、リキュール、どぶろくなど様々な商品を開発します。
さらに重いお酒から軽いお土産とばかりに日本酒コスメも開発し、オリジナルのブランド「蔵元美人」も全国展開しています。
2012年からは、『未来への日本酒への挑戦』をコンセプトにした新ブランド『望bo:』の製造を開始。
そして2015年からは、下野杜氏と南部杜氏の資格を持つ杜氏小野誠氏が先頭に立って酒造りを行い、酒質が向上しています。
2019年には全国新酒鑑評会6年連続金賞をはじめ、IWCやKuraMaster等、国内外のコンテストにおいて40タイトル以上受賞。 2022年でも各コンテストを総なめしています。
まとめ
ブランドの『望』とは、爪先立って遠くに目をやることなんだとか。 ルビの『bo:』は『buono(美味しい)』という意味を引っかけているそうです。
またラベルは、墨芸術の書を最も現代的に表現する著名な作家である金田石城さんのデザインです。 モダンな書体が印象的ですね。
さて栃木県はといえば、日光連山や那須連峰、日光を始めとした日本を代表する寺社。 そして温泉やフラワーパークと観光資源が豊富なところ。
でも何故か北関東の各県は、様々な魅力度ランキングでは下位を低迷中。 清冽な伏流水と下野杜氏の巧みな技で、より多くの観光客を呼び寄せてほしいところです。
それでは皆さん、今回はこれで失礼します。 今回も最後までお読みいただきありがとうございました。