日本酒フアンの皆さん、こんにちわ!
今日はトラマサの故郷、山口県萩市の澄川酒造場さんの『東洋美人 醇道一途(じゅんどういちず)』を紹介します。
『東洋美人』は、2016年にロシア・プーチン大統領との首脳会談ディナーで振舞われたことで、日本酒フアンの間で大ブレイクした人気のお酒ですね!
それでは早速紹介しましょう。 『東洋美人 醇道一途』どんな味わいなんでしょうか?
『東洋美人 醇道一途 直汲み生』は上品な甘みがクリアに広がる
生酒のフレッシュで爽やかな口当たりと、十四代譲りの華やかな香り
《原料米》麹米/山田錦、掛米/酒造好適米
《精米歩合》麹米/40% 掛米/50%
《酵母》-
《日本酒度》- 《酸度》-
《アルコール度》16度
《造り》純米吟醸/直汲み生
《お値段》1800 ml 3300円
《製造》2021年12月
澄川酒蔵場さんの仕込み水は、以前は裏山からの伏流水を使っていたとか。 しかし豪雨災害によって水質が変化したため、新たに2本井戸を掘ったそうです。
『醇道一途 直汲み生』の麹米(2割)は40%精米の山田錦で、掛米(8割)は不明ながら50%の精米比率。 トータルで純米大吟醸の仕様ですが、純米吟醸の表記となっています。
メロンや洋梨のような華やかな香りと透明感のある口当たり、そして濃厚で新鮮な果実の旨味と酸の優れたバランス感がいいですね。
少し舌に残る苦味と辛みも感じられますが、スッキリと喉元に流れていきます。
『東洋美人 醇道一途』シリーズは上品な甘みがクリアに広がる
2013年の豪雨被害から酒造りの復活を感謝して、それまでの『一歩』シリーズから踏み出したブランド名として『醇道一途』が付けられました。
そしてこのシリーズは、お米による香りや味わいの違いが月替わりで楽しめる商品で以下の酒米でプロデュースされています。
酒米 | 特 徴 |
山田錦 | 田布施産山田錦を使用、生酒第一弾は直汲み生。生酒特有のフレッシュで爽やかな口当たりと、より華やかな香りです。 |
雄町 | 雄町ならではの甘み、旨みのボリューム感。香り高く、フルーティーな味わいにキレの良さが加わります。 |
亀の尾 | 完全無農薬米独特のあくまで自然な酸味が特徴。米のポテンシャルを存分に発揮し、様々なジャンルの料理、多用な飲食シーンで楽しめりますます。 |
羽州誉 | 山形県の高木酒造が育成した酒米。華やかなフルーティーさに加え、さらにお米の味わいを感じられます。 |
酒未来 | 同じく高木酒造が育成した酒米。優しい口当たりながらボリューム感のある旨み、ジューシーな味わいです。 |
愛山 | 愛山は芳醇、甘さが特徴で味わい深く、ピュアな甘味の余韻がきれいに広がります。 |
千本錦 | 山田錦を父に、中手新千本を母に持つ広島県の酒造好適米。香り高く、すっきりとした味わいが特徴です |
西都の雫 | 山口県のオリジナル酒米で、香りは穏やかで上品。やや米の甘さを感じる香りです。エキス感に溢れた味わいはとってもジューシーです。 |
さすが蔵元は高木酒造で研修しただけあって、酒米にはこだわっているね! 全ての麹米を山田錦とするところは、十四代・高木氏の仕込みに習っているかな。
『東洋美人 醇道一途』にあう肴
2021年3月萩市と阿武町の6蔵の日本酒が、清酒としては全国8例目のGI制度の指定を受けました。 参加するのは岩崎酒造、岡崎酒造場、中村酒造、八千代酒造、阿武の鶴酒造、そして澄川酒造場です。
水や酒米、醸造や瓶詰・貯蔵などを地元で完結するGI指定では、違う地域の酒米を使っていると認定されません。
でも指定を受けた酒の特性としては、米のふくよかさと、上品な旨味、爽やかさを主体とし、香りはライチや新緑を感じることができるそうですよ。
萩地域は白身魚が美味しいところで、魚のすり身を活かした蒲鉾なども名産品となっていますね。
そんな訳で今夜は、日本海でとれた身の厚い鰈の干物で、美味しくいただきました。
『澄川酒造場』の紹介
酒蔵のすぐ先は島根県境となる『澄川酒造場』さんは、元は米問屋。 親戚筋の酒蔵を引き継いだ1921年の創業から、去年100周年を迎えました。
1973年生まれの4代目蔵元杜氏である澄川宜史さんは、東京農大3年次に山形県の高木酒造で学外実習を受ける幸運に巡りあいます。
そこで日本酒のエポックメーキングとなった『十四代』を醸す、高木顕統氏の精魂傾けた酒造りに挑む姿勢に強い感銘を受けます。
それは取り分け杜氏集団による酒造りから、蔵元自らが思うところの酒造りを行う、まさに製販一体の酒蔵再生ストーリーへの薫陶でした。
卒業後蔵元に戻りますが、蔵の経営は厳しい状況で設備も十分でなかったそうです。 それでも高木氏の教えを守りながら、丁寧な酒造りに挑みます。
宜史さんは酒蔵を変革する挑戦を始めます。 精米機の導入や、酒米の給水、素早い瓶詰など細かな作業を見直します。
2001年蔵元杜氏に就任し、自ら酒瓶を担いで夜行バスに乗り込み、首都圏の酒販店や飲食店に売り込みを掛け、流通ルートを絞り込んだブランド構築をすすめます。
そんな努力が徐々に実を結んで人気銘柄へと成長しますが、2013年7月の集中豪雨で蔵傍の田万川が決壊。 なんと酒蔵の機械や新築の貯蔵庫が浸水流失し、壊滅状態になります。
廃業も考えられる被害の中、全国の酒蔵、酒販店、飲食店さんやボランティア1500人が駆けつけて懸命な復旧作業に取組みます。
その甲斐あって、年内に蔵の改修を済ませ新酒の仕込みにこぎつけます。 そして、多くの恩義を受けた宜史さんは腹を固め、2014年には3階建ての新蔵を立てて見事に復活したのです。
3代目のシリーズとなる『醇道一途』は、蔵元に戻った時の師である但馬杜氏の米田幸市氏に頂いた言葉だそうだ。 『何があろうと、今もこれからも酒造り一筋に生きていきなさい 』との教えなんだって!
すべての工程を三階建てに集約できたのはこれ幸いと言うべきで、3階には自動洗米浸漬装置、2階に麹室、そして1階には仕込み室を配置。
見事な動線が確保された酒蔵の生産能力は、被災前の5倍65万本だそうですが、タンクは以前と同じで、丁寧な小仕込みをしているそうです。
まとめ
『東洋美人』のネーミングは、初代の亡き奥様への想いが込められているとか。 そう言えば、大分の『ちえびじん』もそうでしたね!
ところで日本酒には、『○○美人』の名称が多いですよね。 ご当地ソングならぬ『ご当地酒』ってとこでしょうか、そんな訳で調べてみました。
『南部美人(岩手)』『ゆきの美人(秋田)』『紬美人(茨城)』『見返り美人(千葉)』『舞美人(福井)』『都美人(兵庫)』『島美人(兵庫)』『美人長(鳥取)』『福美人(広島)』『比婆美人(広島)』『梅美人(愛媛)』『菊美人(福岡)』『長崎美人(長崎)』『ちえびじん(大分)』 『宵美人(熊本)』・・・
そんな中からトラマサが選ぶ美人酒は『南部美人』『ゆきの美人』『ちえびじん』、そしてやっぱり『東洋美人』でしょうか!
いやこっちの美人もいいぞって声が、色々と聞こえてきそうですね。
それでは皆さん、今回はこれで失礼します。