日本酒ファンの皆さん、こんばんわ!
さあ、今夜もガツーンと行きますよ。 まだまだ夏酒にいくには早いということで、山田錦の本場、播磨は網干、本田商店が醸す『龍力 山田穂 特別純米生原酒』をご紹介します。
このお酒、皆さんがご存じのとはちょっと違うんです。 酒米が『特A地区産山田錦』ではなく、そのお母さんにあたる『山田穂(やまだぼ)』なんです。
さてこのお酒、初めて飲むのですがどう迫ってくるのでしょうか?
『龍力 山田穂 特別純米生原酒』は豊潤でキレも良く飲みごたえ抜群!
《原料米》山田穂100%
《精米歩合》65%
《日本酒度》+3.5
《酸度》1.7
《アルコール度》18度
《お値段》 1800ml 3850円(税込)
特長1 山田錦の母『山田穂(やまだぼ)』って知っていましたか?
本田商店さんは、仕込み水に大吟醸造りに適した鉄分の少ない軟水、揖保川の伏流水を地中深くから汲み上げて使用しています。
イボ!? そうでした! 揖保素麺もこの地の名産品でしたね。
さて命の酒米ですが、この 「龍力 氷温貯蔵 特別純米 無濾過生原酒」 シリーズは、兵庫県特A地区産「 山田錦」を中心に古くからの酒造好適米「山田穂」「雄町」「神力」を使用してます。
なんたって、マニア垂涎のスペシャルな酒なんですが、蔵元は山田錦しか眼中になさそうです。
このお酒の酒米『山田穂』は「山田錦」の母にあたる酒造好適米で、昭和の初期頃までは在来種として多く栽培されていました。 ルーツは各地に3説あって、今となっては記録が乏しく決め手がありません。
その後兵庫県で「山田穂」から、純系淘汰法により「新山田穂1号」「新山田穂2号」が選抜され、それぞれ大正10年、11年に原種編入されています。 それにより「山田穂」は原種から外れてしまいます。
一方「山田錦」は、父「短稈渡船」と母「山田穂」の交配から13年の栽植選抜をへて、昭和11年(1936年)にようやく兵庫県の奨励品種に採用されました。
栽培のしやすさと収穫量や品質で父母を上回ったのですから、「新山田穂1号」「新山田穂2号」もやがて栽培されなくなります。(以上ルーツについては、兵庫県立農林水産技術総合センター研究報告〔農業編〕第53号 (2005)「山田穂」「短稈渡船」の来歴より引用)
その山田穂(正式には新山田穂1号)を60年ぶりに復活させたのが、清酒メーカートップの白鶴酒造さんなんです。 種もみの探し出しから5年の歳月を経て、平成7年(1995年)に純米大吟醸を発売されています。
山田穂復活の主眼は、山田錦を上回る酒米の開発でした。 復活間もない「新山田穂1号」と「渡船(正式には渡船2号)」を70年ぶりに交配し、山田錦の兄弟品種となる「白鶴錦」を誕生させています。
山田穂は、明治10年に兵庫県多可郡多可町中区で山田勢三郎氏が自作田で発見したとの説があり、このお酒はその発祥の地で復活した酒米が使用されているんです。
雄町=渡船・・・・短稈渡船と山田穂の交配で山田錦が生まれた。 このお酒のシリーズ、酒米の王様、その父系の雄町と復活した母、そしてこれまた幻の復刻米の神力とは。
日本の酒米ルーツシリーズか、本田社長参りました。!!
特長2 『龍力 山田穂 特別純米生原酒』は豊潤でキレも良く飲みごたえ抜群な仕上がり!
山田穂は山田錦より米の粒が小さく心白率も低いのですが、脂肪分は少ないのが特徴です。 そんな酒米の性質からか、このお酒は豊潤でキレも良く飲みごたえ抜群な仕上がりとなっています。
開栓し香りを嗅ぎます。氷温貯蔵で落ち着かせているのでしょうか、無濾過ならではの優しいお米の香りがします。 山田錦ほどの華やかな感じはありませんね。
口に含みますと、ふくらみのある優雅な旨みが広がります。 雑味はなく落ち着きがあります。 一方雄町のような濃淳さはなく、後味はふくよかで程よい酸が全体を引き締めていますね。
参考までに、蔵元さんからの酒米別コメントは以下の通りとなっています。
酒米 | 龍力 無濾過シリーズの蔵元コメント |
山田穂 | 酸味が少なく滑らかなやさしい味わい |
山田錦 | 旨味と酸味がバランス良く均整のとれた酒質 |
雄町 | しっかりとした米の旨味濃醇な味わい |
神力 | メロンにも似た香りと旨味で爽快な後味 |
兵庫の日本酒『龍力 特別純米 無濾過生原酒』と今夜の肴
さて今夜の肴は、『春野菜の肉炒め』と『焼き餃子』です。
『龍力 山田穂 特別純米生原酒』のふくらみのある酒質には、炒め物や中華料理があいますね。
本田商店の紹介とまとめ
本田商店さんが醸す『龍力』は、兵庫県の地酒代表銘柄と言っても過言ではないでしょう。 県内ではいち早く吟醸造りに着手し、「良い酒は良い米から」と、最高の酒米を使うことにこだわってお酒を醸す蔵元さんです。
酒米では特A地区山田錦を2000俵以上を確保し、蔵で使用する酒米の85%がこの特A地区山田錦なんだとか。 同じ特A地区でも、水系や日照、寒暖差、土壌成分などで違いがあり、味に違いがあるそうです。
そうして出来た最高級品「米のささやき 秋津」は田圃、低農薬、への字型栽培法、稲木掛け自然乾燥法、醸造全てに拘った商品で、1升3万円するんです。
また鑑評会出品酒の「大吟醸 米のささやき」は1升1万円。 自社精米で100時間以上かけて35%まで磨きあげ、贅沢な大吟醸酒に造り上げられています。
それから最新情報として、酒どころ「はりま」が2020年3月16日、地域ブランドとして国から保護される地理的表示(GI)の指定を受けました。
播磨地区の22市町の産地で、兵庫県産山田錦を原料に使うなどの条件を満たすことで「はりま」の日本酒を名のることができるそうです。
ああ、「はりま」は元々使ってないし・・・ まあ、地域全体のブランド(表示)が守られるってことか。
この前に飲んだ『悦凱陣』は超個性的なお酒だったけど、この『龍力』も芳醇な味が際立ちましたね。 山田錦愛かあ・・・
さて復活した酒米の雄町、渡船、山田穂。 そして今全国の高名な蔵元で醸され始めたばかりの、遅れてきた巨星『白鶴錦』。
酒米のルーツストーリーは、今後どんな展開を見せ、私たちを呑みこんでいくのでしょうか。
それでは皆さん、今晩はこの辺で失礼します。