日本酒ファンの皆さんこんにちは!
さて2週間ばかり忙しくてブログ更新ができなかったのですが、今週からまた頑張って書き込みしますので宜しくお願いします!
今回紹介するのは、高知県は佐川町の司牡丹酒造さんが醸す『船中八策零下生酒』です。
ところで高知県の2022年全国新酒鑑評会の金賞及び入賞率は、ともに全国トップ。 過去10年の通算でも金賞率は全国3位と、西日本でもダントツの成績なんです。
さて『船中八策零下生酒』、一体どんな味わいなんでしょうか?
『船中八策零下生酒』はスッキリした辛口ながら旨みとコクあり
仁淀ブルーと呼ばれる全国水質トップクラスの湧水が膨らみを生む
司牡丹酒造さんの酒蔵がある佐川町は高知市の西方約30キロの小盆地にあって、清流仁淀川に繋がる柳瀬川流域に広がります。
司牡丹の仕込み水はその仁淀川水系の湧水(軟水)が使われており、敷地内の井戸より汲み上げられています。
ちなみに仁淀川は過去に全国河川水質ランキング1位となり、平成2年も『水質が最も良好な河川』として3年連続で選ばれています。
酒米には麹米と酒母に兵庫産山田錦、そして掛米に岡山産アケボノで醸されています。 また酵母は熊本酵母となっています。
《原料米》『兵庫産山田錦』、『岡山産アケボノ』
《精米歩合》60%
《酵母》-
《日本酒度》+8 《酸度》1.6
《アルコール度》16度
《造り》純米酒生原酒
《お値段》1800 ml 3432円
《製造》2022年4月
マイナス5度の生貯蔵によって、軽快で滑らかな風味が口中に広がる
このお酒は、春先に搾りたての純米酒生酒を一切熱処理を加えずに、マイナス5℃以下にて貯蔵し、夏季限定で発売されたものです。
一般的な夏の生酒は5度~10度の冷蔵庫で保管されているため、『生ひね』の風味が付くこともあると言われます。
そこで司牡丹酒造さんでは、マイナス5度以下の氷温『零下』貯蔵することで熟成をストップし、生ひねを防止しています。
これによってフレッシュで香り高く、ふくらみのある味わいが口中で広がり、後口は爽やか、船中八策らしいシャープなキレが楽しめます。
心地良いなめらかな膨らみ、後口は爽やかにスパッとキレる超辛口の味わいは、初夏にピッタリですね!
微生物は10度以下で動きが鈍くなり、マイナス15度を越えるとほぼ繁殖が不可能となるらしい。市販の冷蔵庫は冷蔵室が0〜10度、冷凍庫はマイナス18度の設定が多いとか。 ワインクーラーも5度までが大半なので、-5~0の家庭用氷温クーラーが欲しいね・・・
『船中八策零下生酒』と今夜の肴
最近カツオが豊漁とのニュースが飛び込んできました。 カツオはもともと秋に東北沖から南下して、日本の南の亜熱帯域の海で産卵をするそうですね。
ところが近年はそこまで南下せずに、日本の海の近くで過ごすカツオの群れがいて、たくさん獲れた可能性があるそうです。
海水温の上昇や黒潮の蛇行などの影響でしょうか? いつまで豊漁が続くのか不明ながら飲兵衛には嬉しい限りです!
そこで早速、カツオの外側をさっと炙ってたたきを作ってみました。 水分が抜けて味わいが濃くなって、辛口のお酒によく合います!
『司牡丹酒造』の紹介
遡ること420年前、戦国を勝ち抜いた山内一豊より佐川1万石を拝領した首席家老の深尾氏は、遠州掛川より商家『御酒屋』を伴ってきたそうです。
仁淀川の清らかな水に恵まれた佐川の地は、酒造りには最良の地。 職人たちはまさに水を得た魚の如く、多くの銘酒を生み出します。
そして蔵元の竹村家は順調に家業を発展させて名字帯刀を許され、1770年には『黒金屋』の屋号を許されます。
時が流れ1918年には近隣の酒蔵と株式会社を設立。 近江屋事件で中岡亡き後の陸援隊副隊長を務め、後に宮内大臣に栄達した田中光顕伯爵より、『司牡丹』の命名を賜ります。
クイズーダービーにも出ていた漫画家の『黒鉄ヒロシ』さんは当家の出身。ペンネームは屋号からの賜りもの。 こちらは龍馬でなくコミカルに『新選組』を描き下ろして、文芸春秋漫画賞を受賞しているね!
その後『司牡丹』の中興の祖、竹村源十郎氏(現蔵元の4代前)は品質至上主義を掲げ、1926年(昭和元年)より全国の有名銘醸地歴訪の旅を始めます。
そして高知の軟水に適した広島の『軟水醸造法』に出会い、広島杜氏の第一人者であった川西金兵衛氏を招き入れます。
その成果は、1938年(昭和13年)四国初の全国清酒品評会名誉賞に結実したのです。 その後広島杜氏は多くの高知の酒蔵で腕を振るったと言います。
また戦後の三増酒の時代にあっては、いち早く純米酒や本醸造酒への切り替えを進め、『地酒ブーム』を牽引します。
昭和40年から平成18年までの通算金賞受賞歴25回の金字塔は、全国トップクラスと言っていいでしょう。
時代は進み4代目蔵元の昭彦氏は、地元佐川町や四万十町で永田式農法による酒米造りを進めるなど、新たな酒造りを展開しています。
まとめ
南国土佐の英傑『坂本龍馬』の実家は酒屋と質屋を営み、その昔佐竹家とも縁浅からぬ関係であったそうです。
薩長同盟を成し遂げた龍馬が、海援隊の新しいスポンサーとなった土佐藩の参政・後藤象二郎に、船中で大政奉還の策を授けたのが『船中八策』。
ありていに言えば、平和的な政権移譲と新政府による政治・経済の運営方針なのですが、無血クーデターとならなかったのは皆さんご存知のとおりです。
司馬さんの大ヒット小説が大きく影響しているのは間違いありませんが、『とさっぽ』はよほどの英雄好き。 それも酒国土佐の文化なのでしょうか?
それでは日本酒フアンの皆さん、今回はこれで失礼します。 今回も最後までお読みいただきありがとうございます。