皆さん、こんにちわ!
今回は、新潟県は村上市の大洋酒造さんの『無想 散憂』を紹介します。
大洋酒造さんと言えば、『新潟ニュー淡麗』とか『ネオ淡麗辛口』とか呼ばれるお酒を醸す大人気の酒蔵さん。
それでは早速ご紹介しましょう。 大洋酒造さんの『無想 散憂』どんな味わいなのでしょうか?
『無想 散憂』はふくらみのある甘みと程よい酸味、適度な辛口が食を進める
『無想 散憂』は15度の生原酒ながらも飲み飽きしない酒質
『大洋酒造』さんは、新潟県の最北村上市にあります。 市内を流れる三面川は古くは瀬波川と呼ばれ、秋になると鮭の遡上で広く知られています。
三面川は源流を朝日連峰とし、その雪解け水はとうとうと日本海に注ぎ込んでいます。 『大洋酒造』さんではその豊富な伏流水を、仕込み水、手洗いトイレ、消雪用にまで使っているそうです。
『無想 散憂』で使われる仕込み水は、ほぼ中性で硬度32の軟水です。 酒質がきれいで淡くきめ細やかになるそうです。
《原料米》岩船産『越淡麗』100%
《精米歩合》55%
《酵母》新潟酵母
《日本酒度》- 《酸度》-
《アルコール度》純米吟醸おりがらみ生原酒、15度
《お値段》720 ml 1500円
《製造》2021年4月
爽やかに口に広がるフレッシュなガス感に、15度の生原酒ながらも飲み飽きしない酒質。 秋田の新政でもなく、新潟の荷札酒でもなく、スッキリした辛口感もあります。
そして口当たりは柔らかく、ふくらみのある甘みを感じます。 程よい酸味と相待ってとても爽やかな味わいは、従来の淡麗辛口を完全に脱皮しているのではないでしょうか。
『無想 散憂』の酒米は『越淡麗』、軽やかな米の旨味と後口はすっきり切れる
『無想 散憂』の酒米は、地元岩船の契約栽培米『越淡麗』で、山田錦と五百万石を両親に持つ黄金血統なんです。
この酒米は、新潟県が地酒王国の威信をかけて開発した米で、『大洋酒造』さんでは試験栽培の段階から杜氏の田んぼを使って、プロジェクトに参画してきたそうです。
大吟醸といえば山田錦で決まりでしたが、2004年から『越淡麗』に切り替えて、ようやく新潟県産米100%になったそうです。
そして早くも2007年にはこの酒米で、関東信越国税局の鑑評会で史上初となる新潟県総代に選ばれたそうです。
ほのかな微炭酸感に旨味が加わり、適度な辛口感があるね。 後口はすっきり切れる感じで、これが新潟の『ネオ淡麗辛口』と言われる味なのかな・・・
新潟の日本酒『無想 散憂』と今夜の肴
村上のグルメと言えば『鮭』。 村上の人たちは、その昔から鮭を愛し、守り育ててきました。 村上の鮭料理はなんと百種類をこえるそうです。
我が家の食卓では、もっぱら『醤油イクラ漬け』『塩焼き』くらいしか思い当たりません。
最近は、近くの新潟のお魚スーパーがあり、一年中そちらで求めています。
大洋酒造の紹介
米どころ新潟にあっても、戦前の企業整備令による指導をうけて、昭和20年村上管内の14の蔵元が合併して誕生したのが『下越銘醸』。 さらに5年後には『大洋酒造』へと社名変更します。
母体となった各蔵元の歴史は古く、寛永12年(1635年)創業の蔵もあったそうで、歴史と伝統がある酒蔵さんなのです。
その後『大洋酒造』さんは、全国に先駆けて『吟醸酒』を発売するなど進取的な酒造りを行い、高級酒から定番の晩酌酒まで幅広くラインナップしています。
そんな酒造りを長らく支えてきたのが、『にいがたの名工』に認定された名杜氏の田沢勝氏。
その名杜氏の元で、『無想』シリーズを立ち上げたのが営業担当だった平田州さん。 27BYから副杜氏として造りに入り、初めて醸したのが無濾過生原酒の『無想』だったとか。
サケと酒の城下町・村上には、京都あたりから若手料理人が戻ってきているそうで、平田さんは次世代の地元酒で刺激を与えたいとの思いから、このお酒をリリースしたのだそうです。
ところで『大洋酒造』さんの造りの特徴は2つあります。 一つは、お米の磨きはたとえ普通酒であっても吟醸酒と同じ、なんとおどろきの55%なんです。
もう一つは、高品質の酒造りを追及するために新しい装置が導入されています。
洗米では、最新型ウッドソン洗米機が導入され、気泡の力で糠をしっかりと落として、さらにジェット水流で隣の工場の4階まで米を流送しています。
また後味の引けの良さをさらに高め、高品質を追求するために、『麹室』をリニューアル。 大きな製麹機にステンレスの麹箱が使われ、オフフレーバーが徹底されています。
さらに搾りはヤブタに加えて、まろやかな酒質を可能とする旧来型のステンレス製の槽を導入するなど、酒造りの新しい装置を充実させています。
3tのサーマルタンクを導入しても、仕込みは小仕込みで、普通酒でも低温でゆっくりと発酵させているそうだ。 量でなく質のさけづくりかあ・・・
まとめ
『散憂』とは、杜甫の『一酌散千憂』と言う詩の一節から来ていて、一杯で千の憂いも散ると言う意味なんだとか。 酒は明日への活力と謳われた詩なんだそうです。
また秋酒には酒仙詩人、陶淵明の詩の一句から『守拙』をいただき、こちらは己の覚悟を愚直に貫くという意味だそうです。
ラベルは平田杜氏の姉・星(せい)さんが揮毫したそうですが、スッキリしたデザインですね。 『無』は切り立った岩山を、そして『想』は谷を包む霧雲を連想させます。
『無心に酒造りに勤しむ』という意味の『無想』は、平成27年の最初の造りから年々進化。 『ネオ淡麗辛口』のお酒から、しばらく目が離せなくなりそうです。
それでは皆さん、今回はこれで失礼します。