皆さん、こんにちわ!
今回は、三重県は名張市・木屋正酒造さんの『而今(じこん)特別純米生』を紹介します。
木屋正酒造さんと言えば、今や入手が困難な全国でも大人気の酒蔵さん。 トラマサの日本酒銘酒番付でも、西の横綱にランクされています。
それでは早速ご紹介しましょう。 三重県の『而今 特別純米生』どんな味わいなのでしょうか?
『而今 特別純米生』は、落ち着いた果実香と甘く綺麗な酒質
『而今 特別純米生』は麹米・掛米とも山田錦100%で上品に仕上がっている
而今を醸す『木屋正酒造』さんがあるのは三重県の上野盆地。 東に布引山地、南に紀伊山地があり、日本有数の多雨地帯から流れ出る名張川が流れ、その軟水の伏流水でお酒は仕込まれています。
また上野盆地の冬は氷点下となり、寒仕込みには絶好の気候となっています。
仕込まれた酒米は、麹米・掛米とも地元産山田錦100%です。 従来は、麹米山田錦20%・掛米五百万石80%となっていましたので、進化しているようです。
勿論、立香は山田錦らしい華やかな香りで、バランスのいい酒質は而今らしい上品さ表現しています。
《原料米》『山田錦』100%
《精米歩合》60%
《酵母》自社酵母
《日本酒度》- 《酸度》-
《アルコール度》特別純米生、16度
《お値段》1800 ml 3080円(税込)
《製造》2020年12月
『而今』の定番:特別純米は火入れ酒もアリで、フレッシュ感は失われていない
『而今』定番酒の酵母は主に9号系の自社酵母が使われています。 この酵母は自社のもろみから採取したもので、自社保存して使用しているそうです。
一番気を遣うことは『甘味と酸のバランス』だとか。 自社酵母で酸を決めて、甘味は麹を総破精としているかと思いきや、突き破精なんだそうです。 あの適度な甘味は蔵元の腕の見せ所なのでしょう。
搾りは、密閉性の高い酸化しにくい『ヤブタ式』。 そして搾ったままを瓶詰しています。 火入れは瓶燗火入れで、生は勿論そのままです。
19BYの『純米吟醸山田錦火入れ』を呑んだ時の印象ですが、火入れと言えども全くフレッシュ感は失われていません。 火入れ技術の秀逸さが伺われ、特約店で見つけたら即買いでしょう。
『而今』は、旨口のお酒なので酒米も暖地系が多い。 ひたすらに甘口系の造りの精度を磨き込んでいる感じかなあ・・・ 純米吟醸山田錦火入れも、感服する旨さで参りました!!
『而今 特別純米生』と今夜の肴
木屋正酒造さんがある三重県は、山海珍味の豊富な食材が酒宴を盛り上げる土地柄。 牡蠣やアワビに伊勢エビ、そして肉は松坂牛。
そんな訳で今夜は生蠣で、早速いただきます。 海のミルクにお米の旨味が応えて、堪りませんね。
木屋正酒造の紹介
『木屋正(きやしょう)酒造』さんは、江戸後期初代大西正之助氏が造り酒屋『ほてい屋』を譲り受けて、元の材木商の屋号に改めて継承したそうです。
そんな歴史のある『木屋正酒造』の6代目蔵元である大西唯克さんは、4年間乳業メーカーでモノづくりの精神を学んだ後2002年に酒蔵に戻ります。
大学は上智大理工学部、醸造は履修できなかったので、東広島の醸造試験所で酒造りを学びます。 そして蔵に戻れば普通酒を中心とした酒造りで、自分の旨いと思う酒とのギャップに悩んだそうです。
2年後に蔵の造りが130石に落ち込み危機感を覚えて、自ら杜氏として旨い酒を醸す道を志します。 そうして自分の銘柄として2005年に立ち上げたのが、而今(じこん)だとか。
そして早くも2005年の全国新酒鑑評会で大西さんは金賞を受賞、華々しいデビューを飾りました。 そのこだわりの酒の旨さはうなぎのぼり、今や全国区の人気銘柄です。
このネーミング、実は母上が『今までのことをクヨクヨ考えないで、今出来ることを精一杯行いなさい』との思いで付けられたそうで、まあ母上の愛情物語ですか。
しかし大西さんはそれに奢ることなく、設備や製造の見直しに取り組み、衛生管理も徹底しています。 特に麹造りや発酵過程では酵母がより良い環境で生存できるよう、徹底した温度管理をしています。
今では、麹室の温度管理はデジタル化しスマホで見ることができ、もろみは低温管理を徹底。 さらには酒母室や搾り機室、瓶貯蔵庫、サーマルタンクなどの冷蔵庫化が進められています。
まとめ
古き良き日本の文化を残したいとの思いから、大西さんはR2BYの造りから木桶仕込みに挑戦するそうです。 新政の佐藤祐輔さんと同様、日本の伝統産業継承への思いが強く感じられますね。
『今できる最善のことをする』という信念のもとに、ひたすら旨い日本酒づくりに専心する蔵人たち。 その味わいを左右するポイントは、造りての感性、情熱、愛情、観察力、向上心だとか。
ちょうど大西さんが酒蔵に戻った時代は、『カイゼン』は経営の三種の神器みたいなもの。 終わりのないものづくり、伝統を受け継ぎ現代にマッチした日本酒を目指して、今日も酒造りは進みます。
それでは皆さん、今日はこの辺で失礼します。