日本酒ファンの皆さま、こんにちわ!
今回は、富山県で酒造りをしているフランス・シャンパン界の巨匠、ジョフロワ氏が作り上げた『IWA5 アッサンブラージュ 2』を紹介します。
ジョフロワ氏は、あのドン ペリニヨンで28年にわたり5代目醸造最高責任者を務めた伝説の人。 このお酒はその卓越したアッサンブラージュ技術によって誕生した日本酒なんです。
さて『IWA5 アッサンブラージュ 2』、一体どんな味わいなんでしょうか?
『IWA5 』はブレンド酒という日本酒の新ジャンルの革命を起こす
5種類の酵母と複数の酒米で、深いハーモニーを生み出す
『アッサンブラージュ』とは、シャンパン造りの工程で、異なる原酒を細心の注意をもって組み合わせるブレンド技法のこと。
一般的に日本酒は単一の仕込みから瓶詰されますが、この『IWA5』は複数の原酒をブレンドして生成されます。
それらの原酒とは、異なる産地の酒米『山田錦』『五百万石』『雄町』などから醸され、さらに5種類の酵母で仕込まれます。
さらに単一年のものだけに止まらず、異なる年の原酒がブレンドされるのです。 まさにシャンパーニュの手法で、香りや味わいの深み、奥行きが生み出されています。
《原料米》『山田錦』『五百万石』『雄町』
《精米歩合》-
《酵母》5種類
《日本酒度》- 《酸度》-
《アルコール度》15度
《造り》
《お値段》720 ml 14300円
《製造》2020年6月
味わいは、山田錦の香りのよさ、五百万石の後味のキレ、雄町独特の濃厚さが渾然一体となっています。
つまり甘旨み、酸味と辛みが絶妙なバランスで複雑な味わいを醸しており、でも決して重くはなく階層のある味わいです。
このお酒の特徴は何といっても、独特な香りでしょうか。 でも強いものではなくフルーツと言うよりも、様々な花の香りが混ざっているかのようです。
例えて言えばメイドインジャパンの車と言うよりも、日本開発の海外製造車のような、逆輸入品のテイストなんでしょうか。
これまでの日本酒では、単一の仕込みタンクを混ぜて味を整える程度だった。 このお酒は香りや味わいが輻湊しているので、酒飲みには上品過ぎて味が軽すぎるかな?・・・
アッサンブラージュ(ブレンド技術)もボトルデザインも洗練されている
マットブラックのクールなボトルデザインは、アップルウォッチのデザインなどで知られるプロダクトデザイナーのマーク・ニューソン氏の手になるもの。
またヴィノロックと言われるワインに使われるガラス製の栓が使われており、とても高級感があります。
そして黒いすりガラスにホワイト書きされた文字は、女性書道家・木下真理子氏が、まるで富山の象徴、剣山を表わしているかのようです。
そんなインパクトのあるボトルデザインに加え、個装箱も高級ギフト感満載で、何年もリビングのガラス棚に飾りたくなりそうです。
友人の好意でご寄贈していただいた。 味わいは日本人に合うかと言われれば微妙。 お金持ちに合うかと言われれば、その通りかな。
ところでアッサンブラージュの技術とは、先ず原酒を丁寧にテイスティングし、その特徴を探り出し、調合の割合を吟味すること。
試験的な調合を繰り返し、スポイトを用いた細かな調整を行い、究極のエクセレンスであるバランスとハーモニーを探し出すのです。
まさに『IWA5 アッサンブラージュ2』は、ブレンドの芸術品と言えるでしょう。
『IWA5 アッサンブラージュ 2』と今夜の肴
富山湾のグルメと言えば、白エビに鰤、そして紅ズワイガニ。
そして春の風物詩と言えば『ホタルイカ』。 さっと茹でたホタルイカの内臓の苦味が口中に広がり、ブレンドされた『IWA5』とよく合いますね!!
でも、価格的には鰤や蟹の高級志向で合わせた方がつり合ったかも?・・・
『白岩』の紹介
2018年の暮、フランスシャンパーニュ界の雄『ドン ペリニヨン』の醸造責任者を28年間務めてきたリシャール・ジョフロワさんは、誰もが驚く64歳という若さで第一線を退きました。
しかしそれは、新たな挑戦の始まりだったのです。 ドンペリを退職後に日本各地の酒蔵巡りをし、大好きな日本酒造りに向けてのスタートでした。
ジョフロワさんは1991年に初来日以来、日本文化とりわけ日本酒の魅力に憑りつかれ、シャンパンで培った技術でSAKEをもっと世界に広めようと考えたのです。
『シャンパンと日本酒は、原料や製法の違いはあるものの同じような飲み心地』と、シャンパンのブレンド技術を持ってして、日本酒の世界へ踏み出したのです。
そんな訳で、蔵を構えたのは富山県立山町白岩地区。 ここには日本アルプスから流れ出る清冽な水と景色、美しい稲田があります。
まずは2018年休業中の酒蔵から酒造免許を買取り、『満寿泉』を醸す桝田酒造店さんと共同で『株式会社白岩』を設立します。
蔵元の桝田隆一郎氏を紹介したのは、世界的建築家の隈研吾氏。 氏は、そして新しい酒蔵の設計をも買って出たのです。
隈氏が設計する新しい酒蔵が完成するまでは、桝田酒造店の酒蔵で3種類の酒造好適米と5種類の酵母を用いて、巧みなブレンド技術によって調合を繰り返します。
そして第1号の日本酒『IWA 5 アッサンブラージュ1』は、2020年7月にリリースされたのです。
しかしその後新型コロナによるロックダウンで、ジョフロワさんはフランスを出ることが出来なくなります。
すべての原酒はフランスに送られて、究極のリモートワークが繰り広げられ調合と最良の選択が続き、ようやく2021年5月『アッサンブラージュ 2』が発売されたのです。
まとめ
さて、昭和の昔のウィスキーは専らブレンド酒が多かったのですが、今は本場に習ってシングルモルトが大人気。 いまや世界の『JAPANESE WHISKY』ですね。
そして今迄の日本酒業界は、山田錦をはじめ単一の酒米や酵母、造りの特性に注力したタンク内での神秘的な発酵の技に賭けてきたきらいがあります。
最近真鶴を醸す『田中酒造店』でも同様に、世界的ソムリエがマスターブレンダ―となって『TANAKA1789』というブレンド酒を発売し、注目を集めています。
また、茨城は青木酒造の『御慶事』、米沢4蔵による『米沢アッサンブラージュ』、さらに全国9つの蔵元からなる『若手の夜明け』も話題になっています。
『スパークリング』のジャンルが出来たように、華麗な香りや深い味わいをさらに求めた『ブレンド酒』が多く出てくれば、新ジャンルが出来るかも知れませんね!
それでは皆さん、今回はこれで失礼します。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。