日本酒ファンの皆さんこんにちは!
前回、四国酒蔵88か所巡り第1番札所『鳴門鯛 本家松浦酒造場』さんを紹介したので、今回は22番札所『美丈夫 濱川酒造』さんを紹介します。
さて『美丈夫 純米吟醸純麗たまラベル』、一体どんな味わいなんでしょうか?。
『美丈夫 純麗たまラベル生』は意外と旨味がありキレ良い味わい
日本三大美林からの超軟水が、たおやかな口当たりを生む
さて『濵川商店』さんがあるのは高知県東部、安芸郡田野町。 蔵近くに流れる奈半利川の上流には、日本三大美林の魚梁瀬杉の森が広がります。
四国南東部に突き出る山地の峰々には、大量の雨が降り注ぎます。 樹木が生い茂る森を下り、蔵にたどり着いた伏流水は国内屈指の超軟水です。
それ故に酒造りの発酵が進まないため、低温発酵のための強い麹を造るなどの工夫が行われています。
もともと食用米として開発された愛媛県産『松山三井』は、大粒でたんぱく質成分が少なく端麗辛口に仕上がります。
《原料米》愛媛県産『松山三井』
《精米歩合》55%
《酵母》KA-1
《日本酒度》+4 《酸度》1.4
《アルコール度》16度
《造り》しぼりたて生原酒/純米吟醸
《お値段》720 ml 1650円
《製造》2023年11月
そして酵母は低温発酵に適したKA-1(熊本酵母)で、酸の生成が少なく華やかな香りを生み出しています。
生酒のフレッシュな透明感と豊かな果実味、少し抑えた柑橘系果実の香りに、お米のふくらみや旨さが感じられます。
きめ細やかでたおやかな口当たりとシャープなキレ味は、食事との相性も抜群ですね!
少量仕込みに氷温貯蔵で酒のフレッシュさと安定性を保つ
『濵川商店』さんの造りは、丁寧な洗米・給水、最善の蒸し米造り、そして少量仕込みへとすすみ、特にこだわっているのが貯蔵方法です。
一般的に常温管理下では品質保持のために十分な濾過や火入れをしますが、濱川商店さんでは、風味を損なわないように一回のみとしています。
まず酒を搾ってすぐに瓶燗火入れをし、その後水で15度まで急速冷却します。
そして-2~5℃の各温度帯に保たれた4ヵ所の冷蔵貯蔵庫に氷温貯蔵することで、酒のフレッシュさと安定性の両立に成功しています。
2019年8月には冷蔵貯蔵庫をさらに増設して計2千石の貯蔵能力とし、ナント全銘柄・全量の日本酒を瓶貯蔵しておられます。
冷温化は貯蔵だけではない。 仕込のタンクはすべてサーマル化されている。社長さんの意気込みがうかがえるね!
『美丈夫 純米吟醸純麗たまラベル』と今夜の肴
高知の魚と言えば、血合いの多いマグロやカツオ。 それに合わせて高知のお酒は、端麗辛口の味わいとなったのでしょうか。
それとも南国ゆえに、酢の物が多い料理は九州と同じ。 つまり、双方と相性がよいのは端麗辛口のお酒!
高知に行ったときは、藁焼きのカツオにウツボのから揚げ。そして、締めは浅利ラーメンで決めました!!
『濵川商店』の紹介
『濱川商店』さんがある田野町は、藩政時代は御用商人の山林開発で栄えた地。 そして明治末期から昭和30年代にかけては、森林鉄道が駆け巡っていました。
実は1904年創業の(明治37年)濱川家も、江戸期は木材を扱う廻船問屋を営んでいたそうです。
初代の濵川金太郎氏が、浜辺に飛来した2羽の丹頂鶴に出会ったことにちなみ『濱乃鶴』と名付け、蔵元としての歴史を開いたとか。
さて4代目蔵元の濵川尚明さんは、若き頃東京で吟醸酒の味に触れ、先代社長らの反対を押切り1972年には純米酒を商品化、純米酒ブームの先鞭をつけます。
その後酒質の向上に努め、1991年(平成3年)に新ブランド『美丈夫』を発表。 これを機に純米酒・吟醸酒のライナップへと大転換を図ります。
酒銘『美丈夫』は、『華のように薫がごとく雅に舞う麗人』をキャッチに、土佐の英雄坂本竜馬をイメージして、長谷川浩一氏(はせがわ酒店社長)が命名したんだとか。
現在杜氏を務めるのは、小原 昭さん。 平成22酒造年度から平成29酒造年度まで、8年連続で全国新酒鑑評会の金賞を受賞する名杜氏です。
さて『濱川商店』さんの海外進出は20年前から。 シンガポールを初めとして、積極的に展開されています。
もちろん地元も忘れてはいません。 高知市内にアンテナショップやバーを開設、県内消費の拡大にも力を入れ、『本当に旨い酒』を目指されています。
まとめ
数年前にコーポレイト・ブランディングを見直し、デザインが一新された『美丈夫』シリーズ。 金箔の丸マークは、初代金太郎にあやかるとか。
土佐の風景写真をモチーフにした統一感のあるスタイリッシュなラベルとなっています。
なんと、ラベル左下に小さく猫が描かれていますね。 その猫の名前は『たま』といい、酒銘の由来なんだそうです。
ラベルに負けず劣らず、近年『SAKE COMPETITION』での受賞など酒質の高さが評価されており、ますます目が離せませんね。
それでは皆さん、今回はこれで失礼します。 今回も最後までご覧いただき有難うございます。