日本酒ファンの皆さんこんにちは!
今回は、三重県菰野(こもの)町は早川酒造さんが醸す『田光(たびか) 喜雨』を紹介します。
早川酒造さんは、鈴鹿山脈の麓に位置する小さな酒蔵さんですが、近年酒質がめきめきと上がり注目の酒蔵さんなんです。
さて『田光 喜雨』、一体どんな味わいなんでしょうか?
『田光 喜雨』は、爽やかな香りとスッキリした口あたり
田光ブランド初の八反錦は、夏に向けた癒しの味わい!
さて早川酒造さんの仕込み水は、西方に聳える釈迦岳からの伏流水を使用しています。
その釈迦ヶ岳の雪解け水は、長い年月をかけて花崗岩に磨かれ地上に湧き出し、なんと硬度25の超軟水。
当然のことながら超軟水ゆえにお米が溶けにくいのですが、口当たりの柔らかい酒質を生んでいます。
《原料米》広島県産『八反錦』100%
《精米歩合》60%
《酵母》三重酵母
《日本酒度》- 《酸度》-
《アルコール度》15度
《造り》生詰特別純米
《お値段》1800ml 3630円
《製造》2023年7月
またこのお酒の酒米は広島県産『八反錦』を全量使用。 多くの酒米で醸される田光ブランドの中で、八反錦は夏に向けた癒しの味わいを出しています。
果実のような華やかな香りにくわえ、ふくよかな酸味とスッキリとした甘みが後味を綺麗にまとめていますね。
早川酒造さんの造りの特徴は、小仕込み・槽搾りの手仕事
マニアからは、ニュークラシカルとして注目を浴びる早川酒造さん。 なぜならその造りの特徴を見てみれば、理由がわかります。
まず造りはすべて純米醸造で、しかも全種類のお酒が昔ながらの木槽によって2日間もかけて丁寧に搾られます。
ナント酒質を悪化させないために、その木槽は小さなプレハブで囲われ除湿冷房化されています。 そして搾ったお酒は、サーマルタンクで直ちに冷蔵されています。
また少人数ゆえ仕込みは800kg単位の小仕込みで、在庫が減ったら造るというフレッシュローテーションが行われています。
したがって、酒造りの期間は秋口から梅雨期までと長くなっています。
とてもまろやかな味わい。小規模の蔵ながら丁寧な造りに徹する設備も導入されて、酒質がめきめきと磨かれている。全国で大人気になっているのがよく分かるね!
『田光 喜雨 』と今夜の肴
三重県北勢にある菰野町は、その東にある四日市市のベッドタウンとして発展し、人口は4万人で県下最大の町になっています。
鈴鹿山脈の清流と広大な農地に恵まれた地場産品はといえば、農産物や精肉製品でしょうか。
中でも特筆できるのが、町名にもなっているイネ科の『マコモタケ』なんだとか。 肥大化した茎が食用されるそうです。
さてそんな特産品は入手しがたく、今夜はカレイの煮つけで豊穣祈願といきますか!
『早川酒造』の紹介
早川酒造さんの創業は1915年(大正4年)。 それまでの屋号は『紺政』で、四日市で藍玉を造っていたそうです。
その後、1959年(昭和34年)の伊勢湾台風により酒蔵が被災し水質も変化。 そのため良水を求めて、1977年(昭和52年)に菰野町に移転したのです。
さてこの蔵の復活ストーリーは、父子による伝統を大切にした丁寧な酒造り。
先代の父早川俊介氏が蔵元杜氏となったのはおよそ25年前。 一方息子の俊人氏は、東京農大短期大学で学び、2003年に蔵入りします。
その後山形県は酒田市の『上喜元』を醸す酒田酒造さんで、2年連続2か月間住み込みの短期修行を敢行。
こうして東京農大OBでもある蔵元杜氏のもとで学んだ技術をもとに、感銘を受けた雄町米を使って『田光』ブランドを生み出したのです。
そして2009年新ブランド発売を機に俊人氏は杜氏に就任し、酒質第一に積極的な設備投資を行います。
『田光』の発売はすぐに全国的な話題を呼び、翌年には『五百万石』『美山錦』『神の穂』などの酒米にもチャレンジし、一層評価を高めたのです。
2023年にようやく父からの代替わりを遂げて、蔵人の増員やタンク増量、山廃造りなど独自の仕込みにもチャレンジが始まっています。
まとめ
ブランド名『田光(TABIKA)』は、蔵のある地区名や蔵の横を流れる『田光川』からの引用。 初夏には、田圃にひかれた水がキラリと光るのどかな田園地帯です。
そしてサブネームの『喜雨』とは、長い日照りが続いた時に降る恵みの雨。 雨が秋の豊穣に繋がるように願う言葉から名付けられたとか。
しかし残念ながら、昨今の梅雨の雨は『シトシト・ジトジト』から、『カラカラ・ジャージャー・ゴーゴー』でしょうか。
去年は夏の長雨の影響で米の出来が不作。 今年は高温や渇水、はたまた台風・洪水の影響でまたまた不作予想が伝えられています。
昨今の暴れる自然では祈願は届かず、もう豊穣の秋を迎えることができないのでしょうか・・・
それでは皆さん、今回はこれで失礼します。 今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。