皆さん、こんにちわ!
今回は、愛知県は山忠本家酒造さんの『義侠 純米原酒 特A山田錦』を紹介します。
山忠本家酒造さんと言えば、愛知県を代表する全国でも大人気の酒蔵さん。 全量純米造り、良質の酒米のみで酒造りにこだわる蔵元さんです。
それでは早速ご紹介しましょう。 『義侠 純米原酒 特A山田錦』どんな味わいなのでしょうか?
『義侠 純米原酒特A山田錦』はじわじわと広がる、ふくよかで上質な旨み
清流木曽川水系の伏流水で仕込まれ、豊潤な旨味とコクが広がる
山忠本家酒造さんは愛知県愛西市日置町にあり、木曽川を始め三つの清流が流れる地。 遠く木曽御嶽山辺りの山塊からの伏流水を、仕込み水としているそうです。
さらにこの地は、西に伊吹山からの吹きおろしと酒造りに最適の地で、酒国愛知を生み出すもととなっています。
《原料米》『兵庫県東条産特A山田錦100%』
《精米歩合》60%
《酵母》9号酵母
《日本酒度》+3 《酸度》不明
《アルコール度》純米原酒生、16~17度
《お値段》720 ml 1650円(税込)
《製造》2020年12月
この『義侠 純米原酒 特A山田錦』の味わいは、ふくらみのある米の甘い香りに麹を思わせるフレッシュな香りが絡み、ダイナミックな口当たりで豊潤な旨味とコクが広がります。
ああ、新聞紙でくるんだ包装、どこの酒だアー! よく見れば、ラベル書きが添付されているけど。 生酒は品質劣化を防ぐため、このスタイルが伝統って訳だけど、もう義侠くらいかな ・・・
『義侠』の拘りは、金賞狙いではなく『飲んで旨い酒』を特A山田錦で醸す
酒米は全量自社精米で、蔵にはそれをささえる精米機が林立してしています。 精米から手掛けることでその年の米の特徴を把握し、米は10kづつに分けて丁寧に手洗いされています。
この『義侠 純米原酒 特A山田錦』はヤブタ式で絞られていますが、吟醸クラスのものは全量蓋麹造りをし、槽(フネ)で丁寧に絞られています。
また、醸されるお酒はすべて9号酵母が使用されています。 愛知県は温暖な地での吟醸造り故、9号酵母は理にかなっているのでしょう。
この『義侠 純米原酒 特A山田錦』はじわじわと広がる、ふくよかで上質な旨み。 少し前に飲んだ新潟の『鶴齢』のような、輪郭のあるしっかりした味わいです。
スタンダードの純米酒には、『東条産特A山田錦』と『富山なんと産五百万石』があり、前者は濃淳でダイナミック、後者は爽やかな酸とキレ。 純米吟醸は前者のみで、精米歩合を40%~60%で展開しているね。 山、山、また山・・・なのだあ
愛知の日本酒『義侠 純米原酒特A山田錦』と今夜の肴
『義侠 純米原酒 特A山田錦』は、芳醇な米の旨みと輪郭のあるしっかりした味わいなので、今夜は『鰤のあら煮』で頂きました。
山忠本家酒造の紹介
山忠本家酒造さんの酒造りの神髄は、『米の力を最大限に還元したお酒』を作り上げること。
かって大手酒造メーカーの下請けをしていたそうですが、「飲んでうまい酒を造りたい」という思いから、石高を大幅に落としてまでの全量純米仕込みに挑みます。
それは昭和50年代に義侠が10年連続金賞を受賞していた時期であり、オイルショックを経験し低成長の時代を迎え、本物の日本酒が問われる時代となった頃でした。
さらには10代目蔵元山田明洋氏は原料米にこだわり、山田錦の素晴らしさを伝えるため、日本の名だたる名醸を率いてフロンティア東条21(特A山田錦を守る会)を1994年に立ち上げます。
この頃大手メーカーはそこそこの味わい造りの技術が確立したことから、価格の高い酒米『山田錦』に見切りをつけ、低精白の普通酒造りに邁進。
明洋氏はまさに『逆張り』戦略で、米の関税自由化を睨み据えながら、本当の日本酒、酒米の王者を守ろうとしたのです。
蔵元自らが田んぼに入り、契約農家とともに品質改善に努めるという徹底ぶり。 その後全国で山田錦の栽培が進み生産量が増えているのは、明洋氏の信念のお陰なのではないでしょうか。
さらに蔵元は山田錦のポテンシャルを最大限引き出すことを追求して、絞った酒を長期冷蔵熟成させた複数年ブレンド酒にこだわり、『義侠』は多くの日本酒フアンを惹きつけています。
フロンティア東条21参加蔵・銘柄を調べてみたよ。 義侠・松の司・美丈夫・磯自慢・醴泉・初亀・黒龍・明鏡止水・飛露喜・十四代・東洋美人・伯楽星 凄いメンバーだね! 五百万石にも力が入り、ラベルに応援言葉が入っているね!
まとめ
『義侠』とは、正義を重んじ弱い者を助けるという意味なんだとか。
遡ること明治期にあっては、酒価格の上昇があっても蔵元は卸価格を据え置き、採算を度外視して小売商との契約を守り通したそうです。
そこで小売商がその仁義をたたえて、山忠本家酒造さんに『義侠』と言う名を贈ったんだそうです。
実は、山忠本家酒造さんの義侠の新しい令和のエピソードもあります。
愛知県常滑市で170年以上続く老舗酒蔵「澤田酒造」さんの麹室が、2020年11月火事で消失。 蔵元さんは『酒造りの心臓部』をもぎ取られてしまいました。
そこで11代目昌弘さんが手を差し伸べ、麹造りの支援を申し出ます。 「澤田酒造」さんは、『山忠本家酒造』さんの麹室で麹を作りあげ、無事酒造りを再開できたのです。
メディアやネットでは言葉尻の追いかけっごっこがまかり通る嫌な時代。 令和の時代にも、ちゃんと『義侠』の任侠心は失われていません。
『義侠』と初めて出会ったのが25年前。 未だ『十四代』も知らなかった頃です。 その後日本酒の世界は、『淡麗辛口』から瑞々しい味わいの『芳醇旨口』の世界へ。
しかしながら『山忠本家酒造』さんの、お米のふくよかな旨みと芯のある味わいは変わっていません。
『酒造りは米造りから』の考えは今多くの酒蔵が取り入れており、そして日本酒もようやくワインのように熟成酒の世界が花開くことになるのでしょうか。
それでは皆さん、今夜はこの辺で失礼します。