皆さん、こんにちわ!
今回は、新潟県柏崎の『あべ定番純米』を紹介します。
『あべ』を醸す阿部酒造の若き6代目杜氏の阿部裕太さんは、淡麗辛口の新潟にあって、新政ばりにワインのようなお酒を造る新進気鋭の造り手。
そう、新潟では村祐の蔵元杜氏中村さんの甘口のお酒のように、異色な存在なんです。
それでは早速ご紹介しましょう。 新潟は柏崎の『あべ定番純米』、どんな味わいなのでしょうか?
『あべ定番純米』は、米の味と酸のバランスが良い飲み飽きしないクリアな味わい
『あべ』は新潟の米と地元の水に拘り、大吟醸並みに磨かれたクリアなお酒
《原料米》麹米:五百万石50% 掛米:こしいぶき65%
《酵母》新潟G9酵母
《日本酒度》不明 《酸度》不明
《アルコール度》16度、1回火入れ(生詰)
《お値段》1800 ml 3245円(税込)
阿部酒造さんの仕込み水は米山山系と黒姫山系の伏流水で軟水、やわらかい癖のない酒質に仕上がっています。
また、酒米は五百万石、越淡麗、こしいぶき、たかね錦などの地元産米が使われ、『酸と米の味(旨み)』をしっかりと出すことを意識しているそうです。
この『あべ定番純米』は、麹米は五百万石50%と大吟醸並みで磨き、掛米は食用米『こしいぶき』ながら吟醸造りで、味はしっかり酸もクリアな食中酒に向いた味わいとなっています。
『あべ』は全量槽搾り、まろやかで柔らかい酒質を生んでいる
今回のお酒はVol5となっており、生原酒を熟成させた生詰で生の繊細さが残されています。
阿部酒造さんでは、酵母は9号系の新潟酵母が使われており、香りはやや抑えめながら、フルーティーな味わいが出ていますね。 漂う香りは林檎を想わせる果実感があります。
造りで特徴的なのは、『槽』を用いて搾りが行なわれている事。 手間が掛かりますが、これが柔らかい酒質を生んでいます。 なんと市販酒から高級酒まで全てこの槽で搾られているそうです。
これにより、香味の鮮明感がしっかりと表現された甘さが豊富な酸によって引き締められ、まろやかでふくよかな味わいとなっています。
少人数の造りで、全量槽搾りは偉い。 日本酒を超えた『ライスワイン』を目指しているのも頷けるわ! それにしても、2名卒業で補充は大丈夫かいな?
また、温暖化や醸造数の増加に伴って、設備も順次更新され作業性や衛生面が向上しています。
搾り場、酒母室や枯らし場の新設、そして製氷機や冷蔵庫の導入などが進められています。
新潟の日本酒『あべ定番純米』と今夜の肴
香りは控えめ、口のなかで甘み酸味とお米の味わいがどんどん顔を出す『あべ』。
『あべ』は旨口でジューシーなので、どんな料理にも合いますね。 今夜は、馬刺しでおいしく頂きました。
阿部酒造の紹介
『あべ』を醸す阿部酒造6代目次期蔵元の阿部裕太さんは、飲食店検索サイト「ぐるなび」の元社員。
都内の飲食店をめぐり『今求められているお酒』を肌身で感じ、また地元の新潟を担当して、地域にフォーカスした仕事の方法や飲食店との繋がりを得たそうです。
そして阿部さんは、2015年に滝野川醸造試験場の研修を終えて蔵に戻り、本格的に酒造りを始めますが、阿部酒造さんは代々蔵元がお酒造りを行う『内杜氏』のシステム。
親から子に酒造りの方法を直接伝授し、今も酒造りの基本は創業当時のままなんだとか。 ですから、6代目の裕太さんは槽搾りなどの代々の伝統製法を習得したそうです。
また『阿部酒造』さんは若い蔵人中心の少人数チームで、酸にフォーカスした独自路線の酒造りをしています。 それはさらに、地元の契約米を使った酒造りで、所謂ドメーヌ蔵の方向に表れます。
『スターシリーズ』や『圃場シリーズ』というサブブランドを立ち上げ、あえて精米歩合などは非公開。 地元・柏崎の田んぼの風景を使ったラベルデザインは、日本酒の枠をすでに飛び越えています!
そんな努力が実を結び、2023年に2023SAKE COMPETITIONで『Sakenomy Best Brewery of the Year』の3位を受賞。
さらに新設されたアワード『酒屋大賞2023』で、BRONZE(3位)を受賞したのです。
目指すところは、米の味をしっかりと出すことと酸を意識した酒造りだとか。
手間を惜しまず、常に発酵を楽しみ、 食前、食中、食後それぞれのタイミングで飲むバリエーションのお酒造りを目指すそうです!
そんな考えで、世界のワインと戦いたいとの思いから『サケ』でなく『ライスワイン』として海外で販売しているらしい。 今後がますます楽しみだわ!!
まとめ
有名地酒店の会長さんと会話が弾み、新潟の酒談議になりました。
呑み手の一番近くにいる酒屋さんがいくら声を大にしても、その造りには変化が少ないんだとか。
最近の新潟の人気酒と言えば、若き杜氏がつくる香り高いフレッシュな味わいの『加茂錦』、芳醇旨口の『高千代』やお米の甘い香りがする『村祐』。
呑み手としては、まだ越後杜氏の造りに大きな変化を感じませんが、若き蔵元杜氏の造りは確実に越の淡麗のイメージを少しずつ変えて来ているのではないでしょうか。
それでは皆さん、今回はこれで失礼します。