日本酒ファンの皆さん こんにちは!
灼熱の7月のあとは、台風による大雨洪水の8月。 早く安定した季節になって欲しいと思うこの頃です。
気が付けば夕暮れが少しづつ早くなって、秋は間違いなく近づいているのですが・・・
さて、日本酒の秋と言えば『ひやおろし』。 外気が下がり、貯蔵室の温度が同じくらいになって、冷で卸されたことから付いた名前なのだとか。
造りはといえば、春先に一度火入れして保存熟成された『生詰』タイプとなっています。
そこで今回は秋が進む季節にしたがって、トラマサがお勧めの『ひやおろし』を紹介しましょう。
2年前の紹介記事はこちらです。
2021秋 旨みが乗った『夏越し酒』『ひやおろし』おすすめベスト10
フライング気味八月のおすすめは『オーシャン99』『望/bo』『写楽』
夏を越したばかりの『ひやおろし』は、熟成によるまろやかさとまだフレッシュ感の残る軽快な味わいが特徴です。
でも、最近は八月に出荷されるお酒も増えているんです。
最近の酒蔵さんは低温冷蔵庫を導入されているので、とても品質が安定していますね。
さて今年のおすすめを紹介しましょう!
オーシャンシリーズ最後の華やかで旨味豊かな純米吟醸で、低温貯蔵した無濾過一度火入原酒。 寒菊らしい華やかさでグッと凝縮した旨味が、オレンジ色に染まった空のなかをスルスルと着陸する瞬間を想起させます・・・
■原料米:酒造好適米 ■精米歩合:55% ■アル度数:15度 ■純米吟醸酒:無濾過生詰
滋賀県産玉栄はやや硬めの酒米。 香りはとても控えめで口に含むと軽やかな酸が膨らみ、甘さは控えめ。 余韻は短めでキレ良い仕上がりです。
■原料米:滋賀県産玉栄100% ■精米歩合:60% ■アル度数:16度 ■特別純米酒:無濾過瓶燗火入れ
例年八月に蔵出しとなる、純愛仕込みのひやおろし純米酒。 春先の上槽後はプレートヒーターを用いて、瓶火入急速冷却にて瓶貯蔵(冷蔵貯蔵)されています。 果実系の含み香が素晴らしく、米の旨味とのバランスは抜群!
■原料米:会津湊産夢の香100% ■精米歩合:60% ■アル度数:16度 ■純米酒:生詰
九月のおすすめは『雁木』『鍋島』『篠峯』
九月に出荷されるお酒は『夏越し(なごし)酒』と呼ばれていますが、昨今の9月は月末でも30度越え・・・
でもお酒は低温倉庫の保管なので、まだまだフレッシュ感がのこっていますよ。
山口の酒米『西都の雫』が、キレ良い味わいを生んでいます。 立香よりも含み香があり、米のうま味とコク、凝縮感たっぷりのフルボディでありながら、綺麗な切れ味のお酒です。
■原料米:麹米:山田錦、掛米:西都の雫 ■精米歩合:60% ■アル度数:17度 ■純米無濾過生詰
ムーンシリーズの秋は『中秋の満月』と名付けられた酒。 まろやかな旨味、そしてキレがありスッキリとした酸、綺麗なふくらみがある鍋島らしい秋酒に仕上がっています。 アル度15度でガス感もあり、ソフトな飲み口です。
■原料米:不明(雄町?愛山?) ■精米歩合:60% ■アル度数:15度 ■特別純米酒:生詰
ところで『ひやおろし』の定義は、生詰め。 ですが、夏を超えて出荷される熟成生酒もあるんです。
雄町らしいコクとふくよかな旨味、そして程よい円熟味が感じられ、厚味のある旨辛な味わいです。 無濾過生原酒のボリューム感と、ドライなキレ味がバランス良く合わさっています。
■原料米:赤磐雄町100% ■精米歩合:60% ■アル度数:16度 ■純米吟醸酒:無濾過生原酒/山廃熟成
十月のおすすめは『楽器政宗』『まつもと』『東洋美人』
さて十月に出荷されるお酒は『秋出し一番酒』と呼ばれています。 十月じゃ、一番じゃないよって感じですが・・・
でも十月にもなると秋の冷気によって『ひやおろし』もさらに熟成を深め、まろやかさで芳醇な味わいが楽しめます。
『fp』とは、強くすぐに弱くという意味の演奏記号。 低アル13度の本醸造仕上げは、クリアでフレッシュ、そしてすっきりとした柑橘系の香りです。 瑞々しくて上品な仕上がりは、秋のピアノが聞こえてきそう。
■原料米:夢の香 ■精米歩合:60% ■アル度数:16度 ■本醸造酒:火入れ
シュワッとした発泡感のなか、バランスの良いほのかな甘みと、雄町らしいボリューミーな旨み。 そしてキレのある酸で、後口はスッキリと切れていきます。 2月瓶詰、10月出荷ときちんと明記されており、流石です。
■原料米:備前雄町100% ■精米歩合:55% ■アル度数:15度 ■純米吟醸酒:生詰
愛山独特の芳醇な香りとジューシーな甘み、余韻は長めで深いコクとほろ苦さが口に広がります。 大吟醸並みのスペックで3300円は、蔵元さんの感謝の気持ちと、覚悟のあらわれです。
■原料米:麹/山田錦20%、掛/愛山80% ■精米歩合:麹40、掛60% ■アル度数:16度 ■純米酒:生詰
十一月のおすすめは『奥播磨』
最後の十一月に出荷されるお酒は、『晩秋旨酒』と呼ばれています。
木枯らしが吹き始め寒さも本格化する11月には、ひやおろしの味わいも正に「完熟」の域。
熟れ切った豊かな味わいは、燗酒でゆっくりと味わいましょう。
綺麗な甘旨味が口に含むと一層広がり、幅のある味わいは素晴らしいです。 最初ぬる燗にすると柔らかい当たりで、するすると喉を過ぎていきます。 2杯目はさらに燗付けすると、一層綺麗な甘さと旨味が口中に広がり、より味わいが深まります。 これなら、何杯もいけますね!
■原料米:兵庫県産『兵庫夢錦』100% ■精米歩合:70% ■アル度数:16度 ■純米酒:3年熟成+生酒ブレンド
まとめ
秋の落ち着いた旨味を表現するためなのでしょうか?
酒米には、雄町や愛山などの味わいや香味が強く出るものが多く使われている気がしました。
オマチストの皆さんには堪らない季節ですね❤️
8月から11月まで、ゆく秋と一緒に旨味の乗った『ひやおろし』を、心を橙色に染めながらゆっくりと楽しんみてください!!