皆さん、こんにちわ!
今回は、愛知県は萬乗醸造さんの『醸し人九平次 うすにごり生』を紹介します。
萬乗醸造さんと言えば、全国いや世界でも大人気の酒蔵さん。 トラマサの『日本酒番付』でも西の大関にランクインしている実力派なんです。
その酒蔵さんが一昨年から完全予約制で生酒を発売。 R2BYでも完全予約制での発売となりました。
それでは早速ご紹介しましょう。 萬乗醸造さんの『醸し人九平次 うすにごり生』どんな味わいなのでしょうか?
『醸し人九平次 うすにごり』は、香り控えめで酸を基軸とした優しい味わい
にごりのほのかな甘みと透明感のある酸、五味総てが調和した最高のバランス
萬乗醸造さんは名古屋市緑区大高にあり、その昔は『知多酒』の酒造りが盛んであった処。 酒蔵の多くの建物は江戸期から大正期にかけてのもので、国登録文化財も多いんです。
しかしそんな銘醸地も今は住宅地、そこで仕込水は奥三河近辺まで6時間かけて汲みに行くそうです。
《原料米》『山田錦(兵庫県黒田庄産)』100%
《酵母》-
《日本酒度》- 《酸度》-
《アルコール度》うすにごり生、16度
《お値段》1800 ml 3960円(税込)
《製造》2021年2月
『醸し人九平次 うすにごり』はスペック非公開の限定酒。 入手困難な日本酒ですが、定番の瓶燗火入れでもフレッシュ感があるので、敢えてこの限定生酒を選ぶ必要はないでしょう。
さてこの生酒は搾ったあとすぐに瓶詰めされ、蔵人総出でラベル貼りして、ほとんどタイムラグなく順次出荷しているそうです。
直詰めによる米の豊かな風味、にごり生のほのかな甘みと透明感のある酸。 そしてアクセントを添える微かな苦み、五味の総てが調和した最高のバランスで醸されたお酒ですね。
昨年にも増してうすにごりでありながら爽やかさすら感じる酒質は、食中酒としてベストチョイスのお酒です。
山田錦は黒田庄の自社田で栽培、酒米一粒のポテンシャルを高める
ワインは醸造家が自らブドウを育てワイン製造まで行うように、『日本酒蔵も米作りから』と、萬乗醸造さんは2010年から兵庫県黒田庄で購入した田圃で山田錦の栽培を開始しています。
どんな方向性の酒米を生み出せばいいのか? 全くのゼロからの出発は、収穫量を求めず一粒の酒米のポテンシャルを高めることに行きつきます。
自社の田圃であればこそ、その年の酒米の硬軟の出来ばえも把握できますし、またその生情報は酒造りに活かせるメリットがあります。
そしてその年の田んぼのドラマを披露することで、飲み手の意識変化も変わってくることを酒の造り手は期待しています。
また萬乗醸造さんでは、『黒田庄山田錦』に続いてもう一つのブランド酒米『赤磐雄町』にも、社員を派遣して米造りに取り組んでいます。
世界のワインを基軸にして、まさに日本酒文化そのものの変容を仕掛けている感じですね。
自らの手で米を育てる『醸し人九平次』は、 甘み、辛み、そして苦み、酸味、渋味など一見マイナスに見える要素すらも味方につけ、それらの融合によって酒に奥行きと深みのある味わいを出しています。
萬乗醸造さんは、最高の酒米『黒田庄山田錦』『赤磐雄町』に絞って、自作しているね。 こりゃあ、ほんとのライスワインだがねー! 予約1本でなく去年同様2本にしとけばよかったなあ・・・
愛知の日本酒『醸し人九平次うすにごり』と今夜の肴
今年の季節の移ろいは早く、もう桜の開花。 早咲きのつつじも花開きました。
温かくなり、日本酒の仕込も終盤を迎えてきましたね。
そこで今夜は、うすにごりに合わせて『鳥豆乳鍋』で味わってみました。
萬乗醸造の紹介
萬乗醸造さんの15代目蔵元、久野九平治氏は『日本酒界の異端児』と呼ばれるているそうです。
先代までの機械的大量生産の日本酒から小仕込みの良質な酒造りへの転換を図るため、1997年新ブランド『醸し人九平次』を立ち上げ、とここまではよくある話です。
久野さんは26歳で酒蔵に戻り、ひたすら中身に拘った酒造りに励み、3年の歳月をかけて渾身の『醸し人九平次』を作り上げたそうです。
ところが21世紀を迎えたころは日本酒が低迷、大手や他の地酒蔵は米国を目指します。 しかし久野さんは『美食の国』に認められてこそ日本酒復活の道とばかりに、パリへ売り込みを図ります。
そして2006年三ツ星レストランのワインリストに見事採用され、日本酒の世界進出の先駆けとなり、さらには日本逆上陸を果たすこととなったのです。
何故うまくいったのか。 ひとつは、この『醸し人九平次』は五味すべてのバランスがいいこと、手作り感があり、特に酸を軸として立体的な飲物に仕上がっていることでしょうか。
そして日本酒はフランス料理との相性が良いこと、特に魚料理についてワインにはない日本酒の優位性に久野さんは気付かされます。
ワインを機軸に置いて考える世界基準の久野さんは、さらに日本酒に足りないものは何かを追求します。
そこで本場のワイン造りを実地に体験することで、製造管理や商品の魅力の伝え方など進化させられるのではと考え、2013年フランスでワイン造りをスタートさせます。
そして今、醸造所もワイン畑も自社で所有し、4年の時を重ねて2020年ようやく発売出荷の運びとなり、日本酒・ワインの双方に『ドメーヌ』を持つ世界で唯一の酒蔵さんとなったのです。
そうして製品ラインではフランスのお米で醸した日本酒や、長期保存のきく日本酒、ラベルに米の収穫年を記したビンテージ日本酒を開発・販売しています。
蔵元の熱き思いや行動は、今や異端ではなく『正統』でしょう!。ワインも米もその年の出来を語りながらこそ、お酒の案内がキチンとできるってことか・・・ 偉い!
まとめ
久野さんのドメーヌの思いは、とうとう米造りと直結した酒造りになるようです。
『21世紀の日本酒のあるべき姿』の一つとして、『田と蔵の直結』を目指して、黒田庄の田圃の中に新しい酒蔵をたて、2021年春以降に商品が蔵出しされる予定です。
新しい酒蔵では、早くも大学生や地元高校生を対象にして久野さんの特別授業が行われています。 米の次は『人』ですからね。
ベストな酒造りの環境を求めて北海道での酒造りを始めた『三千桜』さんしかり、今時の酒蔵さんは確信を持って行動しています。 ああ、まさに革新的な行動ですね!
それでは皆さん、今日はこの辺で失礼します。